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次の日、鞠は担任の滝先生と、それから音楽部の顧問の並木先生に、それぞれ(職員室と音楽室で)進路のことを報告した。
滝先生も、並木先生も、鞠の決めた進路の選択を、とても喜んでくれた。
二人はどうやら、鞠に少しくらいは音楽の才能がある、と思ってくれているようだった。それに、それだけではなくて、いろんな悩みを吹っ切ったような(悩み自体がなくなったわけじゃないのだけれど)鞠の顔を見て、すごく安心したような表情をしていた。
その顔はなんだかどこか、吉木透くんの鞠を見る顔にちょっとだけ似ていた。どうやら私は、いつの間にかすごくいろんな人に心配をかけていたみたいだ、と滝先生と並木先生の顔を見て鞠は思い、すごく反省した。
「ありがとうございました」
鞠はそう言って、それぞれ、滝先生と並木先生の前をあとにした。
私は東京に行く。そして音楽の道に進むんだ。……と、そうすると決めた以上、自分を応援してくれる(先生たちだけではなくて)いろんな人たちの期待に必ず答えなければならないと鞠はこのとき、心に決めた。
(随分と悩んで、進路のことで両親や先生たちに迷惑をかけてしまったこともあるし、……)
「よし!」
鞠は気合を入れて、誰もいない学校の廊下のところでそう言った。
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