お姉ちゃん
勝利だギューちゃん
第1話
「ねえ、ここはどこ?」
ぼくは、めのまえの、おねえちゃんにたずねた。
おねえちゃんは、こうこうせいくらいかな・・・
ながいかみが、とてもうつくしい・・・
「ここ、ここは天国よ」
「てんごく?しんだひとがいく?」
「そうよ。その天国」
「じゃあ、ぼくはしんだの?」
おねえちゃんは、くびをよこにふった。
「ぼくはまだ、生きてるの。
だから、まだここへ来ては行けないの?」
「おねえちゃんは、どうしているの?」
「お姉ちゃんは、病気で死んじゃったの」
「じゃあ、ぼくもここにいる」
おねえちゃんは、またくびをよこにふった。
「さっきも言ったでしょ?僕はまだ生きているの。
だから、帰らないといけないの・・・」
なんのはずみで、天国へ行ったのかはわからなかった。
気がついたら当時の僕は、病院のベットの上で寝ていた。
脇にいた両親は泣いていて、母は僕を抱きしめた。
いつまでも・・・
幼いころの記憶は、消え去る。
新しい記憶を入れるために・・・
でも、その記憶は消される事はなく、今日まで来た・・・
僕も、もう高校生になった。
あの、お姉ちゃんと同い年だろうか・・・
そんなある日、僕は車にひかれそうな子供を助けた。
そして、意識不明の重体となった・・・
そして、再会を果たす。
「やあ、大きくなったね」
「あの時の、お姉ちゃん」
「覚えていてくれたんだ。ありがとう」
「お姉ちゃんは、変わらないね」
「私は死んでるからね」
お姉ちゃんは笑う。
「僕は、今度は本当に、死んじゃうんだね」
「死にたい?」
「えっ」
「もう、死にたい?」
僕は、首を横に振った。
お姉ちゃんは僕の顔を・・・いや、眼をじっと見つめた。
そして・・・
僕の体を押した・・・
「まだ、君はここへ来てはいけないわ。
眼が死んでない。」
「お姉ちゃん・・・」
「何十年かしたら、また会いましょう。元気でね、それと・・・」
「それと?」
「お父さんと、お母さんによろしく」
眼が覚めた。
あの時と同じように、両親が心配そうに見つめていた。
母は、僕を抱きしめた・・・
そして、両親に訊いてみた。
僕に兄弟はいないのかと・・・
ひとりっ子と思っていたが、実は僕が生まれる前に、
病気で亡くなった、姉がいたことを・・・
丁度、高校生だったことを・・・
その姉の写真を見せてもらい、愕然とした・・・
そして、つぶやいた・・
「ありがとう。お姉ちゃん」
お姉ちゃん 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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