第7話 王国への旅 その2
リトナルクを出発して、最初の途中の駅で停まったときに沢山の人が乗ってきた。
「ねえ。ミラ。何か今日、乗ってくる人がやたら多くない?」
「本当だな。私達も何度かオラオグ行きの電車に乗ったことはあるが、こんなに人が乗ってくるなんてことなんてなかったから、ちょっと驚いたな」
「皆さんお祭りに行くような感じですね。ミラ、オラオグにそういうお祭りの類いのイベントってありましたっけ?」
「いや、何回も行ってるけどそんな話は聞いたこと無いな」
電車が途中の駅に停まる度にどんどん人が乗ってくるので、最終的に立ってる場所が無くなるくらいの超満員電車となった。
そして、リトナルク駅を出発して3時間後、特に何のトラブルもなく、国境の街オラオグに無事に到着した。
「やっと着いたぁ~」
「ある意味山下りの時よりも疲れましたね」
「席は限界までぎゅうぎゅう、通路もぎゅうぎゅうだったから、暑さが半端じゃなかったな。座れたからマシだったけど」
「とりあえず、お昼にしましょう。お腹すいたし、休憩もしたいので」
「出来るだけ早めに昼食と休憩を取って、国境の門まで早く行こう」
そして、駅内部の売店で昼食を買って休憩スペースで食べた後、国境の門に向けて出発した。その道中、街の中心にある広場に人だかりが出来ていたのを見たので、気になって行ってみることにした。
「あの。すみません。この人だかりは一体何でしょう? 気になって来たのですが……」
「ああ、実はですね、先ほど、国境検問所の兵士があそこにある巨大掲示板に何かが書かれている紙を貼っていまして、気になってそれを見てみたら『国境の門は、帝国軍四天王のフィンドル様の命令によりしばらくの閉鎖が決定した』って書いてありまして………」
「国境の門の閉鎖!? それじゃあルエルフ王国に行けないじゃないですか!」
「私達もこちらでの商売が終わって帰ろうとしたのに、この貼り紙見て驚きました。運河を船で渡ろうと思いましたが、水上も通行禁止にするみたいですし、どうしたらいいのか………」
(どうしてこのタイミングで門が閉鎖されたのか……… あっ!)
心当たりがあったので、声を掛けた商人に再び聞いてみた。
「どうして門が閉鎖されたのかご存じであれば教えて頂けませんか?」
「何でも、陛下に楯突いた3人組がオラオグ国境から逃げるつもりだと言うことでそれを阻止する為だとか。全く、迷惑な話ですよ。リトナルクやオラオグ、その途中の町に居た他国の商人や観光客も、急な知らせを受けて大急ぎで国境に向かったみたいですが、当然間に合うはずもなく、ここで立ち往生って感じです………」
やっぱりかよちくしょう。て言うか、たった3人を止めるために多くの人に迷惑かけてまで門の閉鎖を決めるとか、ある意味すごい。
「ミラ。リュエル。これからどうする?」
「ここまで来て足止めされるか。奴らに先を越されてしまった………」
「造船所の船を購入して王国領のどこかの町に行くのが出来れば良いですね。それが駄目なら最悪、門を強行突破して王国に行くしか無いですね」
「まあ、それは本当の最終手段だな。今日はとにかく泊まる宿を探さないと」
そして、何とか泊まる場所を確保できた僕たちは、そこでこれからどうするか話し合いをした。
「2人はどうしたい? 国境の門はしばらく開きそうにないし、水上も通行禁止になるみたいだから私はやっぱり強行突破するしか無いんと思うんだけど……」
「うーん。やっぱりそうするしかないのか……」
「仕方無いですね」
長時間考えたが良い案も見つからず、結局強行突破することになった。
「じゃあ、明日実行という事で」
こうして明日の門の突破に備えて寝ようとしたとき、突然宿の扉が開いて、魔法使いと剣士が数人雪崩れ込んできた。
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