12 二人のJD
邪魔をするゾンビを轢きながら牛舎へ近付くと、外の異変に気付いたのか、女の子が二人扉の隙間からこちらを見ている。
「助けに来たよー」
と声をかけると、干し草の搬入口の扉を開けてくれた。
「マジ助かったッス!」
「感謝」
そこにいたのは、グレーのパーカーにデニムのショートパンツをはいた、肩ぐらいまである黒髪の元気そうな子と、ゴスロリ。
そうこの場に最も相応しくない格好の女の子は、黒のフリフリした服とスカートをはいていた。
髪は金髪をショートカットにし、目が青いけど多分カラコンだろう。
とりあえず二人にバケットに乗り移ってもらい、みんなが乗っている車へ向かう。
一応、王の力でゾンビ共を停止させていたのだが、赤目ゾンビは抵抗しながら向かって来たので容赦なく轢き潰した。
下のほうから、バキッ、グギッ、ギャッ、ホゲッとか聞こえて来るが気にしない。
バケットの二人は青い顔をしていたが、それも気にしない。
車に着いたら早見さんに怒られた。
ヒャッハーの件ではなく、バケットの中の女の子達を怖い目に合わせたかららしい。
ついでにヒャッハーも怒られた。
一応反省しておいた。
やっぱ常識人マジ怖い。
女の子達を車に乗せ、落ち着いてきたので自己紹介をしてもらう。
「佐倉 綾、19歳ッス。畜産科の2年ッス。よろしくッス」
ほお。畜産ということは酪農を任せられそうだな。
(ペット飼ってない?ウサギとか黒犬とか)
「内田 礼。21歳。農業科3年。よろしく」
こちらは農業か。
農作業服着るとかギャップがあり過ぎるんですけど!
(闇に飲まれないよね?)
これで一応欲しい人材は揃ったわけだがこれからどうしようか。
全員家族がいなかったり遠くに住んでるみたいなので、南の島への移住は同意してくれた。
ただ大学生の二人は、宮城や千葉に家族がいるみたいなので、余裕があったら寄って行こうと思う。
考えていると佐倉さんが話しかけて来た。
「お願いがあるッス。私達の友達がバイトに行ったまま帰って来ないので探しに行きたいッス」
「バイト先はどこ?」
「札幌駅にあるデパートッス」
札幌駅か。
できれば避けたかったんだがな。
人口密集地だからゾンビの数も半端ないだろう。
「ダメッスか?」
潤んだ目で上目遣いは反則だろ。
まあ今後の目的の一つをそこで見つけても良いか。
「わかった。そのお友達を探しに行こう」
「マジッスか。ありがとうッス」
やっぱ若い子の笑顔は良いね。
と思ってたら何故か沢城さんが睨んできた。
えっ?俺、心読まれてます?
「行くのは良いがどうやって行くんだ?あそこは車も多いから道が塞がってるだろ」
悠木が俺も思ってた懸念を言ってくる。
そこは解決済みなのさ。
「トラクターを使って車を排除しながら行く予定だ」
「んー。それなら行けそうだな」
悠木も納得してくれたのでこれからの予定を話す。
まず俺がトラクターで車を排除しながら進み、そのあとを運転免許を持ってるという早見さんがアルファードを運転し付いて来る。
そしてデパートの西側にある入口から地下駐車場へ突入し、駐車場と繋がっているデパートの荷捌所へ侵入する。
そこで皆には待機してもらい、俺一人で店内に入り友達を探す。
もし安全ならそこで目的の一つであるトラックを手に入れる予定。
よしミッション開始だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます