寂しさへの縛り

白姫真夜

天才との出会い

プロローグ

「...にい...縛って」





 息を荒げながら、そう俺の耳元に囁く。甘い吐息が耳の端に触れてこそばゆい。


俺は用意していた手錠を、妹の両腕にかけると、鞄からあるものを取り出す。





「...くくる。ほら、これ...」





 俺の取出したものに、くくるは微小ながらも狼狽を見せる。恐らく予想だにしていなかったのだろう。幾ら縛られ慣れた妹でも、そのあられもない姿を見届けていた視界さえも奪われてしまう。なんて事には。





「...今日は、目も隠すの...?」


「ああ。これくらいしてやらないと。お前は満足出来ないだろうしな」


「...うん」


「俺が下手糞なばかりに...悪いな」


「...いいよ。にい」





 防音部屋で、俺は妹の目を塞ぐ。





「...いくぞ。くくる」


「...にい。来て」





 俺は今日も、血の繋がっていない名前だけの妹を縛るのだ。



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