第10話 決勝第1ラウンド

 いよいよ、決勝第1ラウンドが開始となる。チームKOURYUUは南に陣取り、チームSAIKYOUのいる西に攻撃を仕掛ける。作戦通り、アイリスが前に出る。そのあとをあおいが追い初ヒットを狙う。中央ではにあゆみと優姫が素早くB地区を制圧、拠点にする。


 チームSAIKYOUは、主力を北に向けた。そしてまことの予想通り、南は一騎当千の強者、だっさんが1人で守備に当たっている。あとは、アイリスがだっさんを誘い込むことができるかにかかっている。だが、だっさんは用心深く、なかなか追ってこない。逆にアイリスが敵陣奥へと誘い込まれてしまう。


「随分と深くまで来ちゃったわ」


 息切れしたアイリスは、1度B地区まで下がろうとする。少し乳休めをしてまた戻ろうというのだ。だが、だっさんは、それを待っていた。


「もらった!」


 西に背を向け、中央へと戻ろうとするアイリスの背後から、だっさんが襲いかかる。既に引き金は引かれている。弾丸の発射音に気付き振り返ったアイリス。もう駄目だ、と1度は諦めた。


 ーープチン!ーー


 そのとき、アイリスの衣服のボタンが飛んだ。今までは緩く縫っていたから糸が1本切れても残りの1本で辛うじて繋がっていたボタン。今回はきつく縫ってあった分、弾性の限界を超えると一気に弾け飛んだ。そして偶然にもだっさんの撃った弾丸と正面衝突した。


「なにっ!」

「あぁっ!」


 上半身の動きを拘束されなくなったアイリスが、すかさず反撃。太一の指示が飛んだときには、既に1発でだっさんを仕留めたあとだった。チームKOURYUUは作戦以上の成果をあげる。囮なしで相手のエースをヒットしたのだ!


「ヒット……。」


 だっさんが離脱した。このとき、だっさんはアイリスのことを緑の悪魔と呼んだ。

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