第18話 はじまり。その6

「む、無理ですよ!!」


 俺は肩を掴んでいるダミオスさんの手を無理矢理はずしてダミオスさんから少し距離を置いた。


「てか、それダメでしょ!無理です。絶対無理です!」


 俺の様な民間人を軍のふねに乗っけたってバレたらそれこそ軍法会議物である。いくら軍大出身とは言え中退しており一度たりとも軍人には成っていない俺は軍からしたら超民間人!!関係無いどころか機密情報漏洩きみつじょうほうろうえいの危険すらある行為を許すわけが無い。


「知らん!緊急時なんだ、形振なりふり構ってられない!!」


 こいつ、ボケてんのか?軍法会議物だぞ?下手したら君だけじゃなくて俺も·····

 いや、下手しなくても俺は捕まる!!


 俺はもうダミオスさんの訳の分からない発言に何も突っ込めなかった。


「大丈夫だ。緊急時だから上も分かってくれる。」


 その根拠の無い自信はどこから来るのか。

 ダミオスさんは一様軍大卒である。誰もが憧れる幹部軍人。そんな人が今、ルール違反を推奨しているなんて·····


「無理です!!」


 俺はただそれだけしか言えなかった。

 どう考えても無理な事。やっては行けない事だった·····


「また、1せきられました!!」


 一人のCDC隊員が声を上げた。

 CDC内のディスプレイには被弾している駆逐艦が映された。相手は戦艦、駆逐艦などでは火力が違いすぎる、こちらも相手の戦艦には弾を当てている、当てているが·····防禦ぼうぎょ力も違いすぎる。

 こちらは一発受けたらすぐ戦線離脱か死、一方で向こうはビクともしていない様だった·····


「火力が違いすぎる·····」


 思わず言葉が出る。そして、そんな事誰でも分かっている。でも、ただそれだけしか言えない程、一方的な戦闘の様子がディスプレイ越し、無線越しに伝わって来ていた。


「ダミオス大尉たいい!これ以上待てません!!」


 CDCに駐屯地の隊員らしき声が入って来た。


「大尉はこの惨状を見て何も思われないのですか!すぐにでも援護へ向かうべきです!」


 興奮しているのか、大きな声でダミオスさんを急かす。


「ペッパーだったかな?」


 ダミオスさんは落ち着いた声でそのペッパーたる隊員に話しかける。


「はいっ。そうです!」


「ペッパー3等軍曹、その心意気こころいきは認めるが人数の足りないふねで出て何が出来るというのかね?」


 ダミオスさんの言う通りだった。確かに人数がいなくても艦は動く、ただ動くだけで使えるか、と言われたらそうでも無い。


「ここで見てろと申されるのですか!?」


「そうでは無い。」


 そう言ってダミオスさんはこっちを見る。

 まるでお前のせいだと言わんばかりの視線だった。ペッパー隊員もその目線をなぞってこっちに目を向ける。


「え、えぇ?」


 俺のせい?思わず変な声がでる。


「ダミオス大尉·····まさか!民間人を!?」


 勘のいい人だ。


「そうだ。」


 あ、言い切った。


「こいつが助っ人だよ。」


 ダミオスさんはニヤッと俺の事を見た。


 もしかしたら逃げられない蟻地獄へ俺は連れてこられたのかもしれない。


 ★ ★ ★


 どうも斑雪です。そろそろ始まります。戦闘が!!








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