第10話 アップルと魔法探偵

「よし! 今日の処分の過去作は「魔法×ミステリー」だ!」

 ライト文芸部の部長の天は、過去作を処理して、何か新しいものを生み出そうとしていた。

「魔法探偵シャロット・ホームズね。」

「そうそう。これは1万字コンテスト書いた短編なんだよね。アクセス数がたったの9。やってられないぜ! お題が「魔法とミステリー」だったので魔法の仕える探偵にしたんだけど、コネで受賞した作品は、面白くもないクソ作品だったような。」

「だから、みんな本から離れていくのよね。」

 特に、カワカド出版社は投稿された全作品を読まない。最初から大賞者や身内の契約作家に賞を取らせるのだろう。コネの無い部長が受賞することはないのである。

「読んだけど、消すのはもったいないな。作品自体は悪くはないと思うんだがな。」

「悪いのは、コネの無い部長です。」

「それを言うなよ。カロヤカさん。」

「ということで、作品を消すより、ここで再利用しようと思うんだがどうだろう?」

「ライト文芸部の作品ということでいいんじゃない?」

「こういう時、ずる賢い奴は、新入生の文学コンテストがあって、カロヤカさんが応募して、優勝するなんて青春ぽいストーリーを思い描くんだろうが、そうはいかないぞ!」

「分かった。天にコネができないのは、編集して作品のクオリティーを上げるより、面倒臭がって、手直ししなかったり、10万時まで書き続けないのが原因だな。」

「いや~、それほどでも。」

「誰も褒めてない。」

 いつも平和なライト文芸部である。

「ということで、私と笑と大蛇が新入生限定、1万字文学コンテストに作品を応募したことにしましょう。」

「私の作品のタイトルは「越後屋の不敵な微笑み」です。ニコッ。」

「私の作品は「なぜ!? 小田急であって、富士急ではなかったのか?」。これでもミステリーよ。キャッハッハ!」

「え? 作者の都合主義? いいえ、これがライト文芸部です!」

「よ! 部長!」

「こういう時の部長は頼もしいです。」

 部員たちも部長を頼りにしている。

「どうしよう? 1話で2500字もある。面倒臭いから、そのままでいいや。」

「部長の、そういう所が好きです。」

「けいお〇だって、8話で1年が経って、新入部員が入部してくる。つまり、部活モノなんて、野球や競技カルタのように、グダグダ長ったらしくやらなければ、部活の1年は7話でいいってことだ!」

「あれも音楽はどうでもよくて、内容はパロディなだけだもんね。おもしろいけど。」

「ということは、ジャンルは何でもいいから、面白ければ売れるということだな。」

「コネが無ければ、面白くても世には出ないけどね。」

「悲しいな。」

「どうせ、このライト文芸部も拾われることはない。ということで「魔法探偵シャーロット・ホームズ」を移行させてこよう。」

 つづく。

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