1-2:探索開始
「…さてと!とりあえず周辺確認しますか」
何故転生したか、どうしてゲームのスキルやアイテムが使えるのか等は、考えても答えは出ないだろう。
ならば、これからを考える。ワタシは開き直りの心境でそう決めた。
そして周囲の探索に乗り出す。一見穏やかな森の中だが、どんな危険が潜んでいるかわからない。
とはいえ、ワタシには斥候系のスキルは無い。植物やモンスターの鑑定なら出来るし、戦闘になっても大抵の相手には対処できるだろうが…相手が見付けられなければ話にならないし、そもそも後衛職が一人歩きとか自殺行為だ。
ならばどうするか?
簡単だ、出来る子を
ワタシは懐から漆黒の宝玉-
「さぁ、
すると
「おはようございます、マスター。
次の瞬間、ワタシの眼前に黒髪の美人メイドがにこやかに現れた。
彼女-
何せ、
育成には専用のアイテムを作成する必要があるが、
ゴーレム系スキルを極めた者に与えられる称号、
「…おはよ、
「はい、わかりまひひゃ!?」
とまぁ、そんな凄い存在である
髪、ツヤサラ。肌、モチプル。服、ヤワスベ。あとめっちゃいい匂い。
顔も体もファッションもワタシ好み100パーの完璧美女メイドなのは知ってけど、実際に触れてみた感触も完璧だった。流石ワタシ、素材にこだわって正解でした。
あと声もイメージ通りなのも最高。ゲームではテキストのみだったし。
(ゲームでは抱き着くなんてことできなかったし、明らかに感情のある言動をしてる…やっぱり転生だなーコレ)
と、感触を堪能しつつも反応を確認し、ゲームとの違いなんか考えてみるも、やはり転生の二文字に帰結する思考。
これは本気で生存戦略練らないとマズいな、と結論付けた。
「あのぅ、マスター…。いつまで、そのぅ…」
あ、まだ抱き着いたままだった。
「あら、ごめんなさいね。抱き心地良かったからつい」
ようやく
「さて、
「はふぅ。未知の森、ですか?マスターは全マップ踏破されたはずでは?」
あ、プレイ内容も記憶してるのね。凄い優秀。話が早くて助かりそう。
「うん、そのはずなんだけど…
「ふむ…。何かしらの転移トラップに巻き込まれた、とかですか?」
「違うわねー。ワタシ、最後は工房にいたはずだもの」
「あ、そうでしたね。なら…なんででしょう?」
さて、どうしよう?転生って言ってもこの子に通じるんだろうか?
とか一瞬考えたけど、変に言い繕う必要もないと考えた私は
「多分だけど、いわゆる転生ってやつでしょうね。ワタシ、死んだはずだもの」
と正直に伝えてみた。
「転生…って、マスター死んじゃったんですか!?ミカさんの蘇生は!?」
ミカとはよくPTを組んでたヤンキー巫女のことである。彼女もトッププレイヤーで完全蘇生とか色々ヤバいこと出来るクチなのだが…そっか、皆の記憶もあるのね。
今までの反応からして、
「んー…、そこなんだけど…。
~錬金術師説明中~
「…えっと、つまり私やマスターが元居た世界は現実じゃなくて、マスターは現実の世界で1度死んじゃって、でもなぜか今の世界に転生して、現実じゃないはずの私も現実に召喚できた…ということですか?」
素晴らしい理解力、流石『人と同等以上の知性を持つ』ってフレーバーでも書かれてた
「そういうこと。分からないことだらけだけど、とにかくまずはこの森を出て人を探しましょ?そうすれば、いろんなことが分かるかもしれないわ」
「…そう、ですね。世界は違っても、私はマスターのお役に立つのが仕事ですから!」
そういって、彼女は決意に満ちた表情を向ける。うん、そんな顔もカワイイ。
「それでマスター、まずは何から始めますか?」
「そうね…。まずは周囲を探索してみましょ。拠点になりそうな場所があると嬉しいわね」
「わかりました!なら、いつも通り私が前衛ですね!」
「ええ、いつも通り、ね♪」
やる気十分な彼女を見て、ワタシも自然とワクワクしてくる。
いつも通り。そう、いつも通りだ。
世界が違おうが、この黄金スタイルなら、例え龍皇が出てきても負けはしないだろう。
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