第32話 太陽系内地戦。その9
俺とラノンが乗っているタイガーは
誘導無しの初旋回⋯⋯
「ラノン!一気にプラスGがかかるぞ!気張れ!」
俺はラノンにそう言ってサイドスティックを一気に横へ倒す。
機体の至る所に付けてあるスラスタがそれぞれ推進剤を噴射し、機体はロールの動きをして回転しようとする。
「──っ、ロールを直して⋯⋯次にピッチ」
細かくスティックを動かしながら次は一気に手前に引く。
「おおぉぉ!」
ラノンの踏ん張ってるのか、ビビってるのか、キツイのか、死にそうなのか、断末魔なのか良く分からない声が聞こえてきながら、俺は色気を失う真っ暗な景色を眺めていた。
「──っ」
HMDには『Warning!─9G』と警告が出ている。
「120度近くピッチを上げて⋯⋯、戻す!」
俺はスティックを前に少し倒す。
「ボトムスラスタを⋯⋯」
それからスロットルレバーの少し手前にあるボトムスラスタのレバーを引くと、また大きなプラスGが身体にかかった。
「おいぃ、ミノルぅぅ⋯⋯。Gスーツが無ければ死んでるぞぉー!!!」
後ろのラノンはキレてるらしく、
「しょ、しょうがないだろ!!俺だって久々だし、キツイんだよ!」
俺もラノンもグレイアウト気味で意識が少し
少し機体のスピードが下がるとGも収まり、俺たちのグレイアウトも治まった。
「これ以上のGは耐えられんな⋯⋯」
ある程度訓練を受けていた筈の俺ですらこのGはかなりキツイのに全く訓練を受けていないラノンからしたら相当キツイだろう。むしろ今のでブラックアウトしなかったのが不思議なくらいだった。
「おい、ラノン!ぼーっとすんなよ!!」
「してねーよ!お前もしっかり運転しろ!」
あ、ラノン元気そうだな。
俺は少し安心しつつ、スピードを一気に上げる。
「おぉ!!おいっ!!!」
俺は少し口元が緩んでいる自分に気付いて、もう緊張と言うよりはこの戦闘を楽しむ余裕まで生まれてしまった俺自身に少し驚いた。
ただ、この後すぐに戦闘の恐ろしさを知る事になるのだが⋯⋯
★ ★ ★
どうも斑雪です!
遅くなってしまい申し訳ありません!!
なんと私がノロノロお話を書いている間に、このお話が1000PVを超えていました!!
ほんとに有難い(><)
読んで下さる方々にこれからも感謝しつつ投稿していきます!!
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