不思議な彼女

勝利だギューちゃん

第1話

俺には、彼女がいる。

彼女と言っても、リアルな彼女ではない。

また、2次元でもない。


俺だけしか知らない存在。

そう・・・イマジナリーフレンドだ。

あくまでも、俺の想像の中だけだったが、いつの間にが具現化した。


そして、今形として、俺のそばにいる。

そう、フィギュアという形で・・・


彼女の名前は、飯塚咲代・・・

「いつか、(花は)咲くよ」

そう、願いを込めてつけた。


「やあ、咲代ただいま」

「お帰り、実くん」

俺の名前は、実(みのる)・・・黒鵜実(くろう みのる)。

いつか苦労が実るようにと、付けた。


咲代の前だけの名前だ。

本名は、佐々木修一というが、これはどうでもいい。


「ねえ、実くん」

「どうした?咲代?」

「寂しくない?」

「何が・・・」

「友達いなくて・・・」

「咲代がいるからいいよ」

咲代は、悲しそうな顔を浮かべる。


「ねえ、実くん。お願いがあるんだけど・・・」

「どうした?」

「1日だけ、実くんに、ならしてくれない?」

「俺は、男だよ」

「いいから、お願い」

咲代の眼は真剣だ。


「わかったよ。好きにしろ」

「ありがとう」


そんなわけで、次の日に俺は、咲代と入れ替わった。

俺の体は、フィギュアになったわけだが、やはり不自由だ。


イマジナリーフレンドというのは、俺の勝手な想いこみだったのか?

咲代に対する、罪悪感でいっぱいになった。


そして、夕方に咲代が帰ってきた。


開口一番、咲代は言った。

「実くん」

「どうしたの?」

咲代は、いつもとは違う表情になった。


「君は今日限り、死んでもらうわ」

「何を?」

「正しくは、黒鵜実くんに、死んでもらいます」

「えっ」

「君は今から、佐々木修一くんに、もどってもらうわ」

「どういう・・・」

咲代は、さらに続けた。


「いろいろと話したわ。みんなと・・・」

「何を?」

「修一くん、君は自分で思ってるよりも、素敵な人だよ」

「そんなことは・・・」

「いい、修一くん」

「うん」

いつになく、真剣だ。


「過去の人はもう、今は君の前にはいないんだよ。

どうして、いない人の事で怯えるの?」

「それは・・・」

「君は今、そばにいてくれる人を大事にして、お願い」

「でも、いきなりは・・・」

咲代は、続けた。


「大丈夫。もう黒鵜実くんは、嫌い。でも、佐々木修一くんは好き。

修一くんの力にならなるから・・・」

「でも、君は・・・」

「大丈夫、そばにいるからね・・・」


その時は、わからなかった。

所詮は、イマジナリーフレンド。

オラの空想の中だけの、存在だった。


次の日、学校へ行った。

珍しく、クラスメイトが声をかけてきた。


咲代、何をした?


そして、チャイムと共に、先生が入ってきた。

「突然だが、転校生を紹介する。女の子だ。みんな、仲良くするように」

「はーい」

クラス全員が声を合わせる。


そして、その女の子の転校生が、入ってきた。

それを、見て俺は驚いた。


こんな事がおこるのか?


【初めまして。飯塚咲代です。仲良くしてください。よろしくお願いします】


歓声があがる。


そして、咲代の声がする。

「やっほー。修一くん。いろいろ教えてね」


俺を見て、笑顔で手を振っていた・・・


あっ、こういうことか・・・

今更ながらに、気がついた。

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不思議な彼女 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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