とある会話②

 アルテンシアの神々が集う場所、神界の『黒の間』。

 そこには今、二柱の神がいた。

 彼等の目の前には、迷宮でアルスが目を覚まし、記憶を取り戻した様子が映し出されていた。


「やっと思い出しましたわね……しかし彼は何故記憶を失っていたのでしょうか?」


「そんなの奴が関わってるに決まってるだろ!」


「やはり彼を転生させた事に気が付いていたのですね

 しかし、幸か不幸か、今あの方は、此処には居ません。

 なので彼が記憶を取り戻した事には気付かないでしょう」


「あぁ、だがそれも時間の問題だ。

 奴が戻って来たらどうなるかわからねぇ

 その為にも彼奴には、早く強くなってもらわないとな!」


「……『第三世代』……ですか」


「あぁ……それよりもあの技能はなんだ?」


「不老不死の事ですか?」


「それは俺もアイツが望んだって事を話に聞いていたから知っている。だからそっちじゃ無くてもう一つの方だ」


「そっちですか」


「あぁ、あれは何の意味があるんだ?とても戦闘の役に立つとは思えねぇが」


「あれは私からの些細な贈り物ですよ。

 いずれ彼の事を心から愛する方達が現れるでしょう。

 あれは、そういう方達の為に用意したんです」


「成る程なぁ、でもお前はそれで良いのか?

 アイツとお前は、相思相愛なんだろ?

 アイツに他の女が出来たら嫌じゃないのか?」


「そうですね……多少の嫉妬はあるかもしれません。

 ですがそれ以上に嬉しい気持ちもあります。

 だってそれは、惚れてしまうほど彼が魅力的って事なのですから」


「そういうもんかねぇ」


「そもそもアルテンシアは、一夫多妻制なのですよ?

 女性の一人や二人は居ても仕方ない事だと思いますが」


「ははは……確かにそうだったな!」


「はぁ、はやくも再会が待ち遠しくなってしまいました」

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