第7.5話 断章2 「救援へ」 中編その1

 急な豪雨は結局夜中を回る頃まで我が物顔で居座り続けていた。と、言っても実際にはもっと早く止んでいたのかもしれない。衣服の内外はびっしょり濡れ、靴もまた然りであった。つまりは雨に当たっているという感覚が薄れてしまっていたのだ。気付かせたのは、夜行性の鳥の低い鳴き声であり、頭上を見れば、人騒がせな忌々しい雨雲は綺麗に失せ、本来そこにいるべく三日月が遅参していたのであった。

 これで、大声で呼びかける必要は無くなったな。ヴァルクライムは最後尾で安堵の息を吐いていた。必要以上に声を上げたためか、僅かだが喉に不快感が現れていたのである。

 一行の先頭は例によってロブが務めていた。サグデンの忠実な従者であるリザードマンは、特別夜目が利く訳ではないが、その種族の持つ全身の感覚が、まるで先の様子が見えているかのように、幽鬼の如くふらりと現れる木々や、大岩を揚々と避けていた。

 今はなだらかな降りに差し掛かっていた。残念なことに、雨が一面を滝と湖に変えてしまったため、手掛かりは一つも掴むことが出来なかった。それでもこの道を行くのは、追っ手に迫られる中、色々と不慣れなお嬢様と一緒ならば、自然と速度の乗る降り坂を選ぶのではないかという、意見の一致からである。

 ヴァルクライムは微かな鼻息ですっかり馴染んだ拍子を打った。途端に、右手に提げている杖の頭から小さな炎が燃え上がり、湿った木の幹と、水の滴る草花とが、影の中から姿を覗かせた。

「御一同、よければ松明など如何かな?」

 ライラが振り返る。暗闇の陰になっているが、ロブにも声が聞こえたようで、泥を踏み締め掻き分ける足音が突如として止んでいた。ライラは驚いたように頭上を見上げた。

「知らぬ間に雨が上がっていたのか」

 そしてこちらを見て、少々だが失望するように眼光を歪めて言った。

「だが、松明の代わりになるものは、すっかり湿ってしまっているぞ」

 ヴァルクライムは、その答えを聞いて、気持ちが愉快になりつつ、彼女の元へと歩み寄っていった。

 そして、多様な武器の先端が付いた長柄の得物に触れ、小さく鼻息で拍子を取る。すると、中央を走る槍の刃に炎が宿り燃え上がった。

「こんなことができるのか」

 ライラは驚愕した様子で答えた。ヴァルクライムはロブの手斧にも魔術の炎を施した。相手は丁寧に礼を述べた後に言った。

「正直、あなた方の活躍ぶりには今更ながら改めて感服致しております。トロルの群れと、その王を二体も仕留められた事もそうですが、レイチェル殿と、サンダー殿、それにティアイエル殿の勇気ある決断と判断力には、間近で見ていた者としては、本当に驚かされました。当たり前と言われるでしょうが、窮地においても屈せず、お嬢様のことを思って行動されたことには、不甲斐ない従者としては、本当にお礼の申し上げようもございません」

「私もライラもその場には居合わせなかったが、あのお嬢さん方ならそうやるだろう。知り合ってほんの僅かだが、皆、根っからの生真面目な善人なのさ。おかげで人生の先輩も無茶をしてでも、いい所を見せねばと焦りを覚えるがね。そうだな、レイチェル嬢ちゃんも、少年も、身を犠牲にしてでもお嬢様のことを守っていてくれるさ。だが、仲間としてはどちらかがそうなる前に、手早く合流してしまいたいところだ」

 ヴァルクライムが答えると、ロブは深く同情するように頷いたのであった。

 やがて太陽が姿を見せると、まずその光は昨日の雨の名残を鮮明に見せ付けてくれた。なだらかな斜面を、土が吸収し切れなかった雨水が、落ち葉を乗せた茶色のせせらぎとなって一帯を埋め尽くしていた。今更だが、足元は緩くなっており、彼らは必要があれば、木の幹を支えの頼りに足を進めていた。

 ロブを先頭に、一行はぬかるみに苦戦しながら斜面を降り続けている。しかし、下り坂はもう間もなく終わるようであった。少し先だが、茂った草薮と木立の間から、小さな川の流れが見える。

「レイチェル達もここへ来たのだろうか?」

 ライラがこちら振り返って尋ねた。

「一度斜面を行ったのなら、わざわざ逆らって登ろうとはしないだろう。きっと来たさ」

 ヴァルクライムが応じると、疲労と不安とに苛まれつつある相手の顔が一瞬にして力に溢れた。彼女は綺麗だと思った。恋とはまた別の感じであるが、今、彼の胸には確かに愛おしさが渦巻き始めていた。それはきっと、妹を傍らで見守る兄か……いや、むしろ娘を見る父親の心境だろうな。年はさほど離れていないのに不思議なものだ。彼女を蘇らせたのが同じく魔術師だからだろうか。その感情の正体が罪悪感であるとは思いたくは無かった。だが、魔術師ギルドに身を置く者としての責任は噛み締めなければならないのも事実だ。

 ロブとライラが最後の数十歩を惰性に任せて駆け下りて行く。そして二人は丈のある草を、荒々しく掻き分けながら、川岸に屈んで、水を掬い始めた。

 水を啜ると、ライラが彼を見て言った。

「お前も来い。まずまずの泥水だが、少しだけでも喉を潤しておけ。またすぐに発つのだからな」

 勇ましい娘だ。ヴァルクライムは微笑ましさを感じていた。そんな己に苦笑いすると、彼も水を求めに向かった。しかし、川岸に臨む前に、視界の端、ずっと下流の方向に、黒い影が動いているのを見止めた。

 彼が顔を向けると、それは少し遠いところにいた。二本の足で立っている。大柄な体躯の持ち主のようであり、おそらくはその顔はこちらに注がれているだろう。はたして、正体は人なのだろうか。注意深く観察しようとしたが、相手は蹴るように小川を渡って、茂みを鳴らし、向こう側の森の中へと消えて行ってしまった。

「今の音は?」

 ライラが怪訝な顔で流れの先の方へ視線を走らせた。ロブも顔を上げている。

「誰かというのも変だが、何かが居た。そいつは川を渡って対岸へ姿を晦ました」

 ヴァルクライムは相手が居た辺りと、消えたと場所とを指し示しながら話した。さて、こちらの姿を見て逃げた理由は何か。

「裏切り者の警備兵でしょうか?」

 ロブが尋ねた。

「いや、もしも連中なら、接触してくるだろう。奴らが裏切ったことをこちらが気付いていないと思い込んでるはずさ」

「そして、不意を衝いて我々を消すつもりか」

 ライラは眦を怒らせて言葉を吐き捨てると、幾分表情を落ち着かせて続けて尋ねた。

「それで警備兵じゃなければ、誰なんだ?」

「ゴブリンでは無いでしょうか?」

 ロブが冷静な口調で言い、話を続けた。

「ペトリアの警備兵の方が言ってましたが、トロルには予想以上に知性があったとか。つまりは、今のは我々がそう侮っていた者達の放った斥候なのかもしれません。そして、そんな者を放つ理由は、何らかのものを手にしている……それはお嬢様達の身柄という可能性もあります」

「知性があるとは言っても、本質は変わらんさ。ああいった連中は腹具合で行動するものだ。そして満腹でも何でも、まずは本能に従い、凶暴性を果たすことが何よりも優先される。レイチェル達が捕まったのなら、既に生きてはいないだろう」

 ヴァルクライムは、言葉の最後の方で、他の二人の目が絶望に見開かれるのを見た。

「もしも、そうなら……」

 ロブがおずおずと口を開いた。

「私は従者として不始末の責めを負う前に、お嬢様の死を確認せねばなりませぬ」

 ライラも頷いた。

「そうだな。レイチェル達が違う方角に居れば良いが、その可能性を確信に変えるためにも、逃げて行った奴を追う必要がある」

 二人の言い分は尤もだとヴァルクライムは思った。そして、生来粗暴な本質を持つ怪物ならば、分の良し悪しに関わらず、本能の下に襲い来るものだが、そうではなかったことから、ロブの意見と同様、目の前から去ったものが斥候であるだろうと考えた。つまりは、これから向かう先には集団が待っているということになる。

 しかし、奇襲に注意するよう口を開こうとしたその時に、斥候が消えた辺りから、草薮が激しく揺れる音が幾重にも重なり合って聞こえ始めた。

 そして程なくして河原に飛び出したのは、複数の影であり、豚か、猪が鼻を鳴らすような濁った音を盛んに発していた。

「ゴブリンよりも更に大きいですね。四角い顔に、たてがみの様に乱れた頭髪。目は大きなサファイアのように真っ青です。そして上顎からは一対の牙が突き出ています」

 リザードマンの従者は淡々と述べた後、突然、血相を変えてヴァルクライムとライラの前に背を向けて立ちはだかった。

 真正面の対岸に広がる深い茂みから、枝のような細長い影が空気を唸らせて襲い掛かってきた。

 ロブは同時に盾を繰り出してそれを受け止めた。鉄の盾は重厚な鐘のような音を木霊させ、高々と空へ舞い、再び派手な音色を鳴らして砂利の上に落ちた。盾の中央には太い矢が突き立っていた。

 ヴァルクライムは即座に杖先を茂みに向ける。そしてか細い息で拍子を打ち、木製の杖の節々と瘤とに封印された魔術の稲妻を解放した。鞭を打つような鋭い音が聞こえ、細い筋となって幾重にも分かれた白い雷光が、空を泳ぐ蛇のように瞬く間に茂みを駆け抜けた。

 くぐもった短い悲鳴が上がった。それは猛獣の声に似ている。ヴァルクライムは、改めて足元の矢を一瞥した。鏃は尖った石だが、その厚さは手の平ほどもある。幹のような枝を、荒く真っ直ぐに削ったものの先端にあり、もう一方には信じられないほど大きな猛禽の焦げ茶色の羽が差し込まれていた。

 ゴブリンやその上位のホブゴブリンでは、これほどの弓は引けないだろうと察すると、頭の中の怪物事典はぺラペラと数枚だけ羊皮紙を捲り、やがてオーガーという暴力的な蛮族の場所で止まったのであった。オーガーは、殺戮のためにだけ生まれたような種族と言っても過言ではない。奴らの通った後には、肉はおろか、時には骨すらも残らず、ただ夥しい血の溜りが広がっているだけと言われている。緊張こそしなかったが、ヴァルクライムは気を引き締めた。連中の慌しい殺気に翻弄されるようでは話にならない。

 オーガーは黒い群れとなり、小走りになって対岸を渡り、あるいは飛沫を散らして浅瀬を猛進してきている。片手には手斧や丸太を始め、多様な得物が握られていた。

「連中は根っからの殺戮者だ。同時に死を恐れん」

 ヴァルクライムはそう言うと、杖先から再び魔術の雷を放った。地脈のように分岐した光りは、文字通り空中を光速の早さで駆け抜け、複数の蛮族達を貫き転倒させた。

「ライラ殿、我々も行きますよ!」

「承知した!」

 二人はそれぞれの得物を手に、迎撃に躍り出た。オーガー達は前方から殺到して来る。倒れた仲間達を踏み拉き、たてがみを振り乱しながら迫る。しかし、二人は揃ってその懐に飛び込んだ。

 ライラの長柄の得物が旋回し、血煙を上げ、肉片を雨のように降らしている。その脇ではロブが手斧の分厚く広い刃を陽光で煌かせ、殺到する敵達を凌駕する強力で逆に押し返し、その勢いのまま敵を瞬く間に裂いていた。その重い一撃は、脳天から一刀の下に切り下げ、あるいは厚い皮の鎧ごと胴を真っ二つにもした。

 しかし、敵の新手は、雲霞の如く茂みと木立から飛び出し、矢のように川を渡りながら二人の戦士の下へ迫り続けていた。

 ヴァルクライムは戦況を見守りながら、時に魔術を唱えていた。まず、岩を操り空に浮かせ、二人の背後に回ろうとする敵に向かって嗾けその身体を殴打した。その傍ら、ライラ達の不意を狙う凶刃があれば、眠りを誘う魔術の光りを杖先から点灯させ、その目を引き付けながらたちまち昏倒させた。

 ライラと、ロブの周囲は、亡骸と、気を失った怪物の身体とが折り重なり、広がる鮮血は川の水を薄く朱色に染めていた。しかし、蛮族の強襲は途切れることなく続いていた。相も変わらず、仲間を道端の石のように踏み付けながら、狂ったように躍りかかり、武器を振り回す。二人の戦士は的確に己が得物を繰り出して返り討ちにしていたが、その身体には疲労の色が滲み出ていた。一息入れる頃合だと彼は思った。

「二人とも、今から連中を魔術で一掃するぞ! 合図と共に身を伏せろ! この瞬間は私が命を預からせてもらう!」

 ヴァルクライムは二人の背に向かって、声を上げると、意識を一帯に転がる数々の岩へと定め、魔術の調べを口ずさみ始めた。そして杖先を天に掲げると、蛮族の群れに応戦する二人の背後で、大小様々な無数の岩がゆっくりと空に浮いた。それらは、まるで大きすぎるコガネムシの大群のように見えた。

「伏せろ!」

 ヴァルクライムは叫ぶや、杖先を前方に力強く振り抜いた。ライラとロブは迫る刃を恐れずにその場に倒れ込む。その頭上を流星群のように岩が過ぎ、次々と蛮族達の身体に激突し、顔面を打ち砕き、あるいはその頑強な鎧に無数のへこみを植えつけながらも、骨を破壊し、内臓を破裂させていた。そして、ようやく立つ者はいなくなった。

 ヴァルクライムは軽い眩暈を覚えた。全身の緊張が解けると共に、いかに自分の体力を割いて、大きな魔術の糧に充てたのかを思い知っていた。これで精霊魔術のような大それたことをするとなると、身体は骨と皮だけになるだろうか。二人が立ち上がり、共にこちらを振り返る。しかし、その顔は再び対岸の先へと向けられた。咆哮を上げ、手に得物を引っ提げながら、再びオーガーの一団が飛び出して来たのだ。

「私に任せろ」

 再び魔術で殲滅すべく、ヴァルクライムは精神を集中させた。ひとまず奴らにはまとめて眠ってもらおう。しかし掲げた杖が催眠の光りを帯びる寸前で魔術を取り止めた。こちら側の岸辺に、斜面の茂みから一つの人影がゆらりと姿を見せたのだ。長身の男だろうか。相手はオーガー達から離れた後方に居た。冒険者か、狩人が偶然居合わせたのだろうか。そうだとしても、殺戮者の群れを目の当たりにしながら、大胆不敵な行動である。その何者かは、片手に抜き身の長剣を帯びているようであった。そしてその自信の程を示すが如く、堂々とした足取りでオーガーの方へと歩み寄って行く。蛮族どもが振り返らなければ幾許か勝機はあっただろうが、そうはいかなかった。獣のようにけたたましく吼えながらも、連中の耳は獲物の足音をしっかりと聞き分けていたのである。オーガー達は足を止め、新たに現れた標的へと方向を変えた。

 蛮族達の獣じみた咆哮が響く中、木漏れ日が戦士と思われる謎の人物を照らす。陽の光は、その者の全身を黒く煌かせていた。ヴァルクライムは、相手は人影ではなく、クレシェイドのように正真正銘の黒い鎧を纏っているのだと判断した。騎士の儀礼の如く、祈るように剣の柄本を近付けた。しかし、遠目なせいで、鎧の襟は辛うじて見えるが、兜と頭の形が確認できなかった。

 すると、謎の戦士が駆けた。しかし、その姿を目で追おうとしている間に、身動きを始めたオーガー達が周囲に跳ね飛ばされていた。上空には奴らの身体の一部であった様々な骨と肉塊とが、血を飛散させて盛大に舞い上がっている。オーガー達の死体の中心に、謎の戦士は佇んでいた。

 ロブが声を上げた。彼は冴え渡るリザードマンの目で相手を凝視した後、こちらを振り返って言った。

「あれは、どうやら不浄なる者のようです! 首がありません! もう片方の腕に抱いているのが、盾ではなく、もしかすれば……」

 ヴァルクライムは軽く驚愕した。脳裡を過ぎったのは、形のある手強い亡者の中でも最強の冠を戴き一翼を担う存在であった。それはデュラハンと呼ばれている首無しの騎士の怪に間違いなかった。そして首の無い漆黒の騎士はゆっくりとこちらへ身体を向けた。

「やはり、片腕に抱えているあれが首です!」

 ロブが愕然とした叫びを漏らした。途端に、そいつは咆哮を上げた。積もり積もった怨嗟を想像させるような、死に満ちた不気味な音色が、周辺一帯に大きく響き渡った。それはヴァルクライムら三人を俄かに腰砕けにさせるほどの、まさしく勇気を挫かせる深い深い恨み節であった。

 不意にデュラハンの姿が消え失せた。我が目を疑う間もなく、その姿は前衛の二人の頭上に現れ、片手にある剣を大上段に振り上げていた。

 ライラが即座に得物を突き出し、あわやという一撃を受け止めた。デュラハンは地に舞い降り、そのまま太刀でライラと競り合い始めた。しかしライラは身体を支えきれず、身体がグングンと押され始めている。ヴァルクライムは力を上げる魔術を放とうと構えたが、ロブが相手の側面へ回り込み、デュラハンの腕と脇腹に力強く斧を打ち込んでいた。

 斧の刃は鉄製の篭手を高らかに打ち鳴らしたが、それが穿ち、抉ったのは、敵の黒い鎧ではなく、黒い霞であった。刃の描くはずであった一筋の軌跡から、闇はじわじわと広がり、首無しの騎士の姿は完全な煙となって崩壊し、昇華する様に空へと揺らめき薄れていった。

 ロブの一撃が敵を討ったと思いたいところだが、大いに疑惑の残る最期であった。ライラと、手を下したロブでさえも怪訝そうに周囲を見回していた。

 デュラハンは、極めて強力な呪いや、怨念によって蘇った戦士、あるいは騎士と言われている。出遭ったときは、どんなベテランの戦士や冒険者でも、自分の死を想像し、その身の最期を覚悟するとも言われていた。他愛の無い噂に尾ひれがついて、大げさになったのだろうか。いや、違う。ヴァルクライムは、彼の敵がこれで滅んだわけではないと結論を下した。そして、せせらぎの真上にある陽を見上げた。例えばヴァンパイアは陽の光を嫌い、浴びれば連中にとって本物の死を意味することになるが、デュラハンもまた同じだったというのだろうか。

「私には、奴が嘲笑いながら、去ったように見えたな」

 ライラが呟き、ヴァルクライムもまさにそうだと感じた。あのおぞましい叫び声が脳裡を軽く過ぎった。その音色に含まれているものを統括すれば、それは執念という文字に姿を変えるだろう。そうとも奴はまた現れる。そして本当に死ぬ時は、鎧が大地に飛散する音を高らかに響かせるに違いないだろう。ヴァルクライムはそんな気がしていた。

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