透明な波間




目が覚めたんだ

海の底を揺蕩う 夢を見ていた

息ができる

口を開く 心を開く

言葉の泡 溢れて

泳いでいく 離れていく

髪が揺れる 頬を撫でる


冷えた波が心地良い


目を開く

淡く 青い

水面のような空は

夏の匂いがした

耳をくすぐる蝉の唄

甘えたそうな猫が足を撫でる

少しだけ冷たい風が頬に触れる

髪が揺れる


息ができる



ここは何処でもない



極めて 透明な


空の底




些細な 瞬間


透明な 瞬間



ここは何処でもない



透明で 些細な


僕の


日々の波間









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