てるてる坊主

usagi

第1話 てるてる坊主

明日は晴れてくれるだろうか。


てるてる坊主はとっても不安でした。

だって明日は健人くんの運動会だったから。

一生懸命走る練習をしてたし、嫌々ながらもダンスの振り付けの確認もやってた。全部見てたから。


ザーザー。

外は音をたてて雨が振っていた。


「よし。じゃあ今回は特別にお空の神様にお願いしてみよう。」

お空の神様には年に一度だけ願いを叶えてくれることになっていた。


翌日。雨は止まなかった。


寝室からママの声が聞こえてきた。


「健人、早く起きなさい!あらいやだ。体が熱いわ。熱があるんじゃないの?」

そうか、夜雨に打たれて風邪を引いたのかもしれない。だから、お空の神様が雨を止ませなかったんだ。


「健人のてるてる坊主さん。」空の上から声がした。

「悪いが君の年に一度のお願いはこれで終わりだよ。」


「分かってますよ、神様。」

てるてる坊主は小さな声で答えた。


振り替えになった運動会の日は、また雨予報だった。

でも当日は雲一つない晴天になった。


「ありがとう。神様。」

てるてる坊主はまた小さな声でつぶやいた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

てるてる坊主 usagi @unop7035

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る