悪人の詩

 悪人はさりげない

 みすぼらしくなく

 派手でもなく

 言うならば記憶に残らないような

 そんな恰好をしている


 悪人はどこにでも居る

 何もかも嫌になった時

 誰かに話を聞いてもらいたい時

 いつの間にか隣に居る

 どんな下らない話にも頷いてくれる


 悪人はどこにも居ない

 全てを飲み込んだ頃には

 煙のように消えてしまう

 殺してやると息巻いても

 その刃は決して届かない

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