interlude-1

 男は焦っていた。

 本当は、こんな土地に帰って来たくなんかなかった。

 良い思い出など、何一つない。

 クソみたいな土地。クソみたいなヤツら。

 ――俺を追い出し、唾を吐きかけた町。

 高校を中退して飛び出して以来、初めての帰郷……帰郷なんて言葉、男は腐っても口にしたくなど無かったが。

 そんな町で、男の話に耳を貸す人間などいるわけも無かった。

 多少は予想していたことだったが、それでも中には少しくらい話の通じるヤツがいると踏んでたのに……。

 早くしないと、追っ手が来てしまう。

 男はそう考え、再び心が闇に呑まれていくのを感じる。

 最近では、一人で道を歩く度、後ろから誰かが尾(つ)けて来てるんじゃないのか、そう思って何度も振り返ってしまう。

 とにかく、このブツをとっとと捌かないといけない……。

 男は舌打ちをして、また歩き始めた。

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