深夜2時のショートケーキ

うふふのふ@墨田ちわ

ショートケーキ

透明なプラスチックの蓋をあけると、あまったるいクリームの香りがした。一瞬でそれがショートケーキだとわかる、イチゴの酸味とクリームの甘さ。私の好きな香り。


イチゴを食べる順番は、決まって一番最後。

好きなものは取っておく主義なの。


ケーキにフォークを入れる瞬間は、いつもちょっぴり緊張する。倒れないかな、崩れたりしないかなって。

せっかくキレイに整えられて、イチゴで飾られているのに。白と赤のコントラストが、まるでクリスマスのような特別感を醸している。


そんなケーキを崩すのが私だなんで、ちょこっとだけ罪悪感もある。でもそんなことを気にするのも3秒だけ。あとはこのケーキの味が、どんなものなのか。イチゴは酸っぱいのかな?そんなことしか考えてない。


しっかしコンビニでもケーキが買える時代になったか。

なんでもコンビニに行けば手に入る。スムージーも醤油も、茶碗蒸しも。お取り寄せグルメだって手に入る。ジャンクなものから健康志向なものまである。生活用品も最低限そろっているなんて……もう住めちゃうよね。あっでも、おふとんは売ってなかった。寝るのは無理だな。


コンビニスイーツだなんてバカにしてた。

コンビニに行く度に、見るだけだったケーキ達。

最初は見るだけだったのに。

一度買ったら、そのあとはもう早かった。どの新作のケーキも、発売日には口にしている。


でもやっぱり、どれだけ浮気をしても、帰ってくるのはこの味。

私はこのケーキの虜なのだ。



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