夜を泳ぐしゃぼん玉




ここは深海

揺らめく手を伸ばしても

月が滲んで揺らぐ夜空に

触れることはできない



ここは深海

光を求めて伸ばした手を

月が滲んで揺らぐ夜空へ

昇っていくしゃぼん玉が

ふわふわと追い越していった



月が滲んでいるのは涙のせい?

月が揺らめいているのは波のせい?



ここから抜け出せないのは

深海の砂の中で隠れるように

動けなくなっている

私のせいなんだろうね


深海は静かだ

砂に埋もれていれば

心も眠って穏やかになる


でもここでじっとしていても

なんにも変わらない


手を伸ばしても届かないのなら


泳ぐしかないのかな


ゆらゆら揺らめきながら

不器用に揺らめきながら


泳ぐしかないのかな


夜の海の中を月へ向かって

ふわふわ泳いでいった

あのしゃぼん玉たちのように





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る