13 サツエキソーラン

俺達は作戦に沿って行動を開始する。

まずはトラクターで車を押し出し、ゾンビを轢き潰しながら進む。

残念ながらヒャッハーは封印だ。

そして駅の西側にある地下駐車場の入口に辿り着く。

交差点にゾンビ共が彷徨いているが、駐車場に入る奴はいなさそうだ。

ゾンビ共にどこかへ行くように命じ、赤目ゾンビは轢き潰す。

交差点からゾンビを排除し、トラクターを先頭に地下駐車場へと続くスロープを降る。

駐車場内はまだ明るく、発電所の人達が頑張ってくれているようだ。

駐車場内を横切り荷捌所へ侵入すると、まずはトラクターを出口へのスロープの前に置き、いつでも外に出れるようにしておく。

車はその後ろに配置する。

辺りを見回すと、納品に来ていただろうトラックが、三台ほど停まっているので後で物色しよう。

トラクターを降り店内に入る準備をしていると、佐倉さんが話しかけて来た。


「あたしも連れて行ってほしいッス」


まさか付いて来たいとは思っておらず驚いていると、


「福山さん、友達わかんないッスよね?」


確かにそうだが危険だ。


「何があるかわからないんだぞ」


佐倉さんの目を見て説得は無理だろうなと思いつつ警告を行う。


「大丈夫ッス。これでも陸上部なんで逃げ足は早いッス」

「はあー、わかったよ。でもそれなりの準備はしてもらうぞ」

「了解ッス」


手のひらを頭につけて変な敬礼をして喜ぶ佐倉さん。

まあ俺が守れば良いだけの話だ。

今までは俺だけが前に出ていたが、これからは他の皆もゾンビと対峙する時があるかもしれない。

だから人を守りながら戦う予行演習みたいなものだと思う事にした。

佐倉さんには銃とポリカーボネート製の盾を持たせて、銃の使い方の説明をする。

まあ俺がいる限り使う事はないだろうが念の為だ。

俺も念の為に銃とバットを持ち店内の方へ向かう。


「ところで友達はどこで働いてるんだ?」

「二階にあるショップでエスカレーターの側ッス。」


ではまずはバックヤードから店内に入るか。

階段を見つけるとその横にはエレベーターがあったが、ゾンビ物のお約束だとエレベーターから降りた瞬間に襲われるだろうから、今回は階段で行く事にした。

階段室にはゾンビはいなく、二階までスムーズに上がる事ができた。

バックヤードを通り、店内に出る扉の隙間から中を覗くが思ったよりはいなかった。

出入口がある一階と、人が集まる地下一階の食品売場にいるのだろう。

それでも20体程いたゾンビをエスカレーターで一階に下ろし、友達が働いているというショップに辿り着いた。

そこには誰もいなく、さっきのゾンビ共にも友達はいなかったみたいなので、既に上の階に逃げたのだろうか。


「もしかしたら九階にある食堂に逃げたのかもしれないッス」

「食堂なんてあるの?」

「従業員食堂ッス。店内にはゾンビがいるッスけど、食堂はバックヤードにあるのでそこに避難してるかもッス」


佐倉さんも昔、地下一階のお菓子屋さんでバイトをしていたらしく、よく知ってるのだとか。

俺達は友達を探すため九階に歩を進めるのであった。

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