クォ・トの手記

木子あきら

01>葉裏の日

風の波立つ丘の木よ

ふるくあたらしい養育者


その腕でわたくしを抱き

麗緑の葉のうらがわへと招きいれる


そうして触れることをゆるし

わたくしの二本の指に

幹の鱗をたどらせる


(日の蜜 天をおおえる蜜)

(月の乳 天にながれる乳)


かたちのないものたちのことわりや

丘のうたを刻んだ年輪を

鱗は守っている


ふるくあたらしい丘に棲む

もっともよい養育者よ


わたくしを腕に抱き

麗緑の葉のうらがわで

世界のひみつを囁いてくれる

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る