23.異世界転生したら謎のロボットが便利すぎる
オレ達が対峙しているのは、迷宮の地下三十階を護る巨大ドラゴンだ。
「アレックス! 援護を頼む!」
「わかった!」
アレックスがドラゴンの横っ腹に剣を突き立てている隙をついて、オレは詠唱を手早く済ませボスモンスターのアイテムを抜き盗った。
「よし、もういいぞ、ボビーやってくれ!」
「リョウカイシマシタ、タカシサマ」
ボビーは目から赤いレーザービームを出してドラゴンの目を焼いたあと、胸のハッチを開いて六連装ミサイルを次々に発射した。
ボチューン!ボチューン!チュドドド!
同時にドラゴンの闇雲に振った強靭な尾に打たれてボビーが岩肌に激突。ミサイルが命中したドラゴンは、ダンジョン内に凄まじい閃光と爆発音を轟かせて肉体を四散させた。
「ボビーちゃん! 大丈夫? 今なおしてあげるから」
ベルクロアがボビーに駆け寄る。
「……だめ! 回復魔法が効かないわ!」
「ベルサマ……ダイジョウブ……デス……コレカラモ、タカシサマヲ、オネガイ……シマ……ス」
「ボビーーー‼︎」
アレックスもボビーの傍らに膝をついて悔し涙を流した。
「タカシ、なんとかならないのか?」
「何ともならないな、この世界では高度なロボットの修理などしようがない」
「ボビーは、ロボットという種族なのか?」
「そうだ、単なる道具だ」
「あなた何言ってるのよ! 一緒に戦ってきた仲間でしょう?」
「タカ……シ、サマ……」ボビーが最後のエネルギーを振り絞るかのようにタカシへ呼びかけた。
「なんだ? ボビー」
「ワタシ……ワ……アナタノ……テンセイシタ……スガタ……」
それきりボビーは動かなくなった。
「ボビィーー!!」「ボビーちゃん!」
アレックスとベルクロアがボビーの亡骸に縋りつく横で、オレは立ったまま呆然となっていた。
——なんだと? まさか、オレはこいつに生まれ変わって罰を受けるとでも言うのかよ。オレは、これからいったいどうなるって言うんだ。
するとボビーが最後のエネルギーを振り絞って答えた。
「トイウ、セッテイダッタラ……オモシロイ、ナッテ……」
それきりボビーは動かなくなった。
「ボビィーー!!」「ボビーちゃん!」
アレックスとベルクロアはボビーの筐体を抱きしめて泣いた。
「違うのかよ! まあ、いいや。お前らさっさと離れろ、爆発するぞ!」
「人でなし! ボビーちゃんを置いてなんていけない!」
オレはアレックスと二人で無理矢理ベルを引き離して距離をとった。するとボビーが最後のエネルギーを振り絞って答えた。
「アイル、ビー……バック……」言い終えると同時に爆発した。
「ボビィィーー!!」「ボビーちゃん!」
「いや、しかし、そいつは壊れてもなぜか翌日には勝手に直って戻ってくるんだ」
「なぜだ?」
「いや、わからんが」
宿屋に帰って寝ると、翌朝にはボビーがいた。
続く
次回予告「学習する勇者」
「タカシ、サ……マ、アナタニ……オツタエ、シタイ……コトガ……」
「なんだ? ボビー」
「アイアム……ユア、ファーザー」
「離れろ! 爆発するぞ!」
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