悲しきギャンブラー
勝って金を得るのも楽しいが、負けて失うのもそれなりに楽しいものである。
麻雀だとか、競馬だとか、種目はどうでもいい。次に引く牌や、馬の走りなどは、結局のところ人智が及ぶところではない。ただの運で金が行き来するところに妙味があるのだ。
千円負ける。どうということもない。むしろ、これからだという気になる。
五千円負ける。焦り始めるが、此処で下がるのは賭博ではない。健全すぎる。
一万円負ける。まだいける。跳満をツモるか? 単勝の一点に張るか?
三万円負ける。体が宙に浮く。三万有れば出来たことが浮かんでは消える。
五万円負ける。楽しくなってくる。帰りは寿司でも食おうかと考え始める。
此の先は見るに堪えない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます