第12話 記憶。その7

 俺が母と弟の楽しそう笑顔を見たのはあの日が最後だった。


 軍大学の体育祭、俺は第三大隊の隊長として伝統的な競技『棒倒し』に参加していた。


 それを見に来ていた家族、体育祭が終わった後3人でめしを食べに行き。

 その時、弟と約束をした。


『俺が卒業するまで母をまもる。』と。


 そして母と弟はその次の日にあの凄惨な悲劇に巻き込まれた。



『インプトム』と呼ばれるその悲劇は内外太陽系全体に大量の死者を出した。


 アクティブステルス、地球の宇宙軍ではあまり浸透していない技術である。簡単に言えばレーダーの電波自体を干渉によって打ち消すという方法で、レーダーに映りにくくなるパッシブステルスとは違い完全にレーダーから姿を消せる。しかし、電波を打ち消すには手間がかかり、実用的では無いという事であまり地球側は対策を講じてなかった。


 それが裏目に出たのである。


 敵を観測出来たのは奇跡的で、恐らくレーダーサイトの隊員がレーダー周波数を弄っていたから、瞬時のレーダー周波の変化にアクティブステルスが対応出来ず、観測に至った。


 しかし、観測した直後に敵艦は空間ワープを行った。そしてその位置が不味かった。


 小惑星帯の中でワープを行い、それに巻き込まれた小惑星がワープ先に近かった観光船、宇宙ステーションに次々と衝突、全てが宇宙の藻屑デブリとなった。


 そして後から分かった事だが、その敵が送った別の軍艦による攻撃で軍人である父も殉職していた。


 俺は1人になり、俺自身を責めた。


 母も弟も護れず、父は殺され、自分は生き延びた·····


 何が人を守る為の軍なのかが分からなくなった·····


 そして俺は軍大学を中退した。


 ★ ★ ★


 どうも斑雪です。


 お話もなかなか進み、そろそろ重い腰を上げて変動を書いていこうかなーなんて思ってます。


 こっから後はとても長いので読みたい人だけどうぞー。


【ステルス】

 まず、レーダーが物体を探知する原理を説明します。


 1、アクティブレーダーが電波を飛ばす。

 2、その電波が物体に当たり、誘導電流が発生!

 3、誘導電流から電波が発生し反射波となる!

 4、パッシブレーダーがその反射波を探知!

 5、発信と受信の時間差から物体との距離が分かる。


 つまり、電波が物体に当たっても反射波が戻ってこなかったり、反射波をレーダーが拾えなければレーダーは物体を探知不能という事。

 レーダーは反射波を拾うことで物体の存在を探知している。よって少し工夫することでステルス性を向上させる事が出来る。

 具体的には2つ。


 1、電波をあらぬ方向へ受け流す。つまりレーダー波を乱反射させる。

 2、金属は電波を反射し易いので、電波を反射し難い、または吸収する物で覆う。


 それぞれ形状制御技術と電波吸収体技術を利用する事によって今日のパッシブステルスは活用されている。


 簡単に要約するとパッシブステルス技術はレーダーに映らない訳ではなく、レーダー波を出来るだけ拡散、吸収する事で写りづらくしている。

 つまり近づいてしまえばあまりステルスは機能しなくなってしまう弱点を持つ。


 そこでこの物語にプロローグから登場している単語、『アクティブステルス』を説明する。


 アクティブステルスとはレーダー波を分析し、逆に欺瞞ぎまん情報を送り返す電子対抗手段ECMの事で、レーダー波を逆位相干渉ぎゃくいそうかんしょうによって打ち消す方法である。


 レーダー波とは簡単に言えば周期を持った波であり、それには干渉することが出来る。イヤホンのノイズキャンセリング機能と同じ方法で、レーダー波の波を探知し解析する事により、その波の逆位相波を発生させ干渉させる。するとレーダー波自体が打ち消され、レーダーはその物体を探知不能となる。


 この技術は現在は恐らく未だ開発されていないが、今後の軍事兵器には搭載されると私が妄想する技術の1つである。


 長々とすみません。色々と難しい単語をつらつら述べてしまったので、分かりにくかったらごめんなさい。私の語彙力は皆無なので言い換えが上手く思いつきませんでした。


 間違えを発見したり、「意味わからん死ね」と思う方は遠慮なく言って下されば修正、返答致します。

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