狂喜

桜咲つな

第1話 少年

 ある、一人の少年が、舗装された道路を歩いていた。法定速度を超えた車が水たまりを踏み散らす。雨はもう降っていなかった。代わりに、ぎとぎとと温い風を吹かせる。

 彼はじっと、地面を見つめている。

 彼の心はどんよりと澱んでいた。

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