第7話 after end...(4)
次の日、バッカスのメンバーは全員集められミーティングが行われた。
「みんな知ってると思うが宮川が交通事故で一時的にチームを休部する。正直、宮川の脱退はチームにとって痛手だが、何を言っても始まらない。なので、この事態に伴って幹部で話し合った結果、一昨日の試合結果を元に2軍から2名、1軍に昇格させる。」
ついに昇格発表が来た、一昨日の出来はすごく良いわけでもなかったが、ある程度は貢献できたはず。
チャンスはきっとある。剛大のためにも上がらなくてはいけない。いつの間にか冷め切っていたはずのホッケーへの熱は再び燃え上がってくれたようだった。
これも剛大のおかげだ。僕は剛大に色々な感情を貰ってばかりだ。
「じゃあ早速発表する。まずは…」
頼む!
「
「おっしゃああああああ!」
「「おお」」
柳沢先輩は立ち上がり歓喜の声を上げる。周りの先輩たちは歓声と祝福の声を上げている。昇格枠は2名、一人は柳沢先輩、次がラストだ。
「静かに!じゃあ次のメンバーを発表する、次は…」
神様、お願いします!入っててくれ。
「2年」瞬間周囲はざわつく、これで先輩を出し抜いた奴が出てきたという事だ。更に言えば僕の可能性が高くなった。
「
そう発表された後、周りは一気に盛り上がりを見せたが、対照的に僕は絶望の底へと突き落とされた気分だった。
ダメだった、その事だけがショックだった。ただただ現実は厳しかった。
とりあえず、隼人を祝福だ。皆に囲まれる隼人の元へ向かい、一言だけ告げる
「おめでとう」
「ありがとう!」
もうこれ以上ないというほどの満面の笑みで隼人は笑った。
「静かに!」キャプテンが騒がしいみんなを一喝し、静める。
「で、あともう一人補欠としてだが、宮川の穴に1軍に上げる選手がいる。」
「え」
補欠昇格という異例のメンバー昇格に周囲もまたざわめき出す。今までそんなことはなかったはずだが…
「メンバーを発表する、最後は…
2年、
誰が呼ばれたか最初理解できなかった…が、隼人の手が肩に置かれてから思考が追いついてきた。
「咲場、返事は?」キャプテンが返事のない僕を不審に見る。
改めて現在の状況を理解する。僕は無言で立ち上がった。今僕はどんな顔をしているのだろうか。自分じゃ分からないのが怖いくらいだ。剛大やったよ。
ここからだ、正式なレギュラーじゃなくてもやっと土俵に上がれたんだ。剛大が戻るまで努力するしかない。いつか剛大と一緒の舞台に上がれるまで…それはこの一歩目からだ。
もう逃げない、負けない、努力し続けてやる。それが僕のできる彼への恩返しなのだから。
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