第2話 探索
「うぅぅ……」
少し時間がたった後畳の上に敷かれた布団で目覚めた。
(あの人家まで用意してくれてたとは。有難い)
そう思いながらそばにあった障子を開けて外を確認してみたところ、かなり広大な日本庭園がある家屋のようだった。
取り敢えず家の中を見て回る。
その時に通った廊下に置いてあった鏡を見た僕は固まってしまう。
一瞬の沈黙の後、思わず叫んだ。
「嘘ぉぉぉぉ!?」
そこに写っていたのは、見た目人間の20歳位で白色の長髪、薄い金の瞳で、神社の巫女に似ているような服を着ている女性だった。
しかも声も高くなっている。
「容姿を変えてくれとは言ったけど、まさか性別まで変えるとは驚いたなぁ」
少し経って落ち着いた僕は、ひとまず能力に慣れるための訓練も兼ねて外へ出てみたが、あることに気付いた。
「そういえば、能力の使い方って教えてもらってなかった……」
今さら後悔しても遅いので、気を取り直して訓練を始めた。
~数日後~
「はぁぁぁぁぁーー!」
ズガアァァーーン ザバーーーン
魔力を込めて放った水の塊は、離れた的当て用の岩に見事に命中、岩もろとも周りの木々を消し飛ばした。
「命中率は上がったけど、威力の調整がまだまだ上手く行かないな」
ここ数日、魔法の扱いの訓練と並行して周辺の探索を行っていたその時に見つけた廃墟となった村を訓練所として使用している。
「家の破損を気にせず魔法等の訓練が出来る場所が見つかったのは幸運だった」
訓練の合間に探索した時に発見した書物から、この場所は『エレモス山』と呼ばれる標高6139メートルのかなり大きめな山で、標高3000~6000メートル辺りまで漂う魔力のせいで獣が凶暴化、天候も普通ではあり得ない変化をする等、過酷すぎる環境で有名だったようだ。
この村は、20年ほど前に『ヒーティルオン帝国』と呼ばれるかなり広大な領土を支配していた帝国軍に追われていたエルフやドワーフといった人間以外の種族が帝国の魔の手から逃げるために何とか無理をして作った村だったようだ。
だが、標高5150メートルにあるこの村は想定を遥かに上回る過酷さだったらしく、結局直ぐに村を捨てて別の場所に移り住んだようだ。
「成る程。道理でこの辺りに来てからやたら凶暴な獣どもに出会うと思ったらそう言うことだったのか」
一応まだ力を扱いきれていないとはいえ、水の神である自分にとっては凶暴化した獣だろうが余裕を持って蹴散らせる。
この力に感謝しつつ今夜はこの辺りで引き上げようと帰る準備をしていたその時、後ろの方から突然声を掛けられた。
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