激辛

 調子に乗って辛い麺を食べたせいで尻が痛い。これで何度目だろう。

 しかし、一ヶ月もすればけろりと忘れ、さらに一か月後にはまた食べて尻にダメージを負っているのであろう。

 なぜ辛い物を食べるのか。美味い物を食べたければ、他にいくらでも選択肢はあるというのに。

 焼肉屋で、深夜のコンビニで、体に悪いとは分かっていながらも、本能の赴くままに取り続けたことはないだろうか。恐らくそれは食欲ではない。

 キーワードは背徳感だ。我々は背徳感を味わいたくて暴食の限りをつくすのだ。普段、慎ましい生活をしている我々は、たまに爆発したくなってしまう。

 たまには、金も、カロリーも、アルコールも、匂いも、バランスも、何もかも忘れて踊りたくなるものなのだ。そうして、踊った翌日の事もチラと考えて、明日の悲惨な自分と、この瞬間の優雅な自分とを比べて、ギャップで満足するのが密かな楽しみなのだ。

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