第14話 ノート page13

 そのときはママに話さなかったんですが、私の進学に対する考え方を端的に話すと、見栄や体裁や付き合いで大学に行くのが嫌だったんです。

 自分が本当に勉強したいと思うのだったら進めばいいし、そうでなければ何も大学だけが生き方じゃないんだから、自分のしたいことをすればいい、そう思ったんです。

 今でもその考えは変わっていません。

 友達の中にも目的のない進学や就職を有利にするための進学を当然のことのように考えてる子も少なくありませんでした。

 パパやママにも同じような考えが多分にあったと思います。


 あの会話を立ち聞きしてから10日後、パパとじっくり話をする機会が訪れました。

 忙しい時間をわざわざ私のために割いてくれたのだと思います。

 夕食後に私を居間に呼んで訊ねました。

「亜由珂、おまえ大学に行くの嫌なんだって?」

「何、急に」

「どうして行かないんだ? 友達もみんな進学するらしいじゃないか」

「そうよ。でも私は……」

 面と向かってはパパに言いたいことが言えませんでした。

「何かわけでもあるのか」

「っていうか……みんなの進学する目的を訊いてたら、なんだか大学に行くのが嫌になっちゃった」

 ぼそぼそと話しはじめました。

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