授業② 天使紋と天使
昼休みが終わり、迎えた午後の授業。
「午後の授業は、《天使紋》についてだ。
皆んな知ってると思うが、《天使紋》は、我々アルカナ王国民が信仰する女神ディーティア様が与えて下さる加護のことを言う。
《天使紋》には、二つの機能がある。
一つは、進化することが出来ることだ。今は皆、『一枚羽』〜『三枚羽』だが、鍛錬し自分が強くなるのと同時に《天使紋》は進化することがある。今確認されてる中で最高位の《天使紋》は、『七枚羽』だ。……最初から『五枚羽』だったエリナならもしかするとそれ以上の階級に進化出来るかもしれないな」
協会の神父も似たような事言ってたな。
俺は改めてエリナは凄いなと思った。
「そして二つ目は、神の使いである、《天使》を召喚することが出来る機能がある。
《天使》は三つの階級に別れており、《下位天使》、《中位天使》、《上位天使》となっており、召喚する際には詠唱が必要となり、その詠唱は、
《告げる/我が命に従いし聖なる者よ/其の身を持って我が剣となり盾となりて/我が前に現れよ》の四節となっている。
《天使紋》の階級によって、召喚出来る《天使》の階級も変わってくる。
『一枚羽』〜『三枚羽』は、《下位天使》、『四枚羽』〜『六枚羽』が《中位天使》、 そして『七枚羽』からは、《上位天使》が召喚出来る。
《下位天使》は、《中位天使》と《上位天使》と違って、会話をすることが出来ず、ただ、召喚者の指示に従うだけの存在だ。
一度召喚した《天使》とは生涯のパートナーとなり、再召喚は出来ないようになっている。
其処で自分のパートナーは《下位天使》かと思う者もいるかも知れないが、安心しろ。《天使》もまた、《天使紋》の様に進化することがあるからだ!」
そうは言うも、実際に見ていないから、本当かどうか分からず、不安げな表情を浮かべる生徒がちらほら居た。
「出て来てくれ!ルーク!」
それに気付いたのか、ヴァイオレット先生がそう言った次の瞬間。
「は〜い!」
突如、白い翼が生えた小柄な男の子が空中に現れた。
「この子は私が召喚した天使、名をルークと言う」
「ルークだよー宜しくねー!」
「この子も最初は《下位天使》で会話も出来ず、ただ私の指示に従うだけの存在だったが、今は進化して《中位天使》になり、知能を持つようになったお陰で、こうして会話が出来るようになった」
先程まで不安げだった生徒達は、実際に進化した《天使》を見てヴァイオレット先生の話が真実であると分かると、表情から不安げな様子は消えた。
そんな中、一人の生徒がヴァイオレットに質問をし始めた。
「せ、先生!」
「ん?どうした?」
「い、今突然その子が現れた様に見えたんですけど...どういう事ですか?」
「そうだった其の説明をしていなかったな!
さっきまでは、霊体化と言って誰にも見えない状態のことを言い、今はその霊体化を解いて、可視化状態となっている。
基本、可視化と霊体化は自由に行うことが出来るが、致命傷を負ったりすると自動的に霊体化し、しばらく可視化することが出来なくなるから戦闘の際は気をつけるように。
因みに、霊体化状態の天使とは念話で会話する事が出来る。そして、もちろん可視化の状態でも念話は可能だ。……《天使紋》について一通り説明をしたが、何か質問がある奴はいるか?……居ないな。
明日の授業で実際に天使召喚をしてもらおうと思ってるから、休まずに来るように」
明日か……俺には《天使紋》が無いしどうしようかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます