12
「私もUFOが見たいです」と葉摘が硯に続いて手を上げてそう言った。
「……UFOか。早川さんはどう?」
「私ですか?」
朝日奈くんの問いかけに萌は少しだけ考える。
「私も、UFOがいいです」
と萌は言う。
このプリントの乗っている選択肢の中だと、萌はどれも興味はなかったのだけど、幽霊はいないと思うし(いたら怖いし)、三番の要石も結構有名な石で、今さら調べるというもの、面白くなさそうだし、ということで、二人がUFOが見たいと言うのなら、UFOでいいと萌は思った。
「わかった。じゃあ、まずはUFOを呼ぼう」と朝日奈くんは言った。
「UFOを呼ぶ? ですか?」
「これだよ。萌」
萌の疑問に硯が答えてくる。
硯はそっと、自分の後ろにある大きな壁一面のスチールの棚から、「よっと」と、言って一冊の本を取り出して、それを萌に手渡してくれた。
その本には『UFOの呼びかた』というタイトルがつけられている、いわゆるオカルト系の本の一冊のようだった。
「この本のやりかたでUFOを呼ぶの?」
「もちろん。そうだよ」
萌の疑問ににっこりと笑顔で硯が答えた。
「……じゃあ、本番は一週間後ということで、いろいろと準備もあるし、今日はこのあと、いつものように僕の家で実験の準備を始めようか」と会議の細かい取り決めのあとに朝日奈くんが言った。
みんなに聞いてみると、どうやらオカルト研究会では、現在、いろんな準備が必要な儀式? の際の準備は、オカルト研究会の部長である朝日奈勝くんの実家で、行っているようだった。
(朝日奈くんの実家は大きな農家の家で、家族の了解もあり、家も大きいと言うことだった)
もちろん、このオカ研の部室で準備をすることもあるということだけど、今日のように、大掛かりな準備の際は、買い出しなどもあり、朝日奈くんの家に場所を移動することが多いらしい。
「早川さんは、どうする?」
みんなが場所を移動する準備をしている最中、朝日奈くんがそう言った。
「……えっと、私は」
萌は少し考える。
「別に嫌なら嫌って、はっきり言っていいんですよ? 早川先輩」
もうすでに(背中にリュックを背負い)移動の準備を終えている野田葉摘が萌の隣でそう言った。
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