『いちばん東の西のエデン3』パラダイムシフト 編
乙音 メイ
第1話 2016年12月 団地暮らしのスタート
『いちばん東の西のエデン3』
乙音 メイ
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第1話
2016年12月 団地暮らしのスタート 乙音 メイ
インターネットには何年も前から検索画面には出たことのない屋○島町立恵○須団地。そのE‐3棟302号室に越して来て、一目見て気になったのは、各部屋の天井のあちこちにあるシミのことだった。ここは3階で、上は4階。雨漏りはあり得ない。
「天井の上に、いったい何があるというの?」
と、天井のシミのことを、インターネットの画像から検索してみたら、うちと似たようなシミの写真が結構あった。何となく驚いた。画像をクリックしてページを開いてみたが、シミの原因は不明だった。ただ、
「この様なシミが出てきたら天井の張替えをしたほうがいい」
と建設業の方の言葉があった。今はその方の言葉が、勇敢で親切心に満ちた言葉だと理解できる。まさかこのシミを発生させるものが、液化したガス類によるものとは、その時は想像もできないことだった。
他に疑念に思ったことがある。入居した翌日だったか、どなたか女性が、
「はいわかりました。302号室ですね」
と大声で言いながら、4階からカンカンと靴のかかとを鳴らし、階段を下りて行ったことだ。携帯電話で誰かと会話をしているのかもしれないし、何処にもつなげていない携帯電話との空しい成りすましの演技かもしれないと、私は思った。その女性は、上から降りてきたことから402号室の住人かもしれないと思った。ガスの開栓に来た○○島ガス会社の方が、
「や~忙しくてね。昨日は上で今日はこちらですからね」
と、笑いながら言っていたので、もし、茶番劇シアターをするなら、まるで、スタンバイしていましたという感じの、うちの一日前に越して来た家の人が怪しいと思った。シアタードラマは、これまで多方面からの報告により、集団的ストーカーを行う者たちの常套手段となっている。その理由は色々あるので気になる方はインターネット検索をしてみるとよい。例えば、車でのストーキング行為の場合は8000円、上階で住み込みの常駐の場合は12000円ほどの日給が雇用側の企業体から出る。それを請け負うのは、都会ではカルト団と決まっているが、屋久島にカルトの拠点があるとは全く思っていなかった。
どこから情報が漏れてしまったものか。冷静に考えればこの団地を勧めた町役場の、表情筋の動きの乏しい大Oさん、運送会社の○川急便が、我が家の入居を僅か2日目でも知っていた人たちだ。私はその時は考えもせずに、引っ越し荷物と格闘していた。
しばらくすると、上の階の住人宅の音が大きいことを厭でも認識せざるを得なかった。ドタドタ、ドシン! バタン! バン! という足音のような騒音が朝の7時20分頃から夜の9時20分頃まで、ひっきりなしに続いていた。
そこに、線香の匂いと、強面の女性の顔が浮かんでくる、怒っているとしか思えない早口の念仏が加わるようになった。これで真上の402号室の住人は、残念ながら、カルト団の人間であると認めるほかなかった。でもここは都会と違って田舎だから騒音だけで終わるなら、我慢できると思っていた。
だが、田舎でも、カルトはカルトだった。ドシン! バン! はイントロ、これにコンプレッサーのゴン! という音が、執拗な犯罪行為という主旋律の中に、時折打ち鳴らされるシンバルのように加わっていたのだ。
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