ロケット超人・鉄影、自由に向かって跳べ

新田五郎

鉄影01

 一人の男が、暗闇の中をたった一人で歩いている。

 光に満ちていた彼の周囲は、いつの間にか真っ暗闇になってしまい、その中を、ずっと、ずっと歩き続けている。

「なんだよ、あたしもいるじゃないか、一人なんかじゃないよ」

 どこからか、十二歳くらいの、小生意気な少女の声がする。男は苦笑する。

「そうだ、そうだったな。でもな、あの光が見えるか?」

 男が指さす方に、小さな、かすかな光が見える。ときどき消えそうになるが、また勢いを取り戻す、そんなはかない光だ。

「見えるよ。少しだけどね……。でも長時間、見えないことがある。いやそれより、あたしにはあの光が見えようが見えまいが関係ないんだ。ただ、歩いて行くだけだから」

 男は納得するように、静かな笑みを浮かべる。

「そうだよな。おまえはそれでいい。でも私は違うんだ。私は光を目指して歩いているんだ」

 少女は、すねたように言った。

「それがヒーローだから、って言うんだろ?」

 男はしっかりとうなずいた。

「そうだ」


[chapter:1]


 水島駿平は、顔に当たる小雨で目が覚めた。ゴミ捨て場のビニール袋の山を布団代わりに、大の字になって眠っていたのである。

 ジーンズの尻ポケットから携帯を取り出して、時間を見る。

 朝の四時。

 頭はガンガンするし、手足はだるいし、ものすごい胸焼けだった。何かムシャクシャしたことがあって、大学生のような無茶な飲み方をしてしまった。だが、何にムシャクシャしていたのか、まったく思い出せない。

 一人で何軒もハシゴして、たどり着いたのが小さなバーやスナックが密集しているこの小汚い横丁だった。そして、積み上げられたゴミ袋の山に身体を投げ出したとたん、意識が完全に消失したのだった。

「むう」

 駿平は目を開けて周囲を見渡す。頭にはヘドロが詰まっているようで重たいし、手足はおもりでも付けられたように動かないが、遠くの方から奇妙な格好をした男が、苦しみのうなり声を押し殺しながら歩いてくる光景が視界に入ってきた。

「ん?」

 駿平は、苦労して頭を起こし、「彼」を見た。手で腹をおさえているその男は、遠目には第二次世界大戦の零戦搭乗者に見えた。しかし、零戦パイロットそのものではない。

 上下のつなぎの上に救命胴衣のようなものを着け、頭には飛行帽のようなものをかぶっている。ゴーグルは実際のパイロットのものよりいくぶん細身で、サングラスのような光をさえぎるレンズが入っていた。だから、顔はわからない。

 両手には手袋をし、両足にはブーツを履いている。両肩、両肘、両膝には、金属製のプロテクターを着けていた。背中には、金属製のロケットを二本、重たそうに背負っていた。

 この「航空兵のような姿の男」は、雨に濡れ、身体は泥だらけだった。血の後は見られなかったが、よく自分の足で立っていられるな、と思うほど弱っている。

 「大丈夫ですか?」と叫ぼうと思ったが、声が出ない。そのうち、場違いな航空兵は、駿平の数メートル手前の路地に入っていき、姿を消した。

「……ぬ、ううん」

 二日酔いの駿平は、全身の力を振り絞ってゴミ捨て場から立ち上がった。そして、ジーンズのケツに張り付いたバナナの皮を引き剥がして後方に投げ捨てると「航空兵」の入った路地へ向かって歩き出す。

「あいつ、もしかしてあの……」

 駿平が角を曲がると、そこは行き止まりで、三つの雑居ビルがひしめいていた。それらにはぜんぶで七、八軒のスナックやバーが入っている。「航空兵」がこのビルの中のどこかに入っていったことは、間違いない。正面のビルを飛び越えたのでないかぎり……。

「間違いない、あれは『鉄影(テツカゲ)』だ」

 駿平は一人、つぶやいた。すごい偶然だ。この偶然を活かさなければ。

 降り止まぬ小雨の中、彼の酔いは醒めかけていた。

[newpage]


[chapter:2]


 一九六三年(昭和三十八年)。深夜二時。どしゃぶりの雨だった。

 とある港の第五倉庫。一人の男が、いらだたしげにだれかを待っている。足元にはタバコの吸い殻が何本も散乱している。顔は焼けているが、服装はどこかしゃれていて、労働による日焼けではないことが予想される。海によく行くのかもしれない。

 ふと、重い扉が開いてだれかが入ってくる。入ってきたのは、太平洋戦争時の航空兵のような男だった。だが、よく見ると細部が違う。金属製の肩あて、肘あて、ひざ当てが目を引いた。現代的にアレンジされているコスチュームだった。

 航空兵のような男は全身ずぶ濡れだったが、そのことをまったく気にしていないようだった。

「私のサイドキックが拉致されたと聞いてやってきたが、どうやらウソだったようだな」

 航空兵のような男は、周囲を見渡して怒りを押し殺している。

 その逆で、それまで待っていた方の男は、喜びを隠せないようだった。

「すまん、『鉄影』。ウソをついたことはあやまる。だがどうしてもあんたに会いたかったんだ。正直に言おう、おれはあんたと組みたい。おれとあんたが組めば、必ずこの国を変えられる。今はおれは青二才かもしれないが、将来、必ず国を動かせるだけの地位につく。ウソをついたことはあやまる。だが、一般人のおれがあんたに会うためにはこうするしかなかった。それは理解してくれ!」

 男は、大急ぎでまくしてたてた。せっかくやってきた男が、帰ってしまわぬように。

「鈴本とか言ったな」

 「鉄影」と呼ばれた男は、怒りを抑えきれぬといった風情だった。

「確かにおまえは将来、国を動かせる男になるかもしれない。しかしそれは私には関係のないことだ。私に命令できるのは内閣総理大臣だけで、その命令だって従うかどうかはわからない。私のサイドキックは誘拐されなかった。そのことだけで今回は許してやる。私はもう帰る」

 暗闇の中、鉄影が扉を開いて出て行こうとするのを、鈴本と呼ばれた、日焼けした男は見た。鈴本はあわてて鉄影を引きとめようとする。

「待ってくれ! あんたも日本の現状に不満だろう、と思ったから呼んだんだ。いいか、あんたをつくった頃の日本はもうどこにもないんだ。何も戦前の軍国主義時代に戻そうと言っているんじゃない。だが、おれたちが理想だと思っていた日本に、つくり直したってバチは当たらないんじゃないのか?」

 扉から出て行こうとした鉄影は、振り替えって、こう言った。

「あんたの小説やエッセイをいくつか読んだよ。終戦の頃は十四歳だって? そこですべてが変わってしまったショックは私にも理解できる。同情する。だが、すべてが変わってしまったからといって、そこに生きている人間たちが消えてしまったわけじゃない。みんな、それぞれ生きている。それがあんたにはわかっていない。日本はあんたのゲーム盤じゃない。私の言いたいことは、それだけだ」

「待ってくれ! あんただって、自分がチグハグな世界に住んでいると思っているんだろう? 待ってくれ、話を聞いてくれ! 話を聞いてくれないのなら……」

 鈴本の声色が変わった。何かの合図ような声だった。

「聞いてくれないのなら、何だ?」

 鉄影は、再び鈴本の方に向き直る。

「超人兵士がどれほど強いか、試してみたいと思ってね」

 いつの間にか、鈴本の周囲にはそれまで暗闇の中に隠れていた屈強な男たちが、ぞろぞろと七、八人、集まってきていた。ほぼ全員が凶暴な顔つきをして、木刀や鉄パイプなどの武器を持っている。日本刀を持っているやつもいた。

「腕ずくで、ということか」

「あんたと組む上で、あんたの超人としての限界を知っておくのも必要だと思うんでね。おれなりに試させてもらおうと思ってる」

 鈴本の顔からは、脂汗が流れている。どしゃぶりの今日は、肌寒いはずなのだが。

「面白い、かかってこい。若造の軽薄な理想がどれほどのものか、こちらも試してやる」

「おりゃあああ!」

 鉄パイプを振りかぶった男が飛び出していったのをきっかけに、数人の男たちが鉄影に飛びかかったが、あっという間に全員がノックアウトされていた。

 第二陣も突入したが、まったく同じ展開で全員が床にはいつくばる。

「ほら、本当はそれが狙いだったんだろう!」

 鉄影がベルトのホルスターから十字手裏剣を取り出して、奥の木箱の積んであるあたりに投げつける。手裏剣の突き刺さった勢いで木箱は崩れ、中から拳銃を構えた男が飛び出してきた。

「ひ、ひーっ」

 拳銃を持った男は、それを放り出して手をあげた。とてもかなうわけがないと思ったのだろう。彼は、鉄影が抜き身の日本刀を手でつかんだのを、見てしまったのだ。

「いいか、鈴本、それとやつの手下たち。今後二度と私に近づくな。いいな!」

 鉄影はきっぱり言い放つと、再び扉に向かって歩き出し、そして出て行った。

 扉が荒々しく閉まった後、倉庫の中は鉄影にぶちのめされた男たちのうめき声で埋め尽くされた。

「鉄影、おれはあきらめんぞ……決して……」

 鈴本がくやしそうにつぶやく。

 冷たい夜の雨の音が、男たちのうめき声を縫うように聞こえてきた。

[newpage]


[chapter:3]


 「日本が世界に誇る……」と前置きして、日本の伝統文化やらサブカルチャーやら科学技術やらを讃えることが、最近、この国のメディアでは増えている。

 しかし、ほんの三十年前は、日本は海外から「サルマネだけはうまい国だ」と言われていたものだ。

 本当にそうかどうかは、比較文化論の研究者にでも聞いてみるしかないが、少なくとも、海外においてさまざなテロ行為、犯罪行為で世間をにぎわしている組織「クラーケンゴッド」の「日本版」の存在が、このほど明らかになったのは事実である。

 それは「Jクラーケンゴッド」という。J-POPみたいだが、本当にそう名乗ったのだから仕方がない。略してJKGともいう。

 これが本家「クラーケンゴッド」とつながりがあるかどうかは、まだわからない。海外のメディアでは、「ひさしぶりに日本のお家芸、犯罪組織にもサルマネが出た」と皮肉られている。まだ、関連組織とは認定されていないのだ。

 だが、比較的犯罪の少ない日本において、この「JKG」が大きな脅威となったことは間違いない。

 彼らの存在表明は劇的だった。深夜、首相公邸に侵入し、警備員たちを一瞬のうちに気絶させ、眠っている田辺総理を叩き起こし、その頭に警備員の血で「JKG」と書いた。

 そして、そのまま立ち去ったのだ。金品などはいっさい取っていなかったが、その行為自体が国家をゆるがしかねない大犯罪だった。

 総理にケガはなかった。彼を守るべき警備員は、最小限の攻撃で倒され、すべて気絶させられており、死者はいなかった。

 侵入者の姿は、防犯カメラに映し出されていたことがわかった。いや、映し出されていたのではない。彼らはテレビカメラに向かって、不敵な笑みを浮かべていたのだ。

 彼らは全身が青白く発光した怪人と、黒ずくめのロボット三体の、合わせて四人だった。

 その後、この四人はインターネットと、その映像が放送されたテレビで、犯行声明を行った。彼らの主張はこうだ。


 我々は、JKGである。

 我々は、日本に根を張ることに決めた。

 総理から、近いうちに素敵なお知らせがあるはずだ。日本国民は、それを待つといい。


 それに対し、田辺総理は緊急会見を開き、テロには屈しない、日本政府がJKGの言いなりになるようなことはない、と弁明した。怪人たちの言う「素敵なお知らせ」に関しては、何のことやらわからない、ととぼけた。

 だが、記者からは怒号が浴びせられた。どこにいるかもわからない相手と、どうやって戦うのか、と。

 もちろん、JKGのメンバーがその場にいた四人だけである保証はどこにもなかった。アメリカのクラーケンゴッドは、どこに構成員が潜んでいるかわからない秘密結社である。その数は千人とも一万人とも言われている。要するに、日本政府はJKGがいったい何者なのか、まったくわかっていなかったのだ。

 田辺総理は滝のような汗をかき、記者の罵声を黙って聞いていたが、不意に口を開いた。

「わが国には、公認スーパーヒーロー『鉄影』がいる。みなさん、そのことをお忘れではないでしょうな?」

 鉄影。その言葉を聴いて、記者たちの怒声が一瞬、やんだ。

 そうだ、そう言えばいたな。

 我らの公認スーパーヒーローが。

 しかし……。

 「鉄影」の名前を出した田辺総理はなんだか複雑な顔をしていたし、「鉄影」という単語を聴いて、その場が変な空気になった。会見は、そこで強制的に終わりを告げられた。

[newpage]


[chapter:4]


 時間は、平日の午前二時を回っていた。静かな夜である。

 駿平がバー「ジャック・M」のドアを開けると、マスターとは別に、いちばん奥の席から鋭い視線を感じた。

 小柄でかわいらしい少女が、そこに座っていた。小六か、中一くらいに見える。未成年だからか、目の前にはオレンジジュースが置かれている。どう考えても、子どもが一人でいる時間ではない。だが、彼女はそこにいた。そして、入ってきた駿平をにらみつけている。

「いらっしゃい」

 マスターが言った。彼はものすごく均整の取れた筋肉を持った、浅黒い男だった。髪は短く刈り込んでいて、濃い無地の、紺色のTシャツを着ていた。身長は百七十五センチくらいか。あまり大きくは見えない。左腕に、見慣れぬダイバーウォッチみたいなものを付けていた。客を迎え入れる、優しい笑みを浮かべていた。

 少女の強い視線を思いきり感じつつ、駿平はすぐ隣の席に座り、ハイボールを注文した。

 マスターからハイボールを渡され、ひと口飲んでから少女の方に目をやる。

「むうううっ」

 少女は声を出してにらみつけてきた。ものすごいにらみ方だ。駿平はひるんだが、彼もフリージャーナリストとして昨日今日、商売を始めたわけではない。しっかりと少女に視線を合わせて、たずねた。

「あの、打出乃(うちでの)ハルモさんですよね?」

 少女はなおも彼をにらみ続けていたが、質問には答えず、「あんたはだれよ?」と、質問を返してきた。

 駿平は名刺を出しながら、挨拶した。

「フリージャーナリストの水島駿平というもんです。今日は、日本唯一の公認スーパーヒーロー、『鉄影』さんのお話を聞きたくてやってきました」

「何よそれ、そんな人がこんなところにいるわけないでしょっ!」

 ハルモと呼ばれた少女は、ツンッ、と顔を横に向けて、駿平の言葉に取り合おうとしない。

 駿平は、なおも食い下がった。

「ちょっと待ってください。おれ、二週間前に、あそこの路地のところで『鉄影』さんを見たんです! そして路地の行き止まり、要するにこの店のある場所に入っていったところも見たんですよ。それで後日、この行き止まり地域にあるスナックやバーすべてに入って、彼がいったいどこに住んでいるのか、確かめたんですよ! 中にはボッタクリの店もあって何万円も取られて……」

「ぼったくられたのは、あなたの勝手でしょ!」

 ハルモは、駿平と目を会わせようともせず大声をあげた。駿平はめげずに、ハルモにもっと顔を近づけて叫んだ。

「打出乃ハルモが、『鉄影』のサイドキックだってことは、小学生だって知ってますよ。ただ、顔と指紋を自由に変えられるから、滅多に会えない。警察も捕らえられない。でも今のあなたの顔、どう観ても打出乃ハルモじゃないですか! とぼけないでください。こんな飲み屋にこんな時間に、小学生が一人でいるわけないでしょう!?」

「あーもううるさいわね!」

 そう叫ぶなり、ハルモが駿平に突き付けたのは拳銃だった。

 駿平がピタリと凍りつく。無意識に両手をあげていた。

「え……じょ、冗談でしょう……」

 ハルモは鋭い目つきのまま、小ずるそうに笑いながら小さい手に黒光りする拳銃を握り締めている。

「『マカロフPM』っていうロシア製の銃だって。トカレフじゃなくて、今はこれがいちばん入手しやすいそうよ。というか、入手しやすいから買ったんだけど」

 駿平は、両手をあげたままだ。

「じょ、冗談ですよね? ヒーローが一般市民に拳銃を向けるなんて……」

「あのね、あたしは特殊能力はあっても、腕力はほとんどゼロなのよ。護身用に銃を持っていても、おかしくもなんともないでしょうが」

 駿平は、一瞬ひるんだがすぐに思い直し、ハルモの冗談に付き合うことをやめた。こちらだって遊びで来ているわけではないのだ。

「いや、そんなことをされてもぼくは引きませんよ。インタビューさせてもらうまで、ここを動きませんよ!」

 駿平の視線とハルモの視線が、空中でぶつかり合う。昔のアニメだったら、火花が散っているところだ。駿平の強情さにうんざりしたハルモは、あきらめた、というように首を横に振ると、拳銃を、肩にかけたかわいらしいポーチにしまって言い返した。

「そうよ、あたしがハルモよ!」

「やはりそうでしたか」

 駿平はホッとした顔になった。あげていた手をさげ、座り直す。

「インタビューなんて、過去七十年間に何度もやってるでしょ。だれがいつ来たって同じよ」

 ハルモは整った顔をしかめて、首を振った。

 確かに、戦中の、旧日本軍の超人兵士計画によって誕生した『鉄影』こと曽我剣吾と、そのサイドキック(相棒)である打出乃ハルモは、七十年間にわたって公式な場で何度かインタビューに答えている。

「でも、どれも当たり障りのないものばかりだったじゃないですか。『戦争中に誕生したスーパーヒーロー』として、戦後になって他のヒーローに比べてずっと微妙な扱いを受けてきて、でも今、若者の間で『鉄影待望論』があるのを知ってますよね? それについてご自身はどう考えているのか、ぜひとも記事にしたいんです。お願いです、鉄影である曽我剣吾さんにインタビューさせてください!」

 駿平は土下座せんばかりに頭を下げた。その様子を、チラリとハルモが見る。

「今、ジャーナリストって食えてるの?」

「は?」

「だから、食えてるのか、って言ってるの」

「ぼくはキャリアだけはそこそこですけど、食えるなんてとてもとても……。今はどんどん書ける紙媒体も少なくなってきてますし……」

 その話を聞くと、ハルモはふうっとため息をついて、「そろそろここも潮時かなあ、剣吾。インタビュー受けたら、また引っ越そうか」と、マスターに話しかけた。

 水仕事から顔をあげたマスターは、「見られたのは私の落ち度だからな……。責任を取るという意味で、インタビューを受けるか」と言って少し笑った。

「やっぱりあなたが……」

「そうだ、私が鉄影こと曽我剣吾だ。偽名はいくつもあるが、親からもらった名前は、曽我剣吾に間違いない」

「やったぁ、ついに会えたんだ!」

 駿平は、思わずガッツポーズを取っていた。日本で唯一の公認ヒーロー「鉄影」のインタビューは、成功すれば二十年ぶりになるはずだ。いける。こいつはいけるぞ。

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