プロット Ⅰ

❶→設定  ①→Episode


❶古から現代へ至るまで>大昔の魔法は宗教が密接に関係する超常的な存在だった>多くの神々を信仰する様々な勢力が点在し、敵と見なせば争い、仲間と見なせば協力し、超常的な魔法を使う者、魔法使いは神と人を繋ぐ賢人だった>宗教と魔法を密接に捉える考え方は魔法学を提唱した現代魔法使いの先駆け、浩二こうじにより生み出された>自らの魔素センスから魔法を体系化した浩二は神を否定し、力で人々を支配する帝国を作った>自らを神格化した浩二は帝国民から信仰された>死してなお信仰により一族の権威を高めた浩二の影響力は絶大だったが過信し堕落した帝国は革命により崩壊した>崩壊後に力を持った勢力は建国し、魔法を技術的な物と捉え、神格化された浩二と切り離した魔法学を提唱した>魔法学を体系化する為に魔法協会を設立した国際連盟は『帝国に反抗した革命軍が魔法を使えた事』を根拠に宗教との繋がりを否定した魔法学を広めた>帝国が体系化しなかった古の魔法は帝国時代に隠滅されたものが多く、現代に残されたものが少ない事からおとぎ話だと思われているものが多い>古の魔法、古代魔法は体系化されておらず、帝国、初代皇帝が体系化した魔法を除いた魔法は基本的に現代魔法では扱われていない事から実在性を信じない者は多い。




⓪魔法使いの健治けんじは魔法が失敗して爆発した影響で炎上する店舗から一人の少女を救出した>診療所で治療を受け終えて眠る少女の荷物から多量の魔法石が見つかり爆発事件との関連性を考える>目覚めた少女に身元確認を行おうと個人情報を聞いたら太朗たろうと名乗り自身は男だったと主張される>信じ難い主張に頭を悩ませた健治は事件の容疑者である彼女の住まいを知る必要があり彼女と共に自称する自宅へ向かった>家にいた女性を母親だと主張する少女は『僕は太朗なんだ』と語るも信じてもらえず悲しそうな表情をしていた>口を挟めなかった健治は会話が終わり閉じられた扉を眺める少女が嘘を言っているとは思えなくて、否、思いたくなくて、同情した末に容疑者を野放しにはできないと口実を取り繕って少女を自宅に招待した。




①太朗は事件(事故?)に巻き込まれる>大怪我を負った太朗は生き延びる為に治癒魔法を行う>想定外の作用で女体化>救出された太朗は自身を太朗を証明できない>母親を説得するも信じてもらえず>衣食住や仕事、家族を失った太朗>太郎を助けた健治は太朗の与太話を信じ同情した末に個人的な形で衣食住を提供した>二人の同居生活が始まった。


1.1爆発で全身が燃え、猛烈な暑さと身体が焼ける激痛を感じながらも、先ほど、購入した珍しい魔法石を用いて古代の治癒魔法を行った太郎の身体は回復したが魔法は完全に成功せず肉体の性別を変えてしまった。



②女性と同居した経験が無い健治の家には今の太郎に必要な生活用品が不足していた>小柄で華奢な太郎には健治の寝間着は大きすぎてズボンは履けず色々と問題が有った>太郎は女としての自覚が欠如しており、一夜を過ごそうとしていた>女生に免疫が無い健治は刺激が強い太郎の姿(健治的には)に耐えられず『破廉恥な格好で恥ずかしくないのか?』と注意したら『これしかないんだから仕方ないじゃん!』と開き直り逆切れされた>『診療所で貰った服を着れば良いだろ!』と言った健治は太郎から『お風呂に入ったら着替えたいじゃん!』と言う感情的な反論を受けて『それしか無いんだから仕方がないだろ』と思ったままに言ったら『うっ……』と黙り反論できない太郎の様子を見た健治は罪悪感を抱いた>自分とは異なる太郎の前提を考慮せず『仕方がない理由』を責めて太郎を追い込んだ自分の言動を自覚した健治は太郎に強要しすぎず、妥協する方法を選び『明日、買い物に行くぞ』と言い『僕、お金ないんだけど』と言い出した太郎に『俺が買ってやる』と言い放ったら『それはダメ』とお金に厳しい様子の太郎が面倒になった健治は『決定事項だ』と告げ、拒否権を与えず話を終わらせた>これ以上、拗れる話をしたくない健治は『もう寝るぞ』と告げて寝室に太郎を押し込みリビングのソファーに寝そべり目を閉じた。


2.1事件で服がボロボロに成り裸だったが健治に着せられていた服を着せられていた太郎は診療所を出る際に女性用の服を看護師から着せられたが、健治が代金を払った事を太郎は知らない。


2.2刺激が強い太郎の格好(健治的には)は、身体を洗った後に着る服は綺麗なものが良いと思う太郎が、健治のサイスでは大きすぎてズボンや下着は履けず、健治の家に女性用の下着(上)が無かったから仕方なく付けずに、大きい健治のシャツ(部屋着で薄着な)なら隠れているから大丈夫かなと思っていた太郎は『恥ずかしい奴』と言われて侮辱された気分に成り太郎的には『仕方がなかった』と主張したが寝室で一人に成り冷静さを取り戻した太郎は仕方がないでは言い逃れ出来ないほどに間違っていた自身の言動に後悔して強く当たった健治に罪悪感を抱いて健治の主張に従った方が良いのかな、と思ったが今更、終わった話(着る服の事)を蒸し返す勇気は無くてそのままの格好で健治の寝具を使い就寝した。


2.3自分が行いたい事を優先しがちな太郎は、後に成って恥ずかしさに悶える事があり、恥ずかしい自分の行為を正当化する為に他者からの指摘に反論したり、誰からも問われていないのに言い訳する事があり、性格に難がある事は否めず、後に成って後悔するも、その時を優先しがちな太郎は、自覚が甘いと繰り返してしまう。


③規則正しい生活が当たり前な健治は朝食を作りながら太朗の起床を待ったが一向に現れない状況に耐えかねず朝食を作り終えた機会に寝室へ向かった>扉を叩き音を鳴らして『起きろ! 朝だぞ』と言葉を投げかけても返事はない>耐えかねて扉を開けて入室した健治は寝相が悪いのか見えそうで見えない太朗を目にした>ぶかぶかの服は乱れ、見てはいけない素肌が見えかけているものの起こさなければ朝食が冷めてしまう――と思い『起きろー、朝だぞ! 朝飯で来てるぞ!』と叫んだが覚醒せずだらしない体勢を続ける太朗が悪いと開き直った健治は太郎の身体から視線を逸らしながら近づいて『起きろ!』と叫び『ご飯の時間だ』と言ったら寝ぼけ気味な太朗から『ごはん~?』と呟かれた>着替えもせずリビングに向かった太朗の行動に不満を抱きながらも妥協すべきと堪えてリビングへ向かった健治は太朗と共に朝食を食べた。


3.1太郎の動きは女の自覚が無く無防備で視線に困った健治は自覚させなければ、と思いながらも、性別が変わったのなら仕方がないのかもしれないと考え『性別が変わった』と主張する太郎の言葉が正しいのではないか、と少し実感したが本当にあり得ることなのか? という疑問を完全に払拭できるほど、魔法の常識に囚われている健治は、太郎が記憶喪失ではないか? とも考えてしまう。


④町でお買い物。


⑤~⑥は何となく開けただけ。


⑦帰って来ない息子、太郎を心配する母、陽子の下に貴族、桐生家の次男、三蔵からの使いが訪れた>難病に苦しむ三蔵様を魔法で治療した息子は三蔵様からごひいきにされている>爆発火災事件(事故?)から行方不明な息子の噂を耳に入れた三蔵様は使いを出して情報収集を行っている様で手始めに家族の下を訪れたらしい>帰宅していない事を伝えた陽子は『何でも良いから情報が欲しい』と言う使いへ『息子だと名乗る少女が騎士と共に来た』ことを話した>情報の提供に感謝する使いから『太郎さんを見つけ次第、連絡いたします』と告げられて『お願いします』と頭を下げた陽子は何処で何をしているのか分からない息子を心配しながら『あの子の奔放さにも困ったものね』と思い悩んだ。


三蔵さんぞうに仕える従者、隼人はやとは主人の病を古代魔法で治療する太郎が行方知れずになった状況を打破すべく太郎の母親、陽子の下を訪れ有用な情報を手に入れた>入手した情報から騎士、健治の家を訪れた隼人は主人、三蔵様の名前を用いて家に上がり込んだ>案内されたリビングには誰も居らず謎の少女は見当たらなかったが玄関に置かれた健治の物とは思えぬ小さ目な靴から少女を保護している可能性を考察する>三蔵様に必要な太郎を探していると伝え、情報提供を求めたが勝手な判断に躊躇するしているのか即答は得られなかった>リビングの扉を開けた少女から『探し人は僕だよ』と少女が現れた>情報通り少女で有るが故に彼女が太郎であると信じられない隼人は『証明できるか?』と尋ねたら『魔法で証明する』と言われた>その提案を受け入れた隼人は少女が使った古代魔法『甘味付加』の工程とそれで味付けられた水を飲み太郎と同様の希少な魔法使いであると判断した>断定はできないが自分を知り『甘味付加』を選んだ事から少女は太郎であると仮定しても不都合はないと判断して『ご主人様と面際していただけませんか?』と頭を下げた>なぜ少女に成ったのか、気に成らない訳では無いがご主人様の治療を優先する為に幾つかの確認を行った後、少女が太郎であるなら必要な事だと結論づけた。


⑨古代魔法にのめり込んだ影響で両親から桐生きりゅう家、本宅を追い出された三蔵は太朗の治療を受けて順調に回復している>現代の魔法学では治療できないと匙を投げられた病気は体力を奪われる事から体を動かす行為が厳禁であり寝具から自力で出る事すら避けるべきと思われていた>従者の隼人は自身の代行者で有り自身の代わりに本を自室まで届けてくれる>魔法学の発展により治療できる日を望んでいた事は遠い昔の出来事である>発展を望むも数年の月日は待っている退屈さに耐え兼ねて自ら魔法を学び始めたら魔法学では虚像とされる古代魔法を知った>魔法学で不可能ならその枠外である古代魔法に縋るのは当然の事だと思う>魔法学が主流のこの町で古代魔法を学ぶ者は少なく専門家はもちろん本でさえ入手が困難だった>裕福な貴族である桐生家の財を用いて本を集めた三蔵は古代魔法という空想にのめりこんだ>夢物語と蔑む者も居るが魔法学では叶わない夢が詰まっていた>そんなある日、古代魔法は実在すると語った少年、太郎の噂を耳にした三蔵は興味を抱き隼人を仲介して自室に招いた>太郎の希少な魔素マソのセンスは古代魔法を実現できた>集めた古代魔法の本を貸し与えた三蔵は太郎に病気を治す古代魔法を使えるように成って欲しいと頼み込み約束を交わした>月日が流れ、治療を行い始めてから効果が現れるまでは時間を要したが次第に効果が現れ始めた>母親は治る希望を抱き歓喜したが古代魔法を用いている事に対外的にも内心的にも不満を抱く父親からは気に入られなかったが止められる事が無かったのは三蔵の事がどうでも良かったのか、許容しがたい方法であっても息子の病気が治る事を望んでいたからか>家の中を歩けるまでに回復した三蔵が外出を控えるのは古代魔法で治療したと言う事実が魔法学が盛んな社会にとって不都合であると考え家族に飛び火させないためだ>だからこそ、治療に訪れる太郎とのひと時はとても有意義な時間である事は間違いない。


⑩桐生家、現当主、健藏は自身の息子で次男の三蔵の身体が自由に動かせない病気の治療法がない事から、不自由な思いをする三蔵に可能な限りの娯楽を与えようと考えていた>習得させた語学を古代魔法の解読に用いたことは予想外だったが三蔵が見つけた太朗と言う魔法使いは病気を治し得る力を持っていた>この町を統治する桐生家は魔法学会と密接な繋がりが有り古代魔法を肯定的に扱うことは反感を買うことから三蔵を止めるべきだったが周囲に三蔵を愚か者と思わせる事で三蔵の治療を続けさせた>愚息と呼び本宅からも追い出すこと活動しやすくさせた健藏は我が子を虐げる行為が最善だと考えつつも三蔵から軽蔑されている可能性を考えると苦しくもある>それでも聡明な三蔵なら理解しれくれているのではないか、と自分勝手な願望を押し付けてしまうのは未熟なのだろう。


⑪三蔵の下を訪れた太郎は魔法を実践して仮ではあるが太郎だと認知された>太郎と三蔵の両者は治療を継続することで合意した>メイドの玖瑠美くるみと従者の隼人と自分の三人で暮らしている三蔵は住まいの空き部屋に余裕がなかった>両親に頼む事も考えたが見放された可能性を思い浮かべてしまいそこまでの要求が通るのか分からない>叶えてもらえなかったら自分はその程度だと決定づけられそうな気がしてお願いを躊躇してしまう>三蔵の躊躇を察した? 太郎が『健治の所で暮らすから大丈夫』などと言ったら健治が『勝手に決めるな』と突っ込んだが『ダメなのか?』と太郎から問われ、ここに居る太郎、三蔵、隼人、玖瑠美から視線が集中した結果、『分かった』と諦めた。


⑫『僕の名前を使って良いから、母親から認知されて来い』と三蔵から勧められた太郎は『ありがとう』と告げた>隼人と共に実家へ行き『僕は太郎だ』と再び説得した太郎は『三蔵様が保証します』と語る隼人の援護を受けて何とか母親、陽子から認知された>多くの人々に肉体的な性別が変わった事を認知させることは難しく、騒ぎに成れば太郎が魔法学会や古代魔術系信徒の標的になる可能性を危惧した隼人から『元に戻るまでは最低限の人数に留めておいた方が良い』と助言された末に今後の方針は女体化の研究をしながら女性として生活する事にした>太郎は自身の姿に強いこだわりが無く、その方針で良いと即決していたが陽子は不満を抱きながらも理解を示していた>『住む場所はどうするか?』と言った隼人に『私の家で以前の様に』と答える陽子に『魔法学校に通いたい』と太郎が言い出した>三人に驚かれて隼人から『なぜその様な事を?』と問われた太郎は『僕の悪評は知ってるよね?』と聞き返された隼人は『存じております』と答えたら『それが原因で魔法学校を中退したんだけど……今の僕ならその悪評が無いんだから行けるかなー、って思ったんだけど』と太郎は答えた>太郎の答えを聞き終えた健治は『どうやって通うんだ?』と真っ当な疑問を口にしたら『三蔵様は当てにできませんよ』と隼人から忠告された太郎は健治をじっと見つめた>見つめられる意図が分からず困惑している健治は隼人から『魔法学校を卒業生である健治様なら太郎君の保護者を勤める事は可能かと』と告げられた>『なんで俺が!?』と驚く健治に甘えた仕草で『お願い』と強請った太郎に気押される健治は何とか踏みとどまり『だめだ』と少し面倒な太郎から解放される為に拒否したが陽子から『お願いできませんか』とお願いされた>太郎、隼人、陽子の三人から見つめられた健治は耐え兼ねて『分かった』と諦めた。


⑬魔法学校に通っていたが『古代魔法は眉唾物』という主張をした学生に『古代魔法は実在する』と反発した事で生徒や先生から虐げられた>三蔵と知り合い魔法学の本を提供された事で独学で魔法学を学べるようになった太郎は居心地が悪い学校に通わなくなった>太郎の父親、権太けんたは息子、太郎の魔素センスが優れていると気付いてから古代魔法の資料を集める為に旅をしている>学校で虐められていると知った権太は太郎を旅に同行させようと試みたが母親、陽子から『貴方の身勝手な旅に太郎を巻き込まないでください』と拒まれた>太郎が三蔵という協力者を得た事で学校に通う必要性は無いと結論付けた権太は一人旅を再会した>性転換した事を父親、権太に告げるべきか考えるも稀にしか規制しない父親が知らなくても支障はないと結論付けた陽子と太郎は父親、権太に女体化した事を伝えなかった。


⑭優れた魔法使い、健治の勧めで魔法学校高等部に入学できた太郎、改め、花子は学生寮に引っ越す準備を行った>生活に必要な女性特有の常識は母親、陽子や三蔵のメイド、玖瑠美から教わった花子は寮に引っ越した>高等部から入学する生徒は少なく希少性から目立つ事は予想できるからこそ、注目される事を活かして魔法学者に都合が良い人物を演じようと考える太郎は学校内で昔の同級生、由香ゆかと出会った>太郎的には再会だが花子的には初対面で有り複雑な心境だった>案内しれくれる女子寮住まいの女学生から由香が浮いていると言う話を聞かされて関わらない方が良いと忠告された花子は過去の出来事を思い出した>昔、虐めに対して反抗的だった由香から励まされて庇われた太郎は、虐めの首謀者であり由香に思いを寄せる宗次そうじから『由香の為を思うなら離れた方が良い』と忠告された>宗次そうじの言う通りに自分が離れたら由香に対する攻撃は止むと考察した太郎は由香の前から姿を消した>結局の所、それは逃げただけで、その後も由香の立場を悪くし続けている事に変わりは無くて、一人で逃げた自分の情けなさを自覚し、罪悪感を抱きながらも、図書館の魔法書を網羅するまでは教師たちから好まれないといけない事から関りを持てない状況に葛藤する事に成る。


⑮優れた魔法使いとして知られている健治の影響でクラスメイトの多数から受け入れられた太郎は魔法の実践でも実力を示した事である程度の影響力を得られたがクラスメイトの由香は自ら他者と距離を置き孤立していた>花子はなことして入学した目的を果たすには由香と関りを持たぬ様にすべきだが抱く罪悪感は徐々に花子の心を支配しつつある>困り悩んでいる花子は入寮してから数日ぶりに健治の家へ行っていた時『悩み事でもあるのか?』と問われた>個人情報を含むことを話しにくい……と言う言い訳はすべきではなく、思い出した罪悪感と今の目的に挟まれて悩んでいる事を打ち明けた>保護者である健治に打ち明けねばどちらを選んでも進めないと結論付けた花子は健治の言葉を待った>健治から『学生間に留まる以上は口を挿む気は無いが、これだけは言っておく。俺を言い訳にするな』と苦言を呈された花子は自分に選択権がある事と責任は自分が負う事を意識させられた>恐る恐る『いいのか?』と聞いた花子に『お前の悪評で揺るぐほど俺はしょぼくない』と健治は自慢げに語った>冗談を織り交ぜながらも背中を押してくれた健治に感謝しながらも言葉にするのは気恥ずかしくて小さく『ありがとう』と呟いた花子は覚悟を決めた。


⑯一人で活動する由香に話しかけた花子は由香から『迷惑』と言われたがその言葉の意図は巻き込まない為だと確信してその言葉を無視するように積極的に関わった>逃げる由香は追い回す花子から逃げる事を諦めて『どうなっても知らない』と告げて逃げる事を諦めた>クラスメイトから『関わらない方が良いよ』と言われたが『教えてくれてありがとう』と言った花子は由香と関係を継続した>関係が続いている事で『良くないよ』と言われたが『教えてくれた事は感謝してるけど、どうするかは私が決める事だから』と言い由香と関わり続けた>クラスメイトから距離を置かれている状況を理解しながらも能力を示し続けて大人たちから認められたら図書館を利用する事は出来るから花子にとってクラス内で少数派に分類される事に大きな問題は無かった。


⑰由香と交流を続けた結果、友達になれて自宅に招待された花子は由香の兄、剛士たけしと出会った>太郎的には再会だったが花子的な初対面を装って挨拶を乗り切った花子は太郎時代に由香の悪評を改善する為に距離を置いたことで入店していなかった魔法石工房へ数年ぶりに入った>昔買った製品や知らない製品を物色して楽しんだ花子は剛士からの視線に気づき『なんですか?』と尋ねたら歩みより角に追い詰めてきた剛士から『君は太郎君だよね?』と問われて動揺した花子は答えられず『えっ……』と言い淀んだが『冗談はやめてください』などと否定したが聡い彼なら気付いているのかも、と思ったら混乱して頭が真っ白に成った>何も言えぬ花子の様子から確信したように『やっぱり』と言った剛士は焦り由香を視線で気にする花子から『このことは内緒に……』とお願いされた>『良いよ』と答えた剛士から『そのかわり、魔法石の開発に付き合ってもらうから』と要求された花子は『分かった』と答えるほか無かった>由香に聞こえないように剛士が気遣っていた影響か由香には知られなかったが太郎時代の様に製品開発に付き合わされるのは良いのか悪いのか分からないが、楽しかった思い出は花子を少し嬉しい気持ちを抱かせた>……>由香が学校で孤立する原因である太郎を悪だと断定できないの剛士は太郎を好いていた妹が思い人を守るために意固地に成り戦っている状況を応援している>それでも幼かったとは言え迫害される言動を行った太郎を何もせずに許せるほど器は広くない剛士は由香からも逃げた太郎と再会したら何をしてやろうかとたまに考えていた>太郎の魔素ンスを認めている剛士は太郎の協力を得て完成したレシピを使っている事から店に来なくなったことを残念にも思っていた>太郎の母親、陽子に魔法石を売っていた剛士は由香と太郎が合わなくなった後も商売相手の間柄から太郎の情報を得ていた>太郎が行方不明に成った時も息子を心配して調子が違う陽子に気付き聞き出していた剛士は数日後に平常心に戻っていた事から情報を集めたら太郎と花子が結び付いた>太郎の方から由香と距離をとった事からこちらから動くべきか悩んでいたが、太郎の方から現れた事から由香の状況が好転する手助けをするためにも仕事を手伝ってもらう為にも 繋がりを築いた剛士は仕事仲間との再会を喜んだ内心を表に出さず寮に帰る花子を工房から送り出した。


⑱魔法の試験練習をしていた時、上手く行かなくて悩んでいた由香は太郎から勧められた魔法石を使ったら成功率が百%だった>『なんで分かるの?』って聞いたら当然だと言わんばかりに『僕は人より沢山の魔素が判別できるみたい』と言われた由香はその才能に圧倒された>失敗が続いて『私には魔法の才能が無いのかな?』と自信なく落ち込んでいた時に『成功しないのは君のせいじゃなくて魔法石のせいだから』と励ましてくれた太郎は大人よりも頼りになる男の子だった>大人たちは太郎の才能を信じない人も多かったけど、それ原因は古代魔法と現代魔法を同一視する彼の考え方にあったみたいで、保守派の魔法学者や魔法教師たちは太郎の主張を否定して、その大人たちを妄信する生徒たちも彼を貶していた>彼の才能を実感した由香は大人たちが間違っている、そう思えた>子供だった由香は社会的な立場より感情的に太郎に味方して保守派と対立した>対立した結果、虐めの対象に成った由香を守るため太郎は生徒に強い影響力を持ち由香に好意を抱いていた男子、宗次そうじは僕の存在が気に入らないんだろうと考えた末に由香から離れる事で宗次に由香を守ってもらおうと考えて学校に行かなくなり中退した>太郎と出会えなくなった由香は『虐めに耐えられなくなった』といって逃げ出した太郎は悪くないと考えていじめた側を悪と見なし、意地を張って戦い続けている>太郎が望んだ結果にはならず、宗次の説得を聞き入れず反発し続ける由香は学校で孤立しながらも魔法石職人の兄、剛士に支えられながら魔法を学んでいる>そんな彼女は強引な花子を巻き込まないように突き放したがそれに臆さず迫る花子に負けて友達に成った>友達がいる幸せを久しぶりに実感した由香は意地を張っていた自分の愚かさに気付いて頑固に成りすぎていたと反省した末に大人に成ろうと考え始めた。


⑲精神的な部分で大人に成ろうと思った由香は学校でいつも通りの生活を送る中で孤立して花子以外から構われない自身の立場を実感した>他者は私との距離感を変えようとは思っていないのかもしれない、そう考えると孤独を実感して寂しさを感じるが側に居てくれる花子の存在はその寂しさを和らげる>花子が居てくれれば……、そう考えてしまう程、彼女に依存してしまっている自分に気付いた由香は『このままじゃダメだ』と堕落しかけた心を奮起した>学校で魔法を学び魔法使いに成って卒業できれば良いと思っていたけど私は強がっていただけで心の底から孤独を望んでいた訳ではないと気付いてしまったから、と己の内面、その一部を自覚した由香は自分から話しかけないと変わらない、誰かに頼ってもみんなが花子の様に私を救ってはくれないから、と決意を心の中で言葉にした>クラスメイトに上ずった声で『あの』と声をかけたが無視はされなかったものの好意的な反応は得られず戸惑った様子で『なに?』と聞かれて緊張する心は対処法を見出せず『何でもないです』と答えて逃げてしまった由香はいつの間にか他者とのコミュニケーション能力が低下している自分に驚かされたが、それも当然なのだろうと思う由香は孤独に逃げて対話を軽んじた影響が響いていると実感し、困難な道のりを歩むのだと実感した。


⑳未だに由香を思い続ける宗次そうじは居なくなった太郎を思い続けて反抗的な態度を崩さない由香が気に入らず対立し続けている>自分から歩み寄ったら太郎に負けた事になると考える宗次は由香が折れる事を待ち続けているが望み通りには成っていない>そんな状況は変わらないのではないか、そう思っていた宗次の予想は花子が現れた事で外れた>入学当初の花子は由香と距離を置いていたが何時からか由香と距離を詰めていた>由香を敵視して団結する生徒たちは才能ある花子が敵になる事を望まず『由香には近寄らない方が良い』と脅していたが動き出した花子は止まらなかった>孤独故に弱かった由香が魔法に優れる仲間を得た事に恐れる生徒たちは多かったが手のひらを反す程、自尊心を軽んじる事は出来ず花子とも対立し始めた>宗次は由香の側に居る花子を羨ましく思い嫉妬した>花子に嫉妬する自分のカッコ悪さから目を逸らし、虚勢を張る宗次は由香を直接的にいじめていた者たちが由香に大怪我を負わせる可能性がある行為を行った>花子が由香を助けた事で大事には到らなかったが度を過ぎた行為に激怒した花子が怒鳴る様子を見聞きして、自分が折れず歩み寄らなかった影響で由香を苦しめていると自責を自覚した宗次は立場が悪化する事を恐れてしまい人前で誤る勇気はなかったが花子と二人で居る由香に『すまなかった』と誤ったが『え?』と困惑する由香にみっともない自分を説明したくなくて、何も言えなかった>沈黙する場に耐えきれなくなった花子が『何に対して謝っているんだ?』と聞かれた宗次は『それは、由香が虐められる原因は、俺だから……』と答えたら『なんで宗次君が?』と実態を把握できていなかった由香が疑問を抱いていた>言いたくなかったが言わなければ謝罪が伝わらないと考えた宗次は『太郎を虐めるように仕向けたのは俺なんだ、あいつを庇った由香まで虐められるとは思わなかったんだ』と説明したが『宗次君は私を虐めてないよね?』と由香から問われた>その問いの答えを探し、考えた宗次は自分が由香を虐めていない事に気付き、傍観していた自分が謝る理由は無いと理解した>自分が謝るべきは太郎で有り由香ではない、その事実に気付いた宗次はそれでも太郎に謝って負けを認めたくない自分の愚かさに嫌気がさした>口から『ああ、そうだな』という言葉をこぼした宗次は変わるべき自分を理解し、太郎に謝る前に『それでも苦しむ由香を傍観していたのは事実だから、その事は誤らせてくれ、この通り』と頭を下げた宗次に『えーと、そう謝られても困るし、謝るべきは私じゃなくて……』と由香から言われた宗次は『分かってる、でもこれは俺の気持ちだから、受け取って貰えなくても言わなきゃ気が済まないから、迷惑かけてすまない』と謝罪した後、立ち去った>宗次から謝罪された由香は彼の変化に驚きながらも虚勢を張っていた自分が認められた気がして嬉しかった>歪な形で自分に謝罪しようとする宗次の変化を知った花子は太郎ではない自分は宗次の謝罪を受け止められない事実に申し訳なさを抱き、魔法を学ぶなら花子でも問題ないからこのままでも良いかな、と考えていた事を考え直させられた末、宗次との因縁を終わらせる為に太郎に戻らないと、と考えを改めた。


㉑昔と今、二度も消えた僕は由香を悲しませている、謝りたい宗次が歩み寄ったのに姿を現せない僕は彼の気持ちを蔑ろにしている、それらが生んだ罪悪感に支配されて学校に行く事が苦痛に成った花子は耐え難い苦しみから脱したくて二人に自分が太郎だと告白しようと思い始めた>信じてもらえない可能性を軽んじるほどに花子は由香を信用している、昔から太郎を信じ続けてくれていた由香なら魔法で性別が変わった事も信じてくれる、そう思った(宗次は分からないけど由香が説得してくれれば何とかなるんじゃないかなと花子は考える)>告白するには共犯者から了承を得る必要があると考えた花子は三蔵に二人を苦しめている理由を話して『僕が太郎だと告白したい』と伝えた>三蔵から『告白が失敗しても花子が変な奴と思われるだけだから俺はかまわないよ』と言われて『がんばれ』と応援された花子は『ありがとう』と感謝する気持ちを伝えた>健治にも事情を話して『僕が太郎だって告白したい』と伝えたらこれまたあっさりと『好きにしろ』と興味がなさそうに答えられた>自分にとって重大な事だったから三蔵や健治は軽く見られたのは不満だけど、許された事は都合が良い事なんだから気持ちを切り替えないと、と考えた太郎は決意が薄れる前に告白しようと翌日の登校日、二人に『大切な話がある』と伝えて人気のない場所に呼び出して『僕が太郎なんだ』と告白した>緊張していた花子は二人の反応を気にせず『隠していてごめん』と謝った後、唖然とする二人を見てしっかりと伝わったのか不安になった>由香から『冗談じゃ……ないよね?』と聞かれた花子は『うん』と肯定したが『そんな事……』と宗次から信じがたい反応を示された花子は当然のことだが悲しかった(信じてくれる期待を抱いて告白したのだから思い通りに成らないのは勝手に抱いた期待に裏切られたんだから)>由香から『私は――信じるよ』と言われた花子は期待に応えてくれた事が嬉しくて感謝した>信じた由香に『信じるのか!?』と驚いた宗次は由香から『そうだよ、だって太郎だもん、それぐらい出来てもおかしくはないから』と非常識な事を言われた宗次は唖然としていた>『そうだ、そんなに信じられないなら宗次に見せてあげたらを』言われた花子は『そっか』と賛同した>放課後、由香と宗次を連れて太郎の自宅に行った花子は太郎の母親、陽子に事情を説明して太郎が使っていた父親の作業場を借りた>倉庫から魔法石を持ってきた花子は古代魔法を使い自分が非常識な見習い魔法使いであると示した>唖然としながらも花子には常識が通用しないと理解した宗次は昔、太郎が言っていた事も、今、花子が言っている事も、嘘ではないのかもしれないと思えた>自宅で暮らしている由香と別れて、花子と二人で学生寮に帰っている時、宗次は『あの時は虐めて、すまなかった』と言い淀みながらも謝った>『許してあげる』と上から目線な花子に少しイラっとした宗次は『謝ってくれてありがとう、それから私の方こそごめん』と花子から謝られた事に驚いたが冗談半分だと分かり嬉しかった>花子や太郎が悪いとは思わず自分が一方的に悪いと思っていた宗次は『なんでお前が謝るんだ』と聞いたら『太郎に謝れなくて苦しかったでしょ』と花子から気遣われてとても悔しい宗次は自分が敵わない理由を実感した。


㉒花子から『僕が太郎だと剛士も知っているよ』と言われて教えてくれなかった事に不満を抱いた由香は『僕が黙っている理由があると気遣ってくれたんだと思うよ』と花子から言われて、それなら、と矛を鎮めた>由香と剛士の二人に自分が太郎だと隠す必要が無い花子は剛士の工房併設型の魔法石店に頻繁に出入りしている>魔法石店は二人の自宅と併設されている事から由香が帰宅する時、花子も魔法石店に行っている事から共にともに居る時間が増えた>由香が昔抱いた太郎に対する思いが恋心であるか本人ははっきりとしては居ないが、間違いないのは彼の特別性に惹かれた事は間違いない>それは今も変わらなくて、宗次に古代魔法を見せた時の花子からも太郎と似た特別性を感じた由香は太郎との格差を再確認さえられて落ち込んだ>現代魔法学において魔法使いの才能は魔素の知覚能力だと考えられ、魔法学で用いられる魔素を知覚できなければ魔法使いの才能は無いと判断される事から先天的に決まっている識別能力は残酷な格差を生む>由香は魔法使いに成るほど、魔素を感知できるが逸脱している感覚を持つ太郎(花子)は非常に多くの魔素を区別できる>その影響か自分と感じる世界が異なる太郎に憧れている由香は同時に嫉妬してしまう>それでも太郎を天才だから、自分とは違うから、と突き放せなかったのは他者と異なる事を自覚する太郎は共感されない、共有できない事に苦しみ、それを解決する為にあがいている事を知ってしまったから、だと考える由香はみんなの様に太郎を敵視できず、違いに苦しみ、必死に頑張る様子を知ってしまったら、弱い彼を守ってあげたくなってしまう>だから、由香は太郎を見捨てられず、孤立しても意地を張り続けたのかも知れない。


㉓自身が感じる魔素は多くの人とは異なる、それを主張しても両親以外は判じてくれなかった太郎は魔法使いを志す人たちや現職の魔法使い、魔法使いを育てる教師などが居る魔法学校なら自分を理解してくれる、そう期待していたが結果は期待外れだった>自分の感じる魔素は授業で教わる内容よりも多く、授業では満足できなかった太郎は長い時間、図書館に魔法書を読んでいた>多くを感じられると語れど、信じてはくれないと思う太郎は共有する意義を感じられず、他者に説明する事を軽んじて、協調性が無くなっていった>魔法の失敗率が高かった太郎は優れた才能があるとは認識されていなかったが実態は研究と実験を繰り返していた事で失敗が多くなっただけで、魔法式を完成させてからはその魔法で失敗する事は非常に少なくなっていたがその理由が他者から理解されず異質な存在と認識され、距離があった>魔法学で非常識と考えられている行為を行う事も有った太郎の言動が魔法学的に間違った事を指摘する教師の言葉を軽んじる様に見えたのか教師や生徒から問題児と認識されていた>テスト前に中々成功せず苦しんでいた由香が魔素を動かす技術不足だと考え、繰り返し魔法を行い失敗する由香の様子を見て、失敗する理由が魔法石にあると気付いていた太郎は、余計な事かも知れないと考えながらも、努力が報われて欲しいと思い『使っている魔法石に問題があるんだよ』と指摘した太郎は成功する魔法石を選び『これなら成功するよ』と言った。


㉔常識から異褫奪した時、孤独が当たり前、学校生活でそれを実感した太郎は『それは当然のことだ』と受け入れて『学校は魔法を勉強する為(だけ)に行く所だ』と自分に言い聞かせていた>厳選した魔法石でテストを受けた由香が高得点を出した事で自分の正しさが間接的に実感できた太郎は自己肯定感で満たされた上に、由香から感謝されて承認欲求も満たせて誰かと関わる事の幸福を実感した>テスト後、由香の方から誘いを受けて何度も共に練習したり、買い物をしたり、由香の兄、剛士が営む魔法石店にお邪魔したり、と友達がいる生活を過ごした太郎は胸の内で友達の価値が高まり由香を大切に思う感情が育まれていった>そんなある日、由香が軽度のいじめを受け居ている可能性に気付いた太郎は原因を探していたら、宗次から『お前のせいで由香が虐められている』などと言われて『由香を思うなら関わらない方が良い』などと助言された太郎は考えた末に『嫌われ者な僕と一緒に居たら由香は虐められる?』と結論づけた>三蔵を治療する代わりに欲しい魔法書を用意して貰ったり魔法石を提供して貰ったりと支援を受けていた太郎は学校に行かずとも魔法を学ぶことは出来る、などと教師を軽んじる考えを持っていた、それは自分の行動が教師から受け入れられなかった不満から生じた反発心だったのかもしれないが、その考えが学校に行かなくても良いのでは? と思わせて退学したいと思うに至った>母親からは『魔法使いに成りたいなら学校に行き続けなさい』と反対されたが『魔法使いに成りたい訳じゃない、僕は古代魔法が実在すると信じて欲しいだけなんだ』と言い、反抗した太郎は『三蔵君の支援が有れば、魔法が学べるんだから、良いんじゃないか』と主張した父親、権太けんたから援護を受けて学校を中退した>宗次の助言通り、彼女から距離を置けば虐めが無くなるなら、と距離を置いた太郎は最適解だったと思っていた、再び会うまでは。


24.1権太けんたは『太郎は学校に通わなくても良い』と言ったのは太郎の事を現代魔法の常識に囚われる人々が理解できると思えず、そのような人々からしか得られないものは重要ではないと考えているから。


㉕花子が太郎だと知り、謝罪した次の登校日、宗次は学内で由香や花子に話しかけ、あえて人目に付く事で立ち位置を変えた事を今までの仲間に主張した>今まで仲良くしていた『あいつ等と仲良くするなんて正気か?』と疑問視されたり『どうしたんだ』と心配されたが『意地を張るのを辞めただけだ』と言い彼女たちに関わる事は気の迷いではないと示した宗次は仲間から迫害されても当然の事だと自覚しながらも好きな由香と自分を許す為に告白してくれた花子の方が同類より大切に思えた>裏切られた仲間たちは『宗次は女に篭絡された』などと侮辱し、仲間内から迫害したがその社会の構成員に宗次が目を覚ましてくれる事を期待する人もいた>美少女な由香と花子は宗次を誘惑したと噂を流されて不満を抱いた宗次は『誘惑されてない』と否定したが宗次の属するグループから好まれていなかった由香と今まで距離を取っていた宗次が唐突に由香たちと友好的な雰囲気を纏っているのだから『何かあったのか』と思われても当然であり、宗次が誘惑したなら由香と花子がグループに加わるはずだが宗次が彼女たちのグループに加わったように見える状態は篭絡されたと思われる決め手になった>篭絡したと言う噂を払拭しようとあれこれ考える宗次に『否定は必要だけど説得する必要は無いと思う』と語った花子から『少なくとも私は問題ない』と言われた宗次は『なんでだ?』と聞いたら『事情を知らなければ宗次が不審な言動をしているのは事実だし、それを否定するには私が太郎で古代魔法は存在すると証明する必要がある、そんな大変な事をするより、今は魔法に意識を向けたいから、私はこのままでも良い』と言う花子に便乗して『私も平気だよ、色々と邪推されるのは慣れてるから』と言った由香は太郎に味方した時『恋仲なんじゃないか?』と邪推された事があり否定したが気に入らない同士を一括りにする人々の影響で信じてもらえなかった>『宗次が嫌なら何とかできないか考えるけど』と言う花子に『否、このままで良いよ』と言った宗次は『辿ったら俺のせいなんだから、これぐらいの噂、当然だ』と口にして虐げられる事が当然だと言いたげな宗次に『その考え方は好きじゃない』と言い出した花子から『私が考えている通りなら、宗次がした行為は当然だと思うし、その行為が悪かったとしても、当事者の私たちが許したんだから他人がとやかく言う事じゃないと思う、だからそれとこれは別物だよ』と苦言を呈された宗次は胸に抱く罪悪感を関係ない横やりで傷ついた事を根拠に罰を受けていると考える自分の考えを改めるべきだと思い、花子の主張を『そうだな』と肯定した。


25.1成績優秀で良家の生まれな宗次に片思いする同級生の女学生、朱美あけみは昔から宗次が気をとられる同級生の女学生、由香が気に入らず、同学年の女子で中心的な位置にいる朱美は由香の迫害を助長した事もある>問題児な太郎と共に居るだけで由香と太郎を一括りにする人は多い事から朱美が積極的にいじめる必要性は無かったが知りながらも止めず自身が問題児に成らない程度に加担していた>花子の事を出会った頃から仲間に引き入れたいと思いアプローチを行っていたが最初こそ上手く行っていたが由香に関わりだしてから、由香と一緒に行動し始めた花子を一括りに侮辱する同級生から敵視されない為に花子へのアプローチを辞めざるを得なくなった朱美は同級生たちが既に行った『由香と一緒にいない方が良い』と言う説得を今更行っても仲間たちから不信な印象を抱かせるだけで花子は説得できないだろうと考える朱美は花子との関係を最低限に留める事にした。


❷魔物から取れる肉や皮膚、毛、牙、などの素材『魔材まざい』を、魔材を溶かす魔物の胃で分泌される『消化液しょうかえき』で溶かした液体は『魔溶液まようえき』と呼ばれている>魔溶液に入れた素手をかき回すと体質に応じた魔素まそが素手に付着して魔素の結晶が形成される>魔素の結晶が一般的に『魔法石まほうせき』と呼ばれるのは魔素を用いた技術『魔法』を用いる為に使用される事が由来と考えられている>数千年前に作られてたと思われる古代の文献や壁画などからは魔物の死体を用いて魔法が使用されたと読み取る学者が多く、魔法石が盛んに用いられ始めたのは数世紀前だと考えられている>現代の魔法使いが品質の高い魔法石を求める理由は、現代魔法を使う際に用いられる魔法の構成式『魔法式まほうしき』は体系化された故に習得の難度が体系化以前の魔法と比べて比較的、低下しているが決まった魔素を用いなければ失敗する可能性が高く、適切な魔素の種類、量で構成された魔法石を使わなければ失敗するリスクが高い>失敗の可能性を下げる為に現代魔法使いは高質な魔法石を求め、高質な魔法石を作る魔法石職人は重宝されるが魔溶液からどの魔素を結晶化できるかは魔法職人の体質によって異なる事から魔材に含まれる魔素の種類を把握し、職人の体質に合わせた魔溶液を作る必要があり、そこから結晶化させる魔素の種類を目的の魔法式に合わせた比率にする必要があり、魔材や消化液の種類などの組み合わせから考える魔溶液のレシピは他の魔法石職人が体質の関係で使い難い事から継承は難しく、魔法使い以上に先天的なセンスが影響を与える職業で有り、消化液に魔材を溶かす方法などは学べるが魔溶液のレシピは他者のレシピを参考にしながら自分用のレシピを作るしかなく、体質によっては唯一無二な魔法石を作る魔法石職人も現れる事からその業界は特異な社会を形成している。


❸太郎は判別できる魔素の種類が非常に多く、魔法学で用いられている魔素はもちろん、それ以外に詳細な魔素を識別できる先天的なセンスを有している>魔素は色で例える事ができる>ある物が一色に見える人も居れば、三色に見える人もいる、感じで、視覚による色の識別能力は個人差がある>それと似たような感じで『魔素の結晶を見た人が視覚で知覚する色が異なったり』『気体の魔素が鼻に入った時に嗅覚が知覚する匂いに個人差が有ったり』『個体や液体の魔素を口に含んだ際に舌で知覚する魔素の味が人によって異なったり』などと先天的な要因や体調や成長などの後天的な要因で個人差が生じている実態が存在するが、現代の魔法学では魔法学で用いられている魔素が識別できる者を『魔法の才能がある』と認識して、それを満たせない人々は才能が無いと魔法を学ばせない社会性を有している>現代魔法学ではない魔法は古代魔法として一括りにされ、体系化されず衰退した末に実証する者も居ない事から古代魔法は存在しない過去の人々が妄想した虚偽であると考える現代魔法使いは多い>現代魔法学とは別に古代魔法学も存在するが古代魔法学は古代を研究する人々が遺物から当時の信仰や生活を考察する際に重要視する存在であり、古代魔法が実在したと表向きに発現する人は少ない>古代魔法は実在すると発言する者が少ない要因の一つに帝国が存在していた頃、現代魔法学の前身である当時の魔法学を初代皇帝が作り上げたと定義して神格化した信仰を守るために、古代魔法を悪魔の魔法と呼び滅ぼしていた事が古代魔法を継承を途絶えさせ、古代魔法の使い手や信奉者と叫んだ者が帝国や神格化された初代皇帝に反抗的な因子として罪人に成り罰せられた事から、古代魔法を隠す様に成った習慣や価値観が影響している部分もある>初代皇帝の影響で現、古代魔法は存在しない昔の人々が生み出した虚偽だと考えられるようになり、初代皇帝の信仰と魔法学を切り離した現代魔法の時代になっても、古代魔法は実在すると主張した人々は少なく、現代の魔法使いは帝国時代から続く魔法学を継承する魔法使いである事から、近代魔法学や現代魔法学で用いる魔素しか感知できない魔法使いが殆どでの古代魔法に用いる魔素を感知できない魔法使いたちは古代魔法など存在しないと決めつけ『古代魔法が実在する! などと語る人々は嘘つきだ』と愚弄している>古代魔法を使える人は帝国時代に殆どが処刑か、迫害された上に、生き残った者も隠しながら生き延びた影響で必要な魔素を知覚できる人材を確保できず後継者を作れずに忘れ去られた場合が多い。


㉖や❹以降は作る事が出来れば『プロット Ⅱ』で

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