夏のシャワー



申し訳程度に降り始めた雨

熱でだらけた地面に浸みて

怠いと言って吐き出された熱気

足に纏わりついて

歩く気も

傘を差す気もなくなって


雨が触れた肌だけ

少しだけ冷えて

熱でだらけた心も

少しだけ冷えて

やっと生きた心地に触れて

強張った顔も解けて


雨にも負けずに歌う蝉の声が

夏の訪れを告げて

生温い風が梅雨ではなく

夏の嵐が来るのだと囁いて


虫が寄る街灯の下を歩く頃には

すっかり服も髪も雨が染みて

しばらく共に歩いていた苦しみは

今は何処かで雨宿り


申し訳程度に降っていた雨も

今では嵐の前触れ


だらけた空気はまだ街を覆っているから


汚れて淀んだ空気も一緒に

荒んで淀んだ私も一緒に

綺麗さっぱり洗い流して



まっさらになったらまた歩くから

まっさらになったこの街をまた歩くから



綺麗さっぱり洗い流して





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