　その情景を、忘れそうにないよ。

　今でも鮮明に焼き付いてる。

　誰にもくれてやるもんか、私の大切な思い出だから。

　きっと、この先も……憶（おぼ）えているだろう。

　きっと。

　こうして、繋がれていくんだね。

　紡がれていくんだよね。

　記憶って、そうやって……

　その人が確かにこの世界に居たのだという名残り。

　痕跡（こんせき）も。

　そういう人が居たという記憶が失くなってしまえば。

　本当の意味の、"死"で。

　誰かがこうして覚えているのなら。

　その人は死なないよって。

　心の中で生きてるって言葉は、きっとそういう意味で。

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