面影はどこへ向かう?
星空青
第1話 遊び場
君がいないことを分かっていても、自分はいつもそこへ足を運んでしまう。
自分が向かうのは自宅の最寄り駅から五分ほど歩いた所にある小さな遊び場。
何で自分がこんな場所にいるのには 理由がある。それは、元カノと別れたからだ。数年前、自分には大切な女性がいた。当時の自分にとっては初めての彼女で、大切に関係を紡いでいたはずだった。だがある日、自分は酷い焼きもちを妬いてしまった。彼女が他の男性の話をするのがどうしてもやるせなかった。仲直りしたはずだったが、関係は一週間と保たず別れてしまった。その未練を引きずりながら 自分は今まで生きてきた。
ここまで話を聞いて気持ち悪い奴だなと思った人がいるなら、それは正常な思考回路をしていると言っても過言ではない。
話を戻して遊び場に着いた自分は少し大きな黄色いベンチに腰を下ろす。そこは、デートの帰り道に彼女を家まで送る時、最後に寄る場所で自分はいつもここに座っていた。雑草独特の青臭さが鼻を刺激する。遊び場には大した遊具があるわけではないが、最低限公園としての機能は果たしているように見えた。
「さて、今日も帰るか」
独り言を呟き、自分はベンチから立ち上がる。
いるはずのない彼女の面影を探しながら自分は自分が果たすべきことをしに駅へ足を進めた。
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