5.叔母様
叔母様は、国内外において淑女の鏡と謳われるほどのお方です。
いつも控えめで貞淑、旦那様である伯父様を立て、時に後押しできる力量を持つ、
我が国の社交界の憧れです。普段はお優しい叔母様ですが、
教育となるとまた別のお話。普段は嫣然一笑を心掛けていらっしゃるそうなのですが教育となると仏の顔も三度までと仰います。ふざけた事をすれば即、お説教モード。
あぁ、恐ろしいですけれど、やらないわけには参りませんものね?
「しつれいいたします。たかまどのみやけがさんじょつきの、へいかのおおせにより
さんじょうつかまつりました」
「…お入りなさい」
凛然とした、優し気な声が聞こえます。叔母様のお声ですね。
「しつれいいたします。おひさしゅうございます、さゆりおばさま」
「おひさしぶりね、つきのちゃん。でも、ここでは先生と呼ぶようになさい。
わたくしの教え方は厳しいけれど、大丈夫かしら?」
「もとよりかくごのうえにございますわ、せんせい」
…嘘です。Ms.ロッテンマイヤーとか、マダム.レティアが来ると思っておりました。
叔母様はお忙しいので、ありえないと除外しておりました。
淑女の仮面を取るのは家族の前だけ。厳密にいえば叔母様も家族ですが、
此処では先生なので仮面は付けたままです。
「宜しい、ではまず、淑女の基本であるカーツィから」
<><><><><><><>
「よろしい、これであなたも完璧な淑女になりました」
どこぞの誘い文句のようなセリフと共に7年に亘った叔母様の授業が終わりました。
厳しい道のりでした。ありとあらゆる国の作法、服の着方、気候、等々諸々の
内容を終え、教師と生徒ではなく、伯母と姪の関係に戻りました。
叔母様の生徒としては、格段に覚えが早かったようで、必要のないものまでついつい教えてしまったわ、と言われます。うぅ叔母様、必要なものだけで結構でしたのに。
「月乃ちゃん、やぁっと終わったのね!さて、ご褒美兼お披露目に、
お茶会を催すからぜひ来てね?麗雅と、元婚約者候補、貴方達の側近候補も
呼んでいるから」
「皇后陛下…。畏まりました、ご招待、謹んでお受けいたします」
「あらまぁ…完璧って、本当だったのねぇ」
頬に手を当てて驚いたように呟く皇后様に叔母様が誇らしげに微笑む。
「ええ、この子は私の最高の教え子でしたわ」
「あぁ、小百合様もいらっしゃる?お忙しいだろうと思って、
招待状だけは書いたのだけれど…」
「まぁ!宜しいの?ぜひに、お姉様」
「うふふ、懐かしい呼び方ね、百合さん」
…笑ってらっしゃいますし、失礼しましょう。
長居してもダメですし。
「陛下、叔母様、失礼致しますね」
「「ええ」」
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遅くなって申し訳ありません。なるべく早い更新を心掛けます。
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