第26話 ラブ米3
「好きです。」
「嫌いです。」
男子高校生が女子高生に告白をした。しかし、撃沈した。
告白というものは、男女の大切な行為で、勇気を振り絞って行うものである。
しかし、この二人には毎日の日課だった。
「なぜだ!? なぜ俺様の愛の告白を受け入れない!?」
男子高校生の名前は、渋井ハチ男。お金持ちのお坊ちゃまで、ハンサムで身長も高く、高校でも女子生徒に人気がある。
「私はチャラ男、ヤンキー、ゴミとは付き合いません。」
女子高校生の名前は、渋井モヤ子。貧乏で、メガネをかけていて、地味な存在である。
「俺はおまえがお米が好きだと聞いたので、学校を買収して農業高校にしてやったぜ!」
「言ってません。お米が好きだとは一言も言ってません。」
こいつらの通う高校の名前は渋谷高校から渋谷農業高校になった。
「都心のど真ん中で農業って、いったい。!? あのね!? どこで農業をやるのよ!?」
「渋谷のスクランブル交差点を金色の稲穂で染めてやるぜ! 駅周辺のビルも買い占め、屋上も田んぼに変えてやる! ビルの各階で牛やパンダを飼ってやる! これで渋谷も農業都市の仲間入りだ! 蛍の光る渋谷! カエルが鳴く渋谷! これからの農業体験は、渋谷でするんだ! ワッハッハー!」
彼の親はとてつもないお金持ちだった。渋谷の駅周辺を買い占めて、田んぼを作り農業エリアにしてしまった。
「オオ! グット! ファーム!」
渋谷の観光客の外国人も日本の田植え文化を体験っ出来て喜んでいる。
「いくらタイトルが「ラブ米」だからって、ここまでお米にする必要があるの!?」
「これも俺のおまえに対する愛だ! ハロウィン! ニューイヤー! 日本代表サッカーに次ぐ、逮捕者も出る渋谷第4の血祭り! 渋谷のスクランブル交差点で稲刈り祭りするぞ!」
彼はお金の力で人の心が買えると純粋に思っている。
「バカバカしい。帰ろっと。」
「これをどうぞ。」
彼女が立ち去ろうとすると、指導員の農家のおじさんが何かを渡す。
「これは?」
「渋谷で取れた新米を無料で配っています。観光客の外国人にも大好評。ローマ法王にも渋谷スクランブル米として献上しました。」
「え!?」
彼の財力を持ってすればお米の栽培、無料配布などは安いものであった。
「農業は人手不足? 俺の田んぼは時給100万円! みんな喜んで働いてくれるぜ! ヤッホー!」
「イエス! ボス!」
渋谷スクランブル交差点で農業を喜んでする笑顔の外国人たち。
「毎回面白い話が求められるのは分かるけど、ここまでする必要があるの!?」
「これも愛の力だ!」
彼は精一杯アピールして彼女に好かれようとしている。
「はあ~。分からない? あなたのそういう所が嫌いなの。何でもお金で解決しようとするところよ。私、貧乏だからお金に興味ないの。」
渋井モヤ子はうんざりしている。基本的に貧乏人はお金持ちが大っ嫌いなのである。
「絶対に諦めないからな! 俺は、おまえを彼女にする!」
彼は欲しいものは、親のお金の力で、なんでも手に入れるタイプのクズ男だった。ハチ男は去って行く。
「おまえ! ちょっと金持ちが友達にいるからって、調子に乗るなよ! 渋谷は元々、俺たちの縄張りだったんだ!」
当然、彼の自分勝手な行動は渋谷の若者たちの怒りを買っている。
「農業ジジイに、貧乏出稼ぎ外国人が渋谷のスクランブル交差点を田んぼにしてんじゃねえぞ! こら! 殺すぞ!」
彼女は100人ぐらいの渋谷の若者の暴徒に囲まれるのは日常茶飯事。
「・・・貧乏。」
彼女は貧乏という言葉に劣等感を感じる。彼女の中で怒りの感情が込み上げてくる。
「ジジイどけよ!」
「ギャア!?」
調子に乗った渋谷の若者たちが農業ジジイを押し倒す。
「ギャア!?」
その時、農業ジジイを押し倒した若者の体が宙を舞う。
「なんだ!? どうした!?」
「貧乏農業ジジイ? 貧乏出稼ぎ外国人? 働かない、あんた達よりマシよ。」
彼女の怒りは頂点に達する。
「お相手します。」
彼女はメガネを顔から外し手に持つ。可愛い綺麗な顔が現れる。ただし目つきは獲物を狙う鷹のように鋭い。
「貧乏! なめんなよ!」
彼女はメガネを上空に高く投げ捨てる。
「うおおおー!」
「ギャア!?」
「グワァ!?」
秒殺だった。一瞬で100人を気合だけで吹き飛ばして倒した。
「自分の身は、自分で守ります。」
彼女は落下してきたメガネを手で。ナイスキャッチ。
貧乏な彼女は誰からも助けてもらえなかった。だから、彼女に甘えはなく、貧乏といじめてくるいじめっ子は、再起できなように確実に倒してきた。
「おじいさん、外国人さん、美味しいお米を作ってくださいね。エヘッ。」
彼女は睨んで言うと、メガネをかけて不気味に笑って戦場を後にした。
ラブ米って感じ。エヘッ。
つづく。
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