仲間No.4 佐倉 綾(さくら あや)
あたしは 佐倉 綾、ピチピチの19歳ッス。
農学部畜産科の大学二年生ッス。
昔から動物が大好きなのと、実家が酪農をやってるため、迷いなく農学部の畜産科に入学したッス。
かわいい豚さんや牛さんと一緒に過ごす日々はとても楽しいッス。
大学では陸上部に入り、実家が山奥にあったため、小さい頃から野山を駆け回っていたので脚力には自信があるッスよ。
友達も沢山できたッス。
中でもウッチャン、オーチャンとは大親友と思ってるッス。
ウッチャンはゴスロリ好きの美少女で、たまたま食堂で隣になった時に、ウサギの話で盛り上がってからずっと一緒にいるッス。
私の実家には毛玉みたいなウサギがいて、ウッチャンの実家には不良なウサギがいるみたいッス。
オーチャンはアイドルをしてて、とても愛嬌のある子ッス。
一応先輩だけど妹みたいに思ってるッス。
先にウッチャンとフリフリで仲良くなって、それから一緒に遊ぶようになったッス。
カラオケに行くと私のボーカルにパーカッションを当ててれたり才能豊かな子ッス。
でもそんな楽しい日々も、あの日で終わってしまったッス。
私はウッチャンに農場に付き合ってもらい、牧場の様子を見に来てたッス。
オーチャンはバイトがあるので札駅にあるデパートのショップに行ったッス。
ウッチャンと一緒に牛さんや豚さんの様子を見ていると、大学の方から悲鳴が聞こえて来たッス。
何だろう?とウッチャンと話をしていると、三人くらいフラフラと歩いてる人がこっちに向かって来たッスよ。
そしたらいきなり牛さんに噛みつき食べ始めたッス。
あたしは頭にきてその人に掴みかかったけど、簡単に振り払われて倒されてあたしに襲いかかって来たッス。
必死に手で押さえましたが、相手は力強く赤く染まった口があたしに迫って来たッス。
もうだめ!と思った瞬間、ウッチャンが近くにあった餌やり用のフォークを相手の頭に突き刺したッス。
そいつは倒れて動かなくなったッス。
ホッとしたのも束の間、どんどんフラフラした人が寄って来るッス。
あたし達は近くにあった牛舎に逃げ込み、梯子で二階に上がり、あいつらが上がって来ないように梯子も二階に上げ、息を潜め隠れてたッス。
案の定あいつらは二階に上がる事ができなかったッスが、外や一階にいる牛さん達を襲ってたッス。
牛さん達の鳴き声が聞こえて来ましたが、あたしには何もできず謝る事しかできなかったッス。
あたしはガタガタと震えてしまい、さっきの血だらけの顔がトラウマになってしまったッスよ。
ウッチャンは人を殺したにも関わらず平然としていたのでちょっと怖かったッスが、俯き肩が小刻みに震えているのを見て、怖いのはあたしだけじゃないと思い自然と手を握ってたッス。
干し草の中で一晩を過ごし、周りにはまだあいつらがいたため逃げる事もできず、途方に暮れていた時、外からトラクターの音が聞こえて来たッス。
干し草を入れる扉から外を覗くと、そこにはトラクターのパケットの部分を上げ、助けに来てくれた間の抜けた男がいたッス。
最初は胡散臭い男だと思っていたッスが、オーチャンを助けに行ってくれたり、あたしを助けてくれたりしたッス。
あたしも助けてやったッス。ヘヘッ。
そのあと頭を撫でられた時に何故か頬が熱くなったッス。
何故ッスかね?
その時のあたしはまだ恋を知らなかったッスから。
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