第11話 魔法探偵シャーロット・ホームズ1

 私の名前はシャーロット・ホームズ。これ由緒正しき探偵の家系。トとクを変えただけで、それらしく感じるのが素晴らしい。ワッハッハー! 私は日本とイギリスのハーフで異国情緒ある顔立ちである。

 お約束の16才の女子高生。しかし私の家系が探偵で成功できているのには、隠されている真実があるの。それは・・・。

「私が第21魔法少女であるということよ! キャッハッハー!」

 そう、私の代々の先祖が難事件を解決できたのは、私の一族が魔法使いの一族であったからである。

「魔法が使えれば、どんな事件でもちょちょいと解決! 魔法があれば何でもできる! ワッハッハー!」

現代は魔法使いと言い方はダサいらしく、魔法少女という呼び方の方がウケるらしい。まあ、魔法が使える職業であれば、どちらでもよい。

「おじいさまの名に懸けて!」

 仮想であっても、権利問題が分からないので、イギリスの名探偵の名前は出さないが、そう仮定した場合、本当に「おじいさまの名に懸けて!」に違和感がない。名探偵小学生でシャーロック・ホームズや江戸川乱歩の名前が使用されているから、別にしようしても問題はないと想定される。

「生まれはイギリス、育ちは日本、迷探偵シャロやん! キャッハッハー!」

 完全にパロディーの様相である。悪意はない。朝ドラのシャーロットさんイメージの年齢は加味しない。魔法と考えればCG費用もかかるのだが、こんなんでも偉い人の目にとまれば、実写ドラマ化されるのだろう。

「私に解けない謎はない! キャッハッハー!」

 初期、キャラクター設定が定まっていないので、笑いを多めに。笑って誤魔化す。笑っている姿や声は視聴者を不快にするものではない。


 殺人事件が起こった。

「キャアアアー!」

 ここは渋谷区広尾の大豪邸。お金持ちの妻、広尾広子が何者かに殺された。

「広子!? 広子!?」

 その時、ご主人の広尾広男は出張で中国にいた。

「いつたい誰が妻を殺したんですか!? 刑事さん!?」

 旦那のアリバイも完璧で完全殺人が成立しようとしていた。

「う~ん。困ったな。」

 警察も通り魔的な強盗の犯行だと結論づけようとしていた。


 奥さんが死んだのに、ニヤッと笑う亭主の広男。

 警察は捜査に八方塞がり。

 この時点で実写化ドラマ化するなら中国ロケが決定かな?

 解決不可能な難事件に見えた。


「この事件、私が解決しましょう。」

 そこに一人の女子高生が現れた。

「き、君は!? 女子高生探偵!? シャロやん!?」

 現れたのはシャーロットであった。

「私の名前は、シャーロットです! 何でもかんでも略したり、愛称で呼ばないで下さい!」

「ごめん、ごめん。」

「まったく日本人ときたら。」

 シャーロットは自分の名前に誇りを持ち、シャロやんと呼ばれることが恥ずかしいのか、抵抗があった。

「ハチ公警部、モヤイ刑事、この事件の謎は既に解けています。解決済みです。」

「なんだって!? それは本当なのか!? シャロやん!?」

「だから! シャロやんと気安く呼ばないで下さい!」

「すまん、すまん。」

 女子高生探偵シャーロットは、この難事件を解き明かしたという。


「犯人は、ご主人、あなただ!」

 シャーロットは広男に指を指し犯人だと名指しする。

「な、何を言う!? 私は中国に居たんだぞ!? 私にはアリバイがあるんだ!?」

 必死に抵抗する広男。

「そうだぞ!? アリバイがあるんだぞ!?」

「どうするんだ!? シャロやん!?」

刑事たちの目にも広男には犯行は不可能に見えた。

「簡単なトリックですよ。魔法を使えばね。」

「魔法だって!?」

 この世界には魔法使いが存在する。昔は悪い魔法使いや魔女として、恐れられたり迫害されたが、現代では魔法使いは警察の事件解決に協力する頼もしい存在である。

「犯人は時空魔法を使ったのです。」

「時空魔法だって!?」

 時空魔法とは、次元の入り口を空間に開け、一瞬で移動ができる、とても優れた魔法である。

「証拠はあるのか? 証拠は? 俺が日本と中国を行き来したという証拠は?」

「証拠はあります。シャロ・シャロ・シャロート!」

 シャーロットは魔法を唱えた。すると空間に何やら浮かびあがってきた。

「これはなんだ!?」

「これは次元の入り口が開いたという痕跡です。この次元の扉をもう一度開いて、我々が入ってみれば、きっと中国に出られるはずですよ。」

 シャーロットは広男のアリバイを崩した。

「クソッ!? 完璧な計画だったのに!? おまえはいったい何者だ!?」

「私の名前は、シャーロット。人は私のことを魔法少女探偵と呼ぶ。」

「魔法少女探偵!?」

 そう、シャーロットは世間で噂の魔法少女探偵であった。

「さあ、おまえみたいな普通の人間が、どうして魔法が使えるのか、私に分かるように説明してもらおうか? おまえの後ろにいる黒幕は何者だ!」

「だ、誰が魔女王様のことを言うものか!?」

「魔女王!? 魔女王とは、いったい何者だ!?」

「し、しまった!?」

 広男は口の軽い男だった。

「ファイア。」

 どこからか、女が呟いた。

「ギャアアア!?」

 その時だった。広男の体が炎で急に燃える。

「これは!? 炎の魔法!?」

「火を消せ! 早く消すんだ!」

「消防車を呼べ! 消火器はどこだ!?」

 必死に火を消したが、今回の殺人事件の犯人の広男は燃えて死んでしまった。

「いったいどこから炎が飛んできたんだ!?」

 シャーロットが周囲を見渡しても誰もいない。

「まさか!? これも魔女王という奴の仕業なのか!? だとしたら何と恐ろしい敵なんだ!? 魔女王!?」

 目に見えない魔女王の存在に恐怖を感じるシャーロット。


「自然発火で犯人が死亡で捜査打ち切りか。」

 翌日、シャーロットは朝刊の新聞を読んでいた。

「最近の一般人の中には魔法が使えるものが、なぜかいる。そして魔法が犯罪に使われてしまう。これも全て魔女王が関わっている可能性が高い。」

 シャーロットは、魔女王という黒幕の存在を知ってしまった。

「おもしろい。私が魔女王にたどり着いて、事件を本当に解決してあげようじゃない! ワッハッハー!」

 魔法とミステリ。オーソドックスに良くできた物語である。特に変にはしていないので、一般大衆にウケそうな実写ドラマやアニメの定番的な作品である。


 つづく。

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