酒と病気
膠原病皮膚筋炎という難病を発症し、しかもステロイド投薬中でも酒は飲めるのか?
答えはYESである。
不思議だ。病気で歩くこともままならず、ステロイドを毎日40㎎も摂取していても、医師から酒を禁じられることはなかった。どれだけ飲んでよいかの目安として、ビールなら350ml缶1本。ワインならボトル半分。多くはないが、少なくもない量である。
1ヵ月半の入院を経て、年末に自宅療養へと切り替わる時、キッツは主治医にたずねた。
「お正月にお酒飲んでも良いですか?」
主治医は若干戸惑ったように見えたが、OKを出してくれた。そして目安としたのが上記の量だ。当時はステロイドの副作用で血糖値が上がっていて、糖尿病対策もとっていた。具体的には一日の食べ物の摂取を1500キロカロリー内に抑えること。甘いものや油ものや味が濃いものは避けること。そんな中、酒のカロリーを考慮しつつ、飲酒を許可された。
キッツは大酒飲みやアルコール依存症ではない。嗜好品として酒を飲むのが好きだ。仕事終わりの一杯が美味しいなと感じたり、友達とご飯を食べていて一緒にワインも飲めれば嬉しいなと思うタイプである。退院祝いと新年のお祝いを兼ねて、乾杯がしたかった。だから主治医のOKはとてつもなく嬉しかった。
「かんぱーい!」
退院から1年経ち、プレドニン(ステロイド)は5㎎にまで減った。復職を目前にし、友人たちと交流することも増えた。季節柄、忘年会も多く催され、酒が一緒についてくることも多かった。そのたびにみんなと一緒に乾杯ができる。これは幸せだ。難病患者ではあるけれど、健常者と同じことができる。昔、というほど時は経っていないけれど、発病する前の自分に戻れた気がする。
実験的に、どのくらい酒が飲め、その後体にどう影響がでるかも試してみた。これは元々酒にどのくらい耐性があったかも大きく起因するとは思うが、キッツの場合は以下である。
プレドニン10.25㎎:ビール150ml(コップ半分くらい)、白ワイン400ml(グラス2、3杯)
翌日、若干だるい。むくみは特に感じないが、元々ムーンフェイスで判断が難しい。
プレドニン6㎎:ビール350ml、白ワイン400ml(グラス2杯)、赤ワイン200ml
寝る前から頭痛発生。鎮痛剤を飲んで対処。翌日、若干だるい。むくみなし。
プレドニン6㎎:シャンパン300ml(グラス1,2杯)、赤ワイン600ml(グラス2、3杯)
翌日、だるさがとむくみ。
酷い二日酔いや吐き気に襲われることはないが、頭痛がすることはある。退院時の主治医からの目安量を超えて飲んでも、大きく体調が崩れることはなかった。酒というよりも、人と長時間外出する、お話するという行為自体が体力を消耗するものであり、それによって翌日だるさがでたりした可能性もある。
難病になって、全てを諦めることになるかといったら、NOだ。
もちろん難病といっても何百種類もあり、症状も人それぞれだ。皮膚筋炎のキッツが飲酒できるかといって、同じ病気のAさんも同じとは限らない。しかし、発症のビフォアーアフターで何もかもが変わってしまうわけではく、依然と同じように、または近いレベルでできることはある。友人家族と酒を酌み交わす。これはその一つの例である。
*症状等によって飲酒はNOの場合もあると思うので、あくまでキッツのケースとしてご理解ください。
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