ツアレの休日
※「セバスのお買い物」の時のツアレの様子の話です。
___せっかくセバスが出掛けようと、誘ってくれたのに、怖くて街に行けなかった。
___きっとセバス様の事だから、絶対に守ってくれるのに___
先ほど出掛けたセバスと同じく、ツアレは一日休みである。
自分から休みを申請していないのだが、アインズ様が何故かセバス様と休みを合わせてくれた。
___場所は玉座の間、アインズはツアレとセバスチャンを呼び出していた。
玉座に座るアインズが二人に聞く。
「セバスはその~ツ、ツアレと! 同じ日が休みの方が・・良いよな!?」
(恋人がいた事がないから分からないけど、良い感じの二人がいたら、確か日にちを合わせてあげたほうが良いんだっけ?)
「は、アインズ様。わたくしセバスは、ツアレと共に休みでもよろしいのですか!?」
「うむ、専属なのだから休みを揃えた方が何かと都合が良いだろう・・・」
「アインズ様、ありがとうございます。」
セバスとツアレは跪き、声を合わせて答えた。
場所は変わり、ツアレの部屋で___
_____ツアレはうーんとベッドに横たわり、枕に顔をつけて叫ぶ。
「もう私のバカーーーーー!」
声を出しながら足をバタバタさせる。
どうして自分は勇気を出さなかったんだろう、出せなかったんだろう。
新しい着替えの服が欲しいってペストーニャさんに相談したから、きっと買い物に誘ってくれたのに・・・
誘いを断ってからずっと考えがまとまらない。
「こんなに後悔するなら、出掛ければ良かった~~!!」
ベッドの上を、寝ながら左右にごろごろ転がる
「よし!セバス様が帰ってくるまでに、街に出掛けられるようにしよう!」
このまま部屋で、もやもや悩んでいても仕方ないので、部屋から出ることにした。
(でも、メイド服で出かけたら、仕事頼まれちゃうかな・・・)
まだうじうじしてる自分が情けないな~と思いながらとぼとぼ歩く。
(研修で知ってる部屋が増えてきたけど、道に迷いそうなぐらい広いわね・・・)
田舎から出てきた人間のようにキョロキョロして歩くと、通路にペストーニャがいた。
「あら、ツアレ?どうしたの?・・ワン」
「こんにちは、ペストーニャさん、お疲れ様です」
ツアレは、今日最初に会った仲間がペストーニャでかなりホッとした。
「ペストーニャさんに相談よろしいでしょうか?忙しかったら、後で大丈夫です」
「もちろん大丈夫だワン!ツアレの為ならいつでも相談にのるわよ・・・ワン」
「あの~えーと、外の世界のような街へ出る練習が出来る・・ようなところや、お休みにぴったりな場所など、どこかナザリック地下大墳墓内にありませんか?」
ツアレはもじもじと話した。
「そうね~じゃあ私についてきてワン」
「あ、はい。ペストーニャさん、お忙しい中、ありがとうございます」
ツアレはペストーニャの後をついていく。
「今日は仕事が多くない日だワン、気にしないでくださいワン」
ツアレは自分が頼んでみたものの、どこに行くのかちょっぴり心配だった
____ツアレはペストーニャに付いていくと、目の前にエレベーターがあった。
その見た目は禍々しく、骸骨を集めて作られていて、ただ不気味でしかなかった。
普通の人間だったらきっと乗る事を嫌がるだろう。一度乗ったら最後、死の世界に連れていかれるのではと誰もが思うだろう負のオーラがあった。
「あ、あのペストーニャ様・・・これに乗るのですか?・・」
おびえた様子のツアレが尋ねた。
「休日の時ぐらいは、様付けじゃなくって良いって言ったでしょ・・・ワン
・・・ああ、あのエレベーターが怖いのだワンね!大丈夫!何も罠は無いわよ・・ワン」
二人でエレベーターに乗ると、
「ドアが閉まります!ご注意下さい! 下へ、参りま~す!」
エレベーターのスピーカーから、とても可愛い声が聞こえた。
扉が閉まりエレベーターが動き出すと、すかさずペストーニャは説明を始めた。
「この御声は、至高の四十一人の中の一人、ぶくぶく茶釜様の御声でございます」
「まったくアウラ様ときたら、暇さえあればこのエレベーターに乗ってきゃーきゃー騒いで大変なのですよ」
「それで、シャルティア様がうるさい!と言ってけんかになるのが定番でございますワン」
・・・・とペストーニャはべらべらと一人で話していた。
そんな中ツアレは、自分を見つめる骸骨が怖くて、どこを見ればいいのか。本当に骸骨は動いたりしないかが心配で、生きた心地がしなかった。
そして、エレベーターはやっと目的の階層に着いた。
(少しの時間が途方もなく長く感じた・・・)
ツアレはふうと息を吐いた。
この階層は、ナザリック地下大墳墓の仲間たちが疲れを癒すために作られた施設が、沢山あるのですよ___
ペストーニャの説明は耳に入らなかった、何故ならツアレは、こんなに大きくて豪華絢爛な入浴施設を見たのは初めてだった。
「すごいです・・・こんな大きいなんて・・何人ぐらい入れるのでしょうか・・・?」
目をキラキラさせてツアレは質問した。
ペストーニャは、嬉しそうに話を始めた。
「この至高なる御方々がお作りになったスパは、人間は基本的にこの施設を使うことが無いので分かりませんが、アウラ様などの人間種でしたら、おおよそ百人以上は入るのではないかと・・・体の大きなコキュートス様でも、のびのびと湯船に入ることが出来ますワン!」
さて!とペストーニャはツアレの手を引いて脱衣所へ向かいながら、質問をする。
「ツアレ、確認ですが、人間もお風呂に入るときは服を脱いで入るのか・・ワン?」
ツアレは恥ずかしそうにもじもじとして答える。
「はい!人間はほとんどの方が、裸で入ると思います・・」
(水着が欲しいけど、今は持っていないし・・・入るときは裸かな・・)
スパに入るため、お互いに服を脱ぎながら話を続ける。
「ということはツアレは、裸で入らないときは水着などを着用するのかワン?」
「え?ペストーニャさんは、水着をご存じなのですか?」
モンスターという存在が水着を着るなんて思っていなかったツアレは驚いた。
「もちろんです!ツアレ!アルベド様とシャルティア様など女性陣は、男女共有の入浴エリアで水着を着用されます・・ワン」
ペストーニャは突然、自慢げにロッカーから水着を出してきた。
「実はツアレ用の水着を用意してましたーーー!・・ワン!」
「ペストーニャさん・・・あ、ありがとうございます。助かります」
ツアレは可愛らしいリボンとフリルが付いた、ビキニのように上下が分かれた水着を受け取り、すぐ着てみた。
(この水着、着てないみたいに軽くてきつくない・・)
補足だが、ペストーニャの水着もビキニタイプで、犬の絵が沢山描かれていた。
(アインズ様にご褒美として、以前犬柄の服セットを貰ったワン)
一方その頃、セバスはどうしているかというと・・・
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