第42話 目の前で誘拐現場を目撃したら?
ふと視線を感じてそちらに目を向けると
口にはしないが
「師匠、売る場合は幾らくらいになるのでしょうか?」
「
「一番高く売れるところは何処になりますか?」
やや強い口調で
師匠の説明によると即金なら
後で両替して
好事家に売るなら師匠が紹介してくれるそうだが、規定額よりは高く売れるが
「師匠に代理をお願いしてもいいですか?」
図々しいお願いだなとは思ったけど取り敢ず言ってみたらアッサリと了解された。
「
そういって師匠は小袋を僕に預けた。
結構ずっしりとした重みで中を確認してみると大金貨が四枚と金貨が六〇枚=二六万ガルドが入っていた。この準備の良さは想定していたって事か。
それぞれ大金貨一枚と金貨十五枚ずつ渡していく。
「仮定の話ですが、もし金貨二六〇枚で売れなければこのお金は————」
どーなるんですかとはちょっと言葉にできなかった。
「高く売れれば差額は後日渡す。運悪く捌けなければ一旦俺が買い取ると言うことで問題ないだろ?」
なんでもマルコーの
▲△▲△▲△▲△▲△▲
「広ーーい」
一番に降りた
降りてみて思ったのがとにかく広い。どれくらい広い敷地なのかは分からないけど広い。
「敷地面積だけなら
外苑から濠も含めた皇居なみの敷地かよとか思ったが、師匠の
広大な敷地には蔵書量5千万冊を誇る大図書館、
「買い取ってきた同胞たちは倉庫を貸してやるんでそっちに預けるといい。
ゆっくり見学したかったのだが、そろそろ家具などの配送業者が来る時間なので帰らなければならなかった。
夕飯がてら明日以降の行動の方針を話し合うためだ。
▲△▲△▲△▲△▲△▲
「いやー、食った食ったー」
夕飯を終え明日以降の打ち合わせも済んだのでそれぞれの棲家へと続く帰路での事だ。
明日は朝から個別で
「それじゃ、俺らはこっちだから」
「また明日なー」
あれ? そっちは
「そっちは————」
そこまで言いかけた時左脇腹を思いっきり抓られた。
「ちょっと! なに!?」
「野暮なこと聞かないの」
そー言えば駅舎街でも朝帰りしてたな。
べっ、別に羨ましくないぞ。
うん。
羨ましくない。
「————怪しいわね」
そう囁きかけてきた
だが続く言葉は追跡しちゃおうだった。
「え? まずいって。僕ら防具もないし危ないよ」
個人的には妙に気になっていたのだけど、トラブルは避けたかった。
「危なそうなら通報すればいいんだし大丈夫だって!」
まさかとは思うけど夕飯時に
そーいや仄かに頬が紅色に染まってる気がする。
追うなら急がないと見失ってしまう。
「
思案したのちに
「うん」
体格から男だろうと推測。黒ずくめと言うが実際には黒く染めた
素人同然の僕らの追跡に気が付かないあたり余程急いでいるのか専門家ではないように思える。
いま現在いるのは
黒ずくめは表通りからそのまま入っていたが、僕らはと言えば現在は裏路地に回り込んでいる。人通りは殆どない。街灯も少なく屋敷から漏れる明かりと月明かりだけだが、野外特訓で暗いところでの活動は慣れていたので何とか目的の館の前まで移動できたと思いたい。
ノブを僅かに動かすが何かに引っ掛かるような感触もなく施錠すらされていないようだ。
すこし錆びついていたのか音を立てるが街中である。僕ら以外にその音を聞いたものはいなさそうだ。
「あの部屋の前を通らないと先に進めないけど、どうするの?」
後ろを着いてくる
間取りから
夏という季節だからだろうか床まである大窓は開け放たれている。飛び込みやすくて実に助かる。
中を覗くと
「
小声でそう伝えた。
「何言ってるの? 的は多いほうが良いに決まってるじゃないの」
馬鹿なこと言うのねと微笑む。
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