続・岐阜編【From:鯉子】
鯉子です、こんばんは。
昨夜のエッセイの続きですが、ラメちゃんに任せていると私たちの名誉が傷つきそうなので、交代します!
そもそも初日の夜のラメちゃんはひどいもので、長野を出るまえに食事をしたときからお酒を飲んでいて、結局運転は私がしたのでした。くらげちゃんは免許を持っていないので、助手席で道案内をがんばってくれました。その間なんと、ラメちゃんは後部座席でぐったりです!なんてことでしょうか!
宿に着けばますますラメちゃんの酔いは深まる一方で、お風呂に入っているときなどは、支えてあげないとずるずる熱湯のなかに沈んでいってしまうほどの泥酔だったのです。
いざ枕投げがなんだと言ってましたが、実際は布団のうえに大の字を書いてむにゃむにゃ言っているだけで、すぐに寝息を立ててしまいました。
ついでに言うと、昨日も酔っぱらっていました。最近のラメちゃんはすこしお酒を飲みすぎています。昨夜の記事を見せると、消してくれよおやり直しさせてくれよおと言うのですが、ここはいましめのためにも遺しておくべきだろうと判断しました。
だからといって仲が険悪になったわけではありません。
初日の夜のそれぞれの自由な行動も、こういうことのできる気の置けない間柄だからこそ共同生活が成立するというもので、ちっとも忌避するものではなく、むしろ尊重するべきものとも思うのです。
とまあ前置きはそんな感じで。
二日目は朝早くから下呂温泉を目指し、険しい山道をのぼり、くだり、気持ちよく温泉につかった私たちは飛騨に寄り、白川郷へ行き、また飛騨に戻り、時間が足りないほどに忙しく観光しました。
昼過ぎに食べた飛騨牛カレーの味は歴史的な衝撃で、私たちは店をでてからもしばらく美味しかった以外の言葉を失ってしまいました。ほんとうに美味しかった。飛騨は町並みがよく、レトロな雰囲気が好きな私にはたまらない景観でした。
十月には高山祭というおおきなお祭りが催されるようで、くらげちゃんはいちど過去に行ったことがあるのだと言いました。どうやら京都に住んでいたことがあるみたいで、そのときに来たのだとか。
私ははじめて聞いたそんな話に、すくなからずおどろきました。たいへんに美しい祭屋台が街中を練り歩き、たくさんの人がきらきらとした瞳でそれを見あげているのが好きなんだと。くらげちゃんは優しい。また一緒に来ようね、とすかさず言ってみせるラメちゃんの優しさ。私はこの旅でふたりのことがまた一段と好きになりました。
そうそう、おどろいたことがもうひとつあって、それは夜ご飯を食べて涼しい通りを三人で歩いていたときのことなんですけど、とつぜん外国人観光客の方々に話しかけられて、英語のできない私はおどおどしているところを、ラメちゃんが流ちょうな英語で受け答えしてくれたのです。
私はぽかーんとしてしまいました。
異国の男性四人に囲まれて、飛んでくる言葉にそれぞれすばやく返事をしているラメちゃんはとてもかっこよく、バーイと手を振るラメちゃんを、私は尊敬のまなざしで見てしまいました。
聞くところによると、ラメちゃんは一時期ワーキングホリデーで外国を行ったり来たりしていたとのこと。それであんなにも巧みに英語が話せるようになるのかと聞くと、わかんないけど、とラメちゃんは言って、あたしの場合はオーストラリア人と付き合ったりしていたから、と続けました。私はおどろきで、ラメちゃんがぐーっと遠い世界の人のように思えました。飄々とした、分け隔てのないところはそんなところからくるのかもしれないなと思ったり。
とにかく私はこの旅でふたりのことをまたすこし知ることができました。いい部分、そうでない部分だって人間の魅力ですよね。
二日目の宿では三人の将来の話をしたり、過去の話をしたり、現在の話をしたりしました。それはいまここでは話せませんが、いつか話せるときが来るといいなと思います。それまでは内緒です。内緒はいいものです。友情をきりきりと引き締める。
三日目は朝早くに出て、高速道路でまっすぐ帰ってきました。
私たちは亀さんから出発前にインスタントカメラを渡され、フィルムいっぱいに写真をおさめてくるよう言いつけられていたのですが、普段から写真を撮らない私たちでも自然とシャッターを次々切ってしまい、自前でもカメラを買ってしまうくらいには見どころの多い旅でした。
駅まで迎えに来てくれた亀さんに、さっそくカメラと、それからお土産に買ってきたさるぼぼをあげました。酔っぱらって顔を赤くした亀さんに似ていて可愛らしく、お土産はこれだねと私たちの意見は一発でまとまりました。喜んでくれているようでした。
また機会があれば、旅に出たいものです。旅はとてもいい。
以上です。
それでは、また。
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