夢の中で
勝利だギューちゃん
第1話
俺は独身のサラリーマン。
30歳で、彼女なし。
アパートで、ひとりぐらし。
金は生活には困っていないが、贅沢出来る余裕はない。
ある日、仕事に疲れた俺は、仮眠を取る事にした。
仕事場のソファーに横たわり、毛布をかける。
すると、すぐに眠りに落ちた・・・
夢を見た・・・
それは、夢と自覚出来る夢・・・
いわゆる明晰夢。
夢の中のものは、全てが幻。
人も木も建物も乗り物も・・・
そして、自分でさえも・・・
夢というのは、本来個々が見るもの。
他人との交わりはない。
だが、希にいたずらが起きて、他人の夢と交差することがある。
つまり、複数の人間が、同じ夢を見る事がある。
「やあ、また会ったね」
女の子に、声をかけられる。
夢の中ではよくあう、でも、現実世界では会った事がない。
でも、この子もどこかで、存在しているのだろう。
「ああ、元気だった?というのも変か・・・」
俺は彼女に挨拶をした。
「うん、何とか生きているよ」
「俺も何とか、この世につながっている」
「オーバーだね」
オーバーではない。
仕事が忙しくて、かなりやばい。
ホワイト企業ではないが、ブラック企業でもない。
グレー企業といったところか・・・
「そういえば、君はどんな仕事をしているの?」
「夢の中で、その話はよそうよ。今は、この明晰夢を楽しもうよ」
「そうだな」
女の子の意見に賛同した。
夢とわかれば、何でもやりたい放題・・・
というわけにもいかないので、上手くいかない事もあるが、
それはそれで、面白い。
「あっ、UFO]
女の子が声をあげる。
「本当だ」
すると、そのUFOから、声が聞えた。
≪変換を許可する≫
「あれ?ここはどこだ?」
俺は眼を覚ました。
どうやら、自宅の家にいるようだ。
「あれ、俺は会社のソファで寝ていたはずでは・・・」
意識がもうろうとしている。
「ママ、パパが起きたよ」
女の子の声がする。
あっ、そうか・・・娘か・・・
「あなた、お早う。朝ごはん出来てるわよ」
嫁にそくされる。
「ありがと。今行くよ・・・」
そこには、夢の中の少女がいた。
俺の嫁になって・・・
夢・・・
所詮は、幻だ。
しかし、希に現実と化す事がある。
俺は、30歳のサラリーマン。
一応、係長だ。
5年前に職場結婚をし、娘をもうけた。
家のローンが、大変だが、まあ幸せに楽しくやっている。
出かける時、嫁にささやかれた。
【今度は、どんな夢を見ようか?】
夢の中で 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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