カノジョの仕事はゆりかごから職場まで →
日影ジュン
第1話:新たな人生ご用意します!
報告書その1:天使と悪魔
よく天使と悪魔がささやく、なんて言う。
右からは天使が、左からは悪魔が、昔の漫画やアニメで見たことのあるやつ。
今、オレはまさにそんな状態だ。いや、比喩なんかじゃなく現実に。
「ですからね、ひっじょーにお得なプランなんですよ!」
テーブルをはさんで右手前方からしきりに話しかけてくる女性。年齢は16、7に見える。肩にかかる程度の薄い色彩のボブカット。金髪を薄めたようなそのくせっ毛な髪が彼女の褐色の肌の上で踊っている。快活そうな彼女はジンノと名乗った。
「先に申し上げておきますが今はどこも人手不足で、常にあなたのご希望通りには ならないかと存じます。その点はご承知おきください」
そう平坦な口調で言う彼女。向かって左側に座る女性は自分のことをカミヤと言った。年齢的には俺と同じか少し上くらいだろうか。黒髪に似合うスーツをピシッと着こなしている。長く伸びた前髪から覗く赤い瞳は常に眠たげだ。
「もー先輩はすぐにそういうこと言うんですからっ。あの、マモルさん?そんなこ とないですからね?わが社が用意しているのはどこに出しても優良な素晴らしい 世界ばかりですよ!」
とはジンノさん。マモルってのはオレのことだ。
「移民政策を行っている世界は基本的に人口減少に悩んでいるところばかりだ。事 実を隠す意味はないだろう?異世界への移民は基本的に帰ることはできない。そ こは契約前に了解してもらわないと」
「うう、そんなだから成績が悪いんだー」
いわく彼女たちは異世界移民斡旋会社の日本担当者。
そして、天使と悪魔、だそうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます