変異
やっとの事で二人目のスレイヤーの頭部をふっとばして倒したJP隊の面々は目の前で突如として起こった異変に驚く
倒したスレイヤーに別のスレイヤーが覆い被さる様に飛びついた
「なっ……マジか!」
S1とマチェットで立ち回りをしていたマーカスは鍔迫り合いした一瞬だけ横目で見てしまい、隙をつかれ前蹴りで蹴り飛ばされる
ギリギリで振り下ろされるマチェットの追撃を躱して体勢を崩されながら飛びのいて間合いを取る
覆い被さっているスレイヤーの胸部アーマーはすでに破壊され鮮血で赤く染まっていた……
先程、ホセとエリックが倒したスレイヤーがZと化してまだ暖かく、心臓が動いている近場の死体に齧り付いたのだった
「チャンスだ! 攻めろ!」
JPの号令の下一斉に残りのスレイヤーを仕留めに掛かるが、スレイヤー達はなんとか勝ち抜くため必死に応戦する
しかし、死はすでに次の獲物を見つけていた
銃撃の嵐の中を突っ切り、マーカスと切り結んでいたスレイヤーに向かって歩き続ける
咄嗟にマーカスは鍔迫り合いに持ち込むと体を入れ替える様に回りだす
そしていきなり横に飛びのくと目の前に元
それを何の躊躇もなく横殴りに首を刎ねるが、そのガラ空きの脇腹にマーカスのマチェットが深々と突き刺さる
「ガハッ」
「じゃあな」
血を吐きだしたスレイヤーに其のままマチェットを突き刺したまま飛びのくと、その眉間に抜き打ちで放たれたガバメントの銃弾が突き刺さり、内部を後方へ吹き飛ばす
そして、トーマスの決着も着きそうになっていた
死闘で著しく体力を消耗し、肩で息をしながら満身創痍で対峙する両者に負ける気などさらさらない
ハンマーを一本にして最後の全力を込めると持てる力を振り絞りトーマスに向かって走りだし、そして数メートル手前で跳躍し一気に距離を詰めて上段から振り上げたハンマーを振り下ろす
その顔面に斧が唸りを立てて襲い掛かった
「グゴッ!」
絶たれゆく意識の中、獲物である手斧を投げてもう片方を構えなおすトーマスが居た
そして、振り下ろされたハンマーを避け、その頭頂部に斧を振り下ろす……
死闘が終わり、勝利の雄叫びが木々の間を震撼させる
その咆哮に怯えるものが居た
弾薬が底をつきナイフ片手にS2が1人、木の裏で震えていた
その目の前には先程、兄弟に首を落とされたZになった元兄弟の頭部がこちらを見ながら歯をガチガチ言わせていた
「
無表情でJPがライフルをS2に向ける
そしてホセがガバメントを構えて横に現れ、それと同時にエリックが周囲を警戒し、JP隊が集結する
そうしてマーカスがうつ伏せにさせS2を結束バンドで親指と両手首を拘束する
壊れかけの玩具のように動く元スレイヤーのZの生首の顎をホセがブーツで踏みつぶし、髪を掴んで研究所に持ち帰ることにした
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
それに最初に気が付いたのはアニー達、保安部の狙撃チームの観測手を務めていたマッチ男……自称コールサイン・マローンだった
バリケードの一部にS2達から攻撃を受け森に向けて保安部が銃撃をおっぱじめる
ところが、一定の時間を過ぎるとS2サイドの攻撃が無くなった事にマローンが潜望鏡のような双眼鏡、ペリスコープを見ながら気が付く
「下、銃撃止めろ!、チームでぶっ放した奴は直ちにその場から移動しろ!」
ペリスコープを降ろし、ヘッドカムに指示を矢継ぎ早に入れるが、少し遅かったようだ……
轟音が鳴り、移動しかけた狙撃手の肩を粉砕する
「ちっ! 早く血を掛けて撤退しろ! 全員伏せて移動はじめ!」
指示を出し、狙撃場所を全員が匍匐しながら移動しだす
S2の攻撃は囮で攻撃を誘発させ、その間に自分たちは森の中を回り込んで敵の配置を確認、排除する
アニーを含めた5人の狙撃チームが1人撤退していく
「屋上で仰向けに呑気に寝っ転がりながら、マローンがゆるーく前線に警告を発する
「うーい、そのままで聞いてくれぇ、相手の狙撃手はよぉ? 俺らに狙撃のゲリラ戦を仕掛けてくるつもりだ、奴ぁ隙さえあれば上下どこでも狙うはずだ、目的は俺らの戦力を削る事と援軍を出さない為の足止めだからな……」
「じゃ、どうすんのマッチ?」
バレットを構えて這いずりまわるアニーが顔を突き合わせながら聞いてくる
「マローンとお呼びくださいマイレディ……とりあえず挑発する、
「え。でも狙撃は終わんないよ?」
「でも方針は変えざるを得ない、部隊は兵士が居るから
「うちの二人は無効化出来ないよ? 但し、狙われるけど……」
ジュシュとシュテフィンの銃なら大概のアーマーは貫通できる事とその代わり確実に狙われることを教えるとマローンは額に指を当て思いだすように考えた
「あー、若とその相棒か……なら一丁、仕掛けるか……」
一計を案じるとマローンは下の担当者にジョシュ達を呼んで貰うと作戦を伝える
「面白れぇ、乗ったぜ」
ジョシュ達は嬉々として作戦に乗っかった……
一方、森の中を移動しながらトーレスはバリケードの穴や屋上の狙撃手の動きを観察する
バリケード代わりに車両を使ってあったり、こちらを観測してたりする処を狙い混乱や手傷を負わすのが狙いだ
ただ、バリケードはコンクリートで強化してある土塁で殆どが固められ、先ほどの狙撃で屋上も警戒して出てこない……
手詰まり感の中、土塁の周囲に点在するように設置された外灯に警報用と思われるスピーカーが取り付けてあることに気が付いた
そこから聞きなれた男の声が聞こえる
「あー、トーレス・ニールセン君、聞こえるかね? 君の後輩のジュシュ君ですよー」
そこ声を聴きイラっとしながら発信源を探る
「もうすぐお昼ですね、パイセーン? トイレに行かなくて良いっすか? パイセンいつもトイレでボッチ飯でしたもんね」
(チッ! はったりこきゃーがって……ウチは全員、食堂だったろうが!)
―― バギャァ! ――
内心突っ込むと腹立ちまぎれにスピーカーを早業で狙撃破壊する
「あれあれ? 相方の
その途端、バリケードから屋上、はては塀で攻防戦やってるカペロ達やバーニィ達が一斉に爆笑する
(野郎……人をバカにしやがって……)
怒りに身を任せて、震えるスコープでジュシュを探す
「地元のストリップ小屋にパブロと遊びに行ったのは良いけど、当日、おばさんしか踊り子いなくて、興奮した
言い方と間合いで巧みに笑いを取っていくジョシュと怒りのボルテージが臨界に近いトーレス
だが、トーレスは怒りで本来気を配るべき配下のリック達、スレイヤー達の存在を忘れ去っていた……
マローンはにやりと笑いながらインカムのスイッチを徐に入れた
「おおぃ、連中の攻撃パターン分かったぞ……まぁみてな……」
下のバリケードの責任者にそう告げると解説を始めだした……
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