第30話 天使と悪魔は笑う3
俺は無事に遅刻せずに学校に着いた。自分の教室に行く。
「おはよう!」
俺の名前は渋井光。普通の16才の高校生。実は神の使徒、天使をしている。学校に遅刻しないカラクリは、天使の領域という別次元を、天使の羽で瞬間高速移動するので、歩いて10分の学校でも、1分もあれば大丈夫だ。
「おお!? 光、ギリギリセーフ! 最近遅刻しないな。面白くない。」
この口が悪く活発な女は俺の幼馴染でクラスメートの佐藤闇(アン)。
「闇、そんな言い方は酷いよ。」
この大人しそうで正義感が強そうな女も俺の幼馴染でクラスメートの鈴木聖。
「おはよう。聖ちゃん。いつも可愛いね。」
「ありがとう。光くん。」
「こら!? 光!? 私には挨拶は無しか!?」
「おはよう! アンコ!」
「誰がアンコだ!? 私の名前は赤毛の少女の話と同じ、アンだ!」
「はいはい。」
俺の学校生活は普通の高校生と同じで、気楽で楽しく同じような毎日を過ごしていた。その時、授業の始まりのチャイムの音が聞こえた。
「先生が来るぞ。静かにしような。」
「クソッ!? 覚えていろよ!」
「まあまあ、二人とも。」
こうして授業が始まり、神の使徒をしていない時は、俺は生身の人間と同じで特別な能力も無く、眠くなれば授業中でも居眠りをするのだった。
渋谷の町中。
「お金もないし、もう3日も食べ物を食べてない。生活保護を申請に区役所に行っても門前払い。警察に行っても牢屋にも入れてくれない。・・・そうか!? 悪いことをすれば刑務所に入って3食昼寝付きだ! 屋根も壁もある! 雨や冷たい風を心配することも無いぞ! コンビニ強盗でもやって捕まろう! おお!」
お腹を空かせたフラフラな男がいた。男は安易な考えから罪人になり、屋根もあり雨風を防げる刑務所に入りたかった。
「素晴らしい! あなたのような人を探していました!」
男の胸倉から黒い闇が発生し、そこから小さな悪魔が現れた。
「うわあ!? 気持ち悪い!? なんだ!? おまえは!?」
「なんだと言われても、ただの悪魔です。」
「悪魔!?」
「はい。天使が神の使徒なら、悪魔は魔王様の使い魔。私は偉大なる魔王様の使い魔のデビルちゃんです!」
「そのまんまかい!?」
犯罪希望者の男の前に現れたのは魔王の使い魔の悪魔だった。
「あなた、悪魔になりませんか?」
「バカバカしい! 子供の冗談に付き合っている暇はない! 俺はコンビニを襲うんだ! ナイフを買いに行かなくっちゃ。」
男はデビルちゃんを邪険に扱い、この場を去ろうとする。
「悪魔になったら、ナイフを無料でプレゼント。」
「なに!? 無料だと!?」
手持ちのお金の無い男は、悪魔の無料という言葉にひかれた。
「さらに悪魔になれば、他人の食べ物は奪いたい放題! おまけに悪魔食堂の年間無料パスもプレゼント! どんな時でもご飯がいっぱい食べれますよ!」
「すげえ!? 悪魔って、すごかったんだ!?」
「今なら地獄の血の池地獄温泉旅行ペア宿泊券付き! そこら辺のカワイイ女の子を誘拐して、楽しい悪魔旅行にして下さい!」
「なります! 俺! 悪魔になります!」
こうして男は悪魔と契約した。
「私の囁きに堕ちない人間はいない! ケッケッケ!」
これが本当の悪魔の囁き。
つづく。
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