第31話 天使と悪魔は笑う4

 俺の名前は渋井光。学校の授業が終わり、幼馴染でクラスメートの佐藤闇と鈴木聖と一緒に道を歩いて下校していた。

「いや、今日もよく寝た。」

「光、あんた、その調子で進級できるの? 留年とか恥ずかしいからやめてよね。」

「誰が留年なんかするか!? 聖ちゃん、勉強を教えて。」

「いいよ。光くん。」

「やったー! 聖ちゃんはアンコとは違うね。」

「誰がアンコだ!? 私は闇だ!」

「落ち着いて、闇ちゃん。」

 俺たち3人は子供のころから大の仲良しだった。

「キャア!? 誰か捕まえて!? コンビニ強盗よ!」

 その時、コンビニから男が手にお金を握りしめて飛び出してきた。コンビニのおばちゃんが大声で周囲の人に叫ぶ。

「あれは!? 悪魔!?」

 コンビニ強盗の男を見た時、光は一瞬で男を悪魔と感じ取った。

「逃がすものか! 天使の時間!」

 光は神の使徒、天使の力を解放する。光の頭の上には金色に輝く天使の輪。背中には白い羽が生える。光は天使になった。

「ここでは戦えない。天使の領域!」

 人の目が多い街中なので、光は別次元を創り出し、自分とコンビニ強盗を別次元にやった。

「なんだ!? ここは!?」

 いきなり目の前の世界が変わったので驚くコンビニ強盗の男。

「ここは俺の創り出した別次元。」

 光がコンビニ強盗の目の前に座っているかのように現れる。

「なんだ!? おまえは!?」

「俺は神の使徒、天使だ。」

「天使!? ふざけるな!」

「おまえ、悪魔だろ?」

「ギクっ!? なぜ分かった!?」

「コンビニ強盗をするなんて、悪魔に魂を売っていなければできないからな。」

 理由は人それぞれだが、人間が行う暴力、犯罪、わいせつ、いじめなどは悪魔と契約した悪い人間しかできない。だから光には、コンビニ強盗の男が悪魔と契約していると分かったのだ。

「バレたからには、おまえには死んでもらう! 俺はこれからギャルと温泉旅行に行くんだ!」

 コンビニ強盗の男の皮膚がピキピキと割れて、中から悪魔の肌が見えてくる。

「正体を現したな! 悪魔め!」

「天使を殺して、俺は中級悪魔に昇進してやる! ゴブリン・パンチ!」

 悪魔ゴブリンが姿を現わした。悪魔の昇進システムとして、悪事を働いたり、天使を殺したりすると下級悪魔は中級悪魔に進化できるのだ。

「愚かな。神の裁きを受けるがいい。天使の剣(エンジェル・ソード)。」

 天使は聖なる光の剣を何も無い手から生み出す。片手でしっかりと剣を握り構える。剣に聖なる光を集約させる。

「神の使徒が偉大なる神の言葉を伝える。天使の剣斬り(エンジェル・ソード・スラッシュ)!」

「ギャア!?」

 聖なる光が悪魔ゴブリンを切り裂き光の中に呑み込んだ。

「神の裁き(ゴッド・ジャッジメント)。」

 天使は悪魔を倒した。

「悪魔に化してしまった人間に神のご加護を。」

 そして何事も無かったかのように、天使の領域が解除され別次元から現実世界に戻る。

「あれ!? 素早いコンビニ強盗ね!? 消えちゃった!?」

「そだね。どこ行ったんだろうね?」

「闇ちゃん、光くん、帰ろっか。」

「おお。」

「今度コンビニ強盗にあったら殺してやる!」

「無理無理。」

「なんですって!? ウキー!?」

「まあまあ二人とも。落ち着いてよ。」  

 天使も人間に戻れば、クラスメートと楽しそうに帰宅する普通の16才の高校生だった。


つづく。

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